零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

『ゼロ』がみせた壮大な補完の物語〜アニメ『シュタインズ・ゲート ゼロ』感想~

どうも、ログ(@exloyrog)です。
 
シュタゲが終わった。
その喪失感がすごいTodayです。
 
...はい、今更説明する必要はないと思いますけど、今週木曜の放送をもって、4月から放送されていた『シュタインズ・ゲートゼロ』が最終回を迎えて完結。これはすなわち『シュタインズ・ゲート』シリーズが有終の美を飾ったということです。

 

 

 

 

 

シュタゲ、存在は知っていたのですが、「厨二病の人が出てくる小難しくてちょっと怖そうな作品」という印象が強かったんですよね。だから今年までずっと触れてこなかった。
 
ですがいざ蓋を開けてみると、どんな作品よりも湿度が高く、熱くてドラマチックで人間臭い、温かい物語でした。必死に運命と戦う岡部と仲間達、必殺技のように素晴らしいタイミングで流れる楽曲、複雑でエモーショナルな物語。そんなどこかヒーロー番組的な要素にも惹かれたのかもしれません。鳳凰院凶魔というキャラクターも最初は変なキャラとしか見えませんでしたが、今はもう正真正銘のヒーローだと思います。
 
 
そんなシュタゲに私が出会ったのは、今年のこと。ちょうど就活が落ち着いた5月にゲーム版(iOS)を友達に勧められてやってみたんですよ。そしたら抜群に面白くて、あっという間にクリアしてしまいました。ノベルゲームみたいなのは初めてだったのでルート分岐は最初わからなかったのですが、分かってからはとにかくどんどん切なくなって...。この点、ノベルゲームやったことなくて良かった。トゥルーエンディングは難しかったので攻略サイトを頼りましたが、逆流するエンディングからの「境界面上のシュタインズゲート」の演出があまりにも好きすぎて何度も見返したりもしました。
 STEINS;GATE - PSVita
 
その後プライムにアニメ版があると知り、怒涛の勢いで一気見。ゲーム版以上の熱い演出にやられてしまいました。23話のスカイクラッドが流れるタイミングなんて余りにもズルすぎだろ...!そこから24話、おまけの25話(これはDVDで)、そして劇場版と見終えて大満足。そんな多幸感に包まれる、素晴らしい作品でした。
 
 
そしてリアルタイムでシュタゲゼロが放送していることを知り、プライムで5話まで追いつき、そこからはAbemaでリアルタイム視聴。友達に勧められたタイミングが今年で本当に良かった。リアルタイムで見る醍醐味を存分に味わえましたし。毎週木曜の深夜は泣いて、Twitterで反応を見て、もう一回みてまた泣く。次の日は朝起きられませんでしたね。大学生で良かった(笑)
 
零化域のミッシングリンク

 

 
こんな感じでたまたまゲーム・本編を視聴し、ゼロに幸運にも追いつけたわけですが。
 
 
この番組、初見の人は絶対にわからないと思うし、2010年の本編を観ていないと追うことはほぼ無理、かつゲーム版もやっていないとわからないことがいくつかあるという、結構視聴層を狭める難しい試みだと思うんですよ。それでも、これだけの人気を誇ったのはやはり人気コンテンツなだけあるなぁと、当時見ていなかったのに感慨深くなってしまいました。
 
 
半年間、全く熱を落とさずに、原点の完成度に近い、いやそれを超えるレベルのものを提供してくださった志倉千代丸氏、監督の川村賢一氏、脚本の花田十輝氏はじめスタッフの方々には感謝してもしきれません。
 
 
そんなこんなで先日見終えた「シュタゲゼロ」。熱があるうちに感想を書こう!ということで今回は思ったことをブログにぶちまけようと思います。特撮は今回関係ないけど勘弁してね!!!
 
 
 

今度こそ「なかったことにしてはならない」

 
シュタゲのテーマの1つに、「これまでやってきたことを「なかったことにしてはならない」」というものがあります。原点で岡部はふざけ半分で送ったDメールによって、多くの傷を負うことになりました。鈴羽、ルカ子、フェイリス、萌郁、そして紅莉栖。まゆりを助けるためには皆の思いを犠牲にしなければならず、それらを乗り越えてようやくゴールに辿り着くことができるというかなりハードな物語です。観測者である岡部だけが覚えている彼女達との記憶を、辛かろうが苦しかろうが「なかったことにしてはならない」。それを「なかったことにした」結果、『ゼロ』の世界線を歩むことになりました。
 
 
そしてこの世界線でも第三次世界大戦が起きるということを知っても、なお岡部は過去の恐怖に取り憑かれ、タイムマシンに乗ることから逃げ続けます。その結果、まゆりと鈴羽はミサイルに破壊され(と岡部は観測し)、第三次世界大戦へと歩んでしまうという最悪の結末に。2036年の悲劇を実感したことで、ようやく岡部は逃げずに進むことを決めるわけです。
 
 
ただ、進むといっても変えるべきは未来ではなく過去しかない。そして唯一の方法である3000回のタイムリープを実行し、2010年へと戻るのでした。もうこの時点で相当困難を極めてますが...。それをしても、まゆりと鈴羽の収束は避けられませんでした。
 
 
ここから次に進むためにやるべきことが、アマデウスの削除、というのがもう泣ける。原点の22話同様、実質紅莉栖と再び別れなくてはならないという決断を迫られることになりました。描写としては1話分くらいでしたが、アマデウスは3000回のタイムリープの間、常に岡部の隣にいて助けてくれた、いわば26年来、いやそれ以上の付き合い。2025年の死から逃げる場面で、上手くサポートしてくれる姿はまさに紅莉栖そのものでした。(てかあれアニオリらしいですね。あまりにもグッジョブだし、スカイクラッドやべえ。)
 
