零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

仮面ライダージオウ EP33「2005:いわえ!ひびけ!とどろけ!」感想

平成最後の平成ライダー。平成を生き、平成ライダーと共に育ってきた私にとって、何かと感慨深い放送回でした。そしてそこに位置付けられたレジェンドは『響鬼』。「世代交代」「師と弟子」がテーマだった作品だからこそ、平成と令和を跨ぐこのタイミングにピッタリすぎる人選です。

 

と思っていたら、実際制作陣はこれを強く意識して作っておられたようで。もう殆どの方が読まれたと思いますが、今一度白倉Pの言葉を引用します。

 

次のOA(5月5日)は、令和初めての放送。

平成から新元号へと入れ替わるこのタイミングに、どんなエピソードがふさわしいのか……『ジオウ』の企画段階から、ずっとカンカンガクガクだった問題の一つでした。
ある時、一同ふと気づくわけです。平成ライダーの中に唯一、「継承」「世代交代」をテーマにした番組があったことに。
言ってみれば、このタイミングで『響鬼』編をお送りするために、逆算してレジェンド編を再開したようなところもあります。

平成仮面ライダー20作品記念公式サイト | 東映

 

ブレイド』『アギト』とレジェンド編が復活したのは、お話の流れ的にもしっくりきていましたが、こんな裏事情があったとは。次回の「ヘイセイのオニ、レイワのオニ」という元号を強く意識したタイトルを持ってきたセンスも含め、白倉Pを始めとした平成ライダースタッフだからこそ出来る企画だなぁと、その手腕を改めて感じました。

 

時代を駆け抜けた平成仮面ライダー。そのある種の締めくくりとなる『響鬼』回。様々な衝撃と感慨をはらむお話でした。

 

 

 

桐矢京介の正体

響鬼』回の中で1番の衝撃はあの桐矢京介の登場でした。かつて色んな問題があった事は周知の事実ですが、当時違和感なく楽しんでいた私にはあまり語れる事は無く...。前半と後半を分かつ事件については他の皆さんに任せるとして、私なりの京介の印象をば。

 

京介については最終回での明日夢くんとのシーンが印象的で。昔見て以来なのでうっすらとしか覚えていないのですが、坂を転がっては落ちてはを繰り返す明日夢くんを京介が助けるみたいな場面が『響鬼』を象徴するシーンとしてずっと記憶に残り続けているんです。

 

鬼にならない事を選択した明日夢くんと、それを強く諌める京介のぶつかり合い。しかし、この「助け合い」を通じて認め合う事で、2人は別々の道を歩む事を肯定し合うことができた。京介は嫌味な人物でしたが、このぶつかり合いが無ければ明日夢くんの決断は確固たるものにならなかったかもしれないと思うと、『響鬼』の登場人物として無くてはならないキャラクターであると感じるのです。(記憶違いだったらごめんなさい)

 

そしてヒビキさんの弟子として鬼の道を歩む事になった京介。最終回で突如変身した白と紫の鬼は、名前が無くとも印象的なライダーでした。ある意味では『クウガ』のアルティメットフォーム並に、1話限りのレアなライダーとして記憶に残っています。そんな鬼、「京介変身体」が13年の時を超え再び日曜朝に登場する。『ジオウ』史上格別といえるサプライズでした。

 

しかし、あの鬼が登場したという事実が意味することは、あまりにも重い。ソウゴ達の前で「響鬼」を名乗った彼は、偽者だったという事実が、後からじわりじわりと、ボディブローのように効いてくるのです。

 

「「響鬼」を継承できなかった男」「出来損ない」「ただの鬼」。響鬼の弟子となり、鬼になった自分を明日夢に誇ったかつての少年が、その重い十字架を背負って現役ライダーの前に現れる。そして王様の夢を否定する。平成と令和を跨ぐエピソードにこの重い話を持って来られるのは流石の平成ライダーです。

