零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

『週刊 絆-ネクサス-』第1号「夜襲 -ナイトレイド-」

「『ウルトラマンネクサス』のリアルタイム視聴を追体験したい」という思いから始めた『週刊 絆-ネクサス-』。7月30日火曜日より早速『ネクサス』の配信が開始されたので、合わせて第1号発刊です。

 

 

第0号では「木曜更新!」などと息巻いていましたが、悲しい事に体調不良で寝込んでしまいまして...。大学生の頃なら「講義休めばいいや」と即決できるのですが、安易に欠席を選べないのが社会人のつらいところだぜ。

熱さまシートとポカリスウェットを用意して、朝まで12時間寝ることで、どうにかこうにか回復する事ができました。みんな熱中症には気をつけよう。

 



 

さて、第1話「夜襲-ナイトレイド-」。こうやって見返すとなかなか不思議というか、硬派な導入だな〜という印象。

孤門くんへの突然の異動命令&ショッカーばりの強引な身体検査、身元不明な変身者、一瞬しか登場しないネクサス、ていうか主人公はウルトラマンじゃないの?...などなど謎多きスタートですね。

 

近年の作品に慣れていると尚更、戸惑いが大きいのではないでしょうか。そんな衝撃の第1話、2004年10月2日から時を超えて、再び夜襲。

 

 

 

夜襲 -ナイトレイド-

 

 

「怪獣」と一線を画す者

『ネクサス』における怪獣、スペースビースト。ウルトラマンシリーズといえば敵ながら愛らしさを感じるキャラクターとして、様々な怪獣が登場しますが、この作品では「理解し合えない存在」として描くことを明確に意識されているようです。
何てったって最初のガソリンスタンドのシーン。ガソリン漏れかな?と車の下を確認した店員が、液状の怪獣に呑まれるという、余りにもショッキングな登場。00年代初頭っぽい少し古めのCG処理がなお一層不気味さを醸し出しています。
 
 
この「ホラー映画」に出てきそうな感じはなかなか近年のウルトラ作品では見られないのではないでしょうか、と言いたい所ですが、ウルトラシリーズは古くても『ガイア』、そして最近のニュージェネシリーズしか見たことが無いのであまり突っ込んだことは言えませんが(笑)
とはいえ、あんなヘドロみたいな怪獣、というか化物を夜の日常に登場させる所とか、今では絶対に出来ない表現でしょうし、明らかにウルトラシリーズを大きく変えていこうという姿勢を感じるポイントです。
 
 
 
また、別シリーズですが、個人的には『仮面ライダー龍騎』のミラーモンスターや、『仮面ライダー響鬼』の魔化魍に近いものを感じたり。敵種族との共存がテーマに上がることが多い平成ライダーシリーズの中で、この2作の敵は明らかに異端だし、スペースビースト同様インパクトに残ります。
 
更に別シリーズでいえば、雨宮監督が描く『牙狼』の世界観に近いテイストを感じています。
牙狼』の敵「ホラー」は人間の心の隙間を突いて乗っ取り、取り憑いて、他の人間を人知れず喰らうという性質。この点ではどちらかと『キバ』のファンガイアなんかが近い人型・知能型ですけども、「闇夜に紛れて人を喰らう」不気味さに近いものを感じましたね。
キャラクターの性質、というよりも演出の質感が近い感じ。特に初期の『牙狼』は2005年放送と時代も近いですし、人の襲い方には力が入っているので(笑) オススメです。