 
そんなアマデウスとの別れ。何度も別れを経験してきたというのに、ここでもか!という。辛すぎます。でもこれが「なかったことにした」代償。岡部は今度こそ、アマデウスとの別れも、まゆりの決意も、鈴羽やダルの思いも受け入れて、進めることに決めました。
 
ここで1番好きなのは、アマデウスが「戦争の道具に使われることになってしまった自分が、まゆりのために命を捧げることができるなんて、ロマンチックじゃない?」(うろおぼえ)と言うシーン。紅莉栖〜!!!!ともう号泣してしまいました。最後に見せた笑顔も、なにもかもデジャヴで。今度こそ本物の紅莉栖に会えるシュタインズゲート世界線に到達してほしいです。(ただ、ゼロの岡部、いわゆる執念オカリンは到達できないんですけどね...。そう思うと悲しいし切ない。)
 
 
 
またアマデウス関連で忘れてはならないのが真帆先輩。モーツァルトサリエリの関係に何度もなぞらえ、挫折を味わい続けてきた彼女は、岡部とともに紅莉栖の死に苦しみながらも、最後には執念を持って世界との戦いに挑みました。
 
 
紅莉栖以上に研究者然としていながらも、紅莉栖より内面が脆い。そんな彼女がタイムリープマシンの開発を決意し、深く関わっていく姿には毎週ドキドキしましたよ。最終的にアマデウスを失い、忘れてしまったのはすげえ悲しいんですけど、それでもダル同様ずっと側にいてくれた戦士。紅莉栖のヒロイン性とはまた違った戦友感が好きなキャラクターでした。
 
 

まゆりが彦星様を救う物語

ここまでアマデウスのことを語ってきたわけですが、自分的にはそれ以上に、まゆりにグッとくる物語だったと思っています。シュタゲゼロは「まゆりが彦星様を救う物語」だと断言できるほどに。

 

原点のまゆりは運命の1番中心にいながら、最も蚊帳の外に居た存在なんですよね。そのバランスが面白く、何も知らなかったからこその「もう無理しなくていいんだよ」は涙腺に効きましたが、一方で何も知らずに助かったというのは、まゆり側からしてみればとても辛くて悲しいことなんじゃないかという引っかかりも少しありました。

 
 

無限遠点のアルタイル

 

そんな引っかかりを全て飲み込んで、超えてきたのが第16話。どの話も好きなんですがこの回の瞬間最大風速は1番だと思ってます。「何も知らなくていい。何も考えなくていい。この世界が正常なんだ」という岡部の言葉に対し、「じゃあ何でそんな悲しい顔をしてるの?」と叫ぶまゆりがしんどすぎてしんどすぎて。でも、そこを乗り越えて過去に飛び、23話βの岡部を、彦星様を復活させると決意した17話のまゆりの表情は、ずっと見たかったものを見せてくれた、と嬉しくなりました。ここほんと花澤香菜さんの演技が素晴らしかった.....。
 
 
この時に飛ぶ場所が23話βというのがまた良い。まゆりのビンタ、ゲーム版でもアニメでも結構唐突で、一瞬感情がついていかないんですよね。最初見た時は、その後の激エモ展開で気にしなくなったり、まゆりがそもそも原点の方ではあまり気持ちを見せないからそこが上手いこと煙幕にはなっていましたが、それでも個人的に1番引っかかっていた部分ではあります。
 

STEINS;GATE ドラマCD β「無限遠点のアークライト」ダイバージェンス1.130205%

 
これをドラマCD「無限遠点のアークライト」のストーリーを使い、ゼロのメインに据えて解決するなんて技を使ってきたんだからまあビックリ。タイムマシンで飛んだまゆりと23話のまゆりの会話、岡部が放心状態の時のまゆり側のフラッシュバック、そしてHacking to the Gate。最終話の補完力は完璧すぎてもう涙が止まりませんでした。
 
 
「ラボメンナンバー002!オペレーションアークライトを遂行せよ!」と言われた時の嬉しそうな表情がもう...。そうそう、頰を赤らめたり、涙を流したりと原点よりも表情豊かだったのがゼロの良かったところですね。大袈裟すぎる部分もありましたが、個人的にはスッと伝わってきたのでとても好きです。
 
あとまゆり関連といえばやっぱりかがり。かがりは岡部同様、まゆりを失いたくないあまり先に進めないキャラクターでしたが(というか最終回でわかったのですが)、これが今の岡部と過去の岡部を対比を暗喩していて、よかったなあ。最終的には洗脳もなかったことになり、岡部を信じて良い方向に向かってくれてほんと良かったです。
 
 
そんなこんなで、シュタゲの第2のヒロイン・椎名まゆりの物語を前面に押し出してきた挑戦作『シュタインズ・ゲートゼロ』。今回は触れませんでしたが、私もリアルタイムで号泣した伝説のクリスティーナ回、第8話は勿論大好きですし、シュタゲ自体が最終的には岡部と紅莉栖の物語だとわかってます。
それでも!!俺はまゆりの物語だったと声を大にして言いたい!!
そんな今作でした。最後の岡部かっこよすぎてズルすぎやで。
 
 
 
 
以上、ていうかもっと書きたいのですが今回はこんなところで締めようと思います。『ゼロ』の後、23話、24話を見返しましたがやはり最高。また一から見返したくなりました。原点、ゼロを通してぐるぐると円環構造のようにまわり続ける物語は、まるで壮大な時の流れに放り込まれたよう。そんな物語を創ってくださったことに感謝しかありません。ありがとうございました!!