 

仮面ライダー響鬼 Blu-ray BOX 3<完>



響鬼となれず、少し腐った様子を見せる京介に切なくなりましたが、救いがあるとすれば、弟子であるツトム君を必死に守ろうという師としての姿を見せたことです。アナザー響鬼という怪人を庇う彼の姿は、ソウゴ達の目線ではヒーローあるまじき行為ですが、師の在り方のひとつとして、正しくあったのではないでしょうか。

 

確かな成長と、それを上回る悲しい未熟さも見せた13年ぶりの桐矢京介。複雑な気持ちですが、次回の予告から推察するに、彼が「ヘイセイのオニ」であるヒビキさんから響鬼を継承し、「レイワのオニ」として立ち上がる様子。彼の成長譚を見られるのかもしれないと思うと、このタメは辛くても大事な展開です。次回、しっかりと見届けねば。かつてなく緊張してます。

 

そして予告に映った響鬼は誰なのか...。色んな意味で「令和初のニチアサ」は期待大。

 

 

祝福の鬼

京介、トドロキさんらレジェンドサイドがシリアスになっている一方、ウォズいじりに熱が入りすぎて...(笑) シリアスとギャグが交互にやって来て温度差に風邪引きそうな回でもありましたね。祝えお兄さん、本当にどうしちゃったの。

 

や、まあわかりますよ。推しの誕生日は盛大に祝いたい気持ち、オタクなら理解できます。私はあそこまではやらないですけど、誕生日を覚えたい気持ちはありますよ。

 

ただ、何が面白いって、今週のウォズさんは本筋に全く関与していないんですよね。ソウゴやゲイツが頑張ってる中、祝い方をずうっと考えてるだけ。これで話が成り立ってるんだから、ウォズのキャラ造形は凄いなと(笑) 一応京介とは絡みがありましたが、彼が響鬼だとかそんなのはどうでも良くて、太鼓で祝う事で頭がいっぱいっていう。可愛いかよ。

 

3クール目になるとクール系のサブライダーにコメディ役が与えられる。これは近年の平成ライダーのトレンドです。ただウォズに関しては決して「キャラ崩壊」していないと個人的に思っています。王を常に祝福する神出鬼没でミステリアスな王の側近。元レジスタンスの裏切り者。色んな顔を持つ、味方とも敵ともとれる存在。これら全ての要素は、どれもウォズの一面であり、ウォズというキャラのレール上をしっかり通った上で、今回のような振れ幅を見せる事が出来ていると思うのです。

 

初期の頃から私はウォズ推しですが、今週を通してより一層推せると確信しましたね。面白さも格好良さも兼ね備え、仲間となった今でも謎を持つ者として威厳を保ててるキャラなんてなかなか無いじゃん。祝え!芸も板についてきた今、ツクヨミに全否定された彼が今度はどう荒ぶるのか。京介の動向に並べて良いのかわかんないですが(笑)、注目ポイントの一つです。

 

 

響鬼』と音楽

「鍛える」ことを主軸に様々なテーマを持つヒューマンドラマだった『響鬼』ですが、それ以上に忘れてはならないのが、音楽を使った異色の戦法。以後どんな奇抜なライダーが現れても『響鬼』の異色さには勝てないよな、と思えるのは、音楽要素があるからです。そしてやはり、『ジオウ』に彼らが登場するなら、例え魔化魍が現れなくても音楽は使うよね〜と楽しみにしていましたが、早速轟鬼さんがやってくれましたね。

 

響鬼の太鼓、威吹鬼のトランペットと、どちらも強く印象を与える戦法でしたが、私にとっての1番は轟鬼のギターです。一度聴いたら忘れられないゴリゴリなギターリフが2019年に再臨。13年かけて鍛え上げたトドロキさんの技が、アナザー響鬼を相手に光る。変身以上に音撃斬・雷電激震!が格好良すぎて痺れました。

