RIDER TIMEとして蘇った2019年版『仮面ライダー龍騎』。 第2話を観て最初に抱いた感想は、「尺が足りない...」でした。いや、物凄い面白いんですよ。キャラクターの絡みも、散りばめられた謎の数々も、次々と繰り広げられるライダーバトルも。しかし、贅沢を言って申し訳ないのですが、やはり描き切るのに3話というのは厳しいな...というのが正直なところです。
とはいえ、内容は濃密で濃厚。テレビでは描けないシーンを含みつつ、グレードアップした殺伐とした世界観はまさに『龍騎』。第2話も、満足度はか~な~り高めです。
前回の感想はこちら。今回もネタバレ注意。
⌚⌚RIDER TIME 龍騎ジオ!⌚⌚
— 仮面ライダージオウ (@toei_rider_ZIO) 2019年4月6日
「RIDER TIME 龍騎」”EPISODE 2 Another Alternative ”の公開が近づいているジオ〜。
幕を開けたライダーバトル!
衝撃のベッドシーンとは、なにジオ・・・。https://t.co/glKk9WtEZe …#RIDERTIME #ジオウ #仮面ライダー龍騎 #ナイト #ゾルダ pic.twitter.com/7k5ZTlzxNG
手塚の嘘と芝浦の愛
第2話で注目したいのはやはりこの2人。まさかの恋人同士だった手塚と芝浦です。肉焼きながらシザースの石橋くんを刺すシーンとかいきなり衝撃すぎる。人の血がついたナイフで食べる肉は美味いか?芝浦よ。2人のサイコキラー感は当時のキャラクターとは大きくかけ離れている感じがします。
しかし手塚については、当初のプロットでは「裏切るキャラクター」だったというのは有名な話。「Liar」という名前や悪役っぽいマスクにはその名残がありますね。その初期設定を17年越しにここで持ってきたのは面白いし、井上敏樹やるなあ......と舌を巻きました。全話見直しただけあって気合の入り方が違う。
そんな嘘つきの持つ素顔が「同性愛者」というのは、思い切った挑戦ですよ。「テレビじゃできない」は血や残酷描写よりもこちらを示しているみたいですね。本編じゃ絶対に想像もつかないカップリングだから、度肝を抜かれました。そして愛し合うだけじゃなく、「一緒に死のう」「いや、殺しあった方が愛が深いじゃん?」という応酬は何とも重い。2人のキャラクター性をベースにしつつ、全く異なる関係性を描いてきたのは非常に面白かったです。
そうそう、ベースといえば手塚が占いで「THE TOWER」のカードを引き、芝浦に嘘をついた描写はこれぞ手塚!という感じがしてよかったですね。間違いなく当たる占いだから、「破滅」は避けられない。だけどその運命に抗おうとする彼の精神性は当時と変わっていませんでした。
次々と死に至る
『龍騎』といえばライダーの死。今回も次々とご臨終されました。3話しかないのでポンポン死ぬなあ...と尺に不満を感じつつも、それぞれの死にある程度のドラマは用意されていたのでよしとしよう。石橋くんは...まあしゃあない。
今回の死者は手塚、芝浦、石橋くんの3名。手塚は芝浦との一騎打ちに破れ、芝浦は突如出現したリュウガに瞬殺されるという運び。せっかく勝利しても不意打ちを食らうのはガイらしいというか。運命は変わんないなあ...とガードベントを思い出しながら感慨に耽っていました。
ドラマ面で持って行ったのは手塚。死の間際に、かつての記憶を取り戻しました。前回同様、回想の使い方が上手い柴崎監督ですが、映像はやっぱり古いし役者さんはめちゃめちゃ若いですね(笑) 単体で見るとそんなに古く思わなかった『龍騎』ですが新規の映像の中に入るとまあそうなるよね。
記憶を取り戻した手塚が、間に合わなかったにせよ真司に「お前はお前らしくいればいい」と言伝を残した場面は熱い。かつての戦いと同じく先に逝ってしまったわけですが、記憶を取り戻した彼はまぎれもなくかつての手塚でした。この死の「焼き直し」を実現できるのが『龍騎』らしいし、改めてこの作品は『龍騎』なのだな、と実感したカットでしたね。
記憶はなくとも
前回の引きからの、真司と蓮の生身での会話。アドリブで入れたという「ロン!」やら会話の調子やら、完全にかつての2人がそこにいて、感涙ものでした。命をかけた血生臭いバトルを繰り広げる作品ではありますが、等身大の人間達の掛け合いこそが、実は『龍騎』の一番の旨味だと思うんですよね。平時の応酬があってこそ、死に際が輝くのだ。
1話で真司が蓮らしき人と会わなきゃと言っていましたが、蓮の方もだれかに呼び掛けられる感覚があったそうで。「戦いを止めろ」...ってそりゃ間違いなく真司ですわ。記憶がなくとも、面識がなくとも、2人が繋がってるんだという深い絆が感じられて、また少し泣きました。オタクはこういうのに弱いよ。
そうそう、2人の雰囲気が当時より柔らかかったのがなんだか落ち着きがあって良かったです。かつての感じを残しつつ、「17年経った2人」をしっかり演じようとしている須賀さんと松田さんの向き合い方が伝わってきました。ちょっぴり落ち着いた塩梅の中に「ビールをかける嫌がらせ」を入れるアクセントがちょうど良く『龍騎』でしたね。ていうか真司の再現度高すぎて松田さんちょっと笑いかけてたよね。
そんな2人を呼び出す主催者・サラ。事の真相は意外とすぐに明かされました。正直この辺については矢継ぎ早であまりノレなかったかな...。「興味ないな...」と思ってしまったのは、かつての神崎兄妹と関係なさげだからですかね。まあ2人が復活してしまったらいろいろ悲しくなってしまうので仕方ないですけど。この2人の向かう結末についてはあまり期待しすぎず、ライダーバトルを見届けようと思います。サラさん、消える気しかしないぜ...。
以上、第2話でした。全員の運命が交錯し、いよいよ最終回へ。展開が早いのは勿体無いと思ってしまいますけど、その辺はどうこう言っても仕方がない。2019年版『龍騎』の結末をしかと見届けます。