 

まあ轟鬼に関しては『ディケイド』でもディエンドの召喚で登場したり、なんなら「響鬼の世界」にいたりと、たびたび見かけたと思うのですが、「オリジナルのトドロキさん」は『響鬼』本編ぶり。「〜ッス」という口癖を残しつつ、渋いおじさんとなったらトドロキさんが変身し、音撃斬を放つなんてサービス過多で死んじゃいますよ。川口さん、ありがとうございます。

 

今回音撃を放ったのは轟鬼さんのみですが、アナザー響鬼も負けていませんでした。原典の響鬼も第1話で放ち、当時話題になった「口から炎」も、異形の怪人だからこそ尚一層映えたし、バチから放つ炎の技も強い強い。変身者が京介の弟子(ヒビキさんの弟子でもある)だから、グレていてもちゃんと鍛えており、鬼のひとりとしての威厳を見せてくれました。

 

ここまで『響鬼』と音楽について語りましたが、現役メンバーの活躍も見所でした。音楽は使ってないですけど...(笑)

 

ジオウⅡ、ゲイツリバイブを即座に使うのではなく、様子見として変身したのはクウガアーマーとウィザードアーマー。「鬼に対抗するなら古代の力!」「いや、魔法だ!」と謎に対抗心を出し、バリエーションのある戦闘シーンでしたね。特にクウガアーマーは冬映画以来の活躍で嬉しい。冬映画ではすぐにタイムマジーンに乗って勿体無かったのでちゃんと肉弾戦を繰り広げてくれて満足です。

 

あと何気にエグゼイドアーマーも久々登場。縦横無尽に動き回り、「ヒット!」表記を出す感じは何となく音ゲーっぽくて、音楽には音ゲーだ!っていうソウゴくんの思考回路なのかなーと。関係ないですかね(笑) 何にせよ、バリエーション豊富で面白いバトルだったな。

 

ただ、これではちょっと現役周りで消化不良。『ディケイド』の音撃セッションまでは行かずとも、現役と共に音楽を用いた戦法で敵を追い詰めるなんて展開があれば良いなぁ。

 

第19話「終わる旅」

第19話「終わる旅」

 

 

以上、33話感想でした。33話は平成最後の日曜に放送されましたが、この記事を更新した今日は本当の本当に「平成最後」。この1年耳にタコができるほど聞かされたトレンドワードですが、いざ本当に終わるとなると何だか寂しくなりますね。1日中「平成最後!」と叫ばれながら温かく令和の日を迎えるというこの国の文化、何だかんだ好きだなぁ。陛下が生前退位という決断を下してくださったからこそのお祭り騒ぎ、また次の改元が生きている内になら是非やっていただきたい。

 

とはいえ、明日から何か生活がガラリと変わることは勿論なく。普通の生活を、普通に続けて行くのは間違いないです。これまで通り、平常心で大切に日々を過ごしていかなきゃですね。ニチアサとのお付き合いもまだまだ続きますし、次が「令和ライダー」になるかは分かりませんけど、「これからもいつも通りよろしく」という気持ちでいます。とりあえず『ジオウ』による「平成ライダー」の幕引きを見届けなくては。

 

最後に、令和の日も地に足つけて生きていこうという思いを込めて、大好きな歌の一節で締めたいと思います。

 

あっという間の日々はつづく

上手にやろうとすればするほど

下手になって

ぞっとするほど日々はつづく

育ちや占いのせいにして正気を保ってさ

それでも 

グッとくることがあったりするから 

救われるよな

https://itunes.apple.com/jp/album/%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%82%A2/880024737?i=880024812&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

 

令和も変わらずよろしくお願いします!

仮面ライダージオウ EP32「2001:アンノウンなキオク」感想

『ジオウ』という作品は当初から本当に面白く、その面白さは毎週更新されていっていると思うのですが、今週私の中でついに大気圏突破しました。まあ、今回に関してはチートコードを使われた感があるので、前回までのお話と並べて語って良いのかわかりませんが(笑)

 

とはいえ、正味「あのシーン」がなくても、『ジオウ』の物語として面白かったと思うので、積み重ねが上手くいった成果と解釈しても問題無いでしょう。作品全体としても、『アギト』編後編としても、ボルテージが最高潮に達した第32話でした。

 

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僕は東京に憧れている。

配属先が東京に決まり、来月頭から都市圏に住むことになりました。いわゆる上京。JOKYO。うん、いい響きだ。

 

「上京」、という言葉も死語になりつつあるように感じる昨今。実際私の地元も距離はあるとはいえ、新幹線を使えば3時間もかからず東京に向かうことができるようになりましたし、もはや日帰りで行けちゃう距離感です。「上京」の、デッカくなるまで戻ってこないぜ~!なニュアンスは薄くなってきたように思います。帰ろうと思えば(お金さえあれば)すぐに帰ることができる。何て素晴らしい時代。

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RIDER TIME 仮面ライダー龍騎 EPISODE3「Alive A Life」感想

3週連続公開された2019年版『龍騎』、早くも最終話。1月の「超英雄祭」で絶叫してからずっと心待ちにしていましたが、終わってみればあっという間ですね。もうちょっと見たかったと思いつつ、見たいものはしっかり見せてくれたので、満足感でいっぱいです。ありがとう。

 

今回注目したいのは、原典の「焼き直し」。第3話はこの点が明確に意識されて作られていました。真司と蓮、浅倉とゴロちゃん、そして北岡先生。原典の最終話でぶつかった2組が、16年越しに火花を散らし、あの時とは異なる運命を辿った。役者さんも台本を読んで納得したと仰られてましたが、私も今作に詰まった『龍騎』への「愛」に感極まりっぱなしでした。

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RIDER TIME 仮面ライダー龍騎 EPISODE2「Another Alternative」感想

RIDER TIMEとして蘇った2019年版『仮面ライダー龍騎』。 第2話を観て最初に抱いた感想は、「尺が足りない...」でした。いや、物凄い面白いんですよ。キャラクターの絡みも、散りばめられた謎の数々も、次々と繰り広げられるライダーバトルも。しかし、贅沢を言って申し訳ないのですが、やはり描き切るのに3話というのは厳しいな...というのが正直なところです。

 

とはいえ、内容は濃密で濃厚。テレビでは描けないシーンを含みつつ、グレードアップした殺伐とした世界観はまさに『龍騎』。第2話も、満足度はか~な~り高めです。

 

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仮面ライダージオウ EP31「2001: めざめろ、そのアギト!」感想

レジェンド編第2弾でありながら、前回で「オーマの日」閉幕という大きなタームを乗り越え、新章に突入したジオウ第31話はアギト編。ライダー初参戦の杉原監督と、第16話ぶりの毛利脚本による気合の入った回でした。

 

杉原監督といえば『ルパパト』で鮮烈な印象を与えてくれた次世代のエース。もう一人のエースである上堀内監督が戦隊へと移ったタイミングで入れ替わりでの登板です。こうして入れ替わっても「次世代コンビ」がニチアサを担うのは嬉しいですね。『リュウソウジャー』の方も新たなチャレンジにわくわくしっぱなしですし、杉原監督も負けじと新風をライダーへ持ち込んでほしいところ。

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モーニング娘。’19が歌う「恋」と「愛」について

先日「ベスト!モーニング娘。20th Anniversary」が発売されまして、早速購入しました。2007年発売の35thシングル「みかん」から昨年の66thシングル「フラリ銀座」まで余すことなく収録された、モーニング娘。の後半10年間の決定版。20年もやるとシングル曲A面だけで30曲近くもあるんですね。圧巻です。

 

ベスト!モーニング娘。20th Anniversary【通常盤】

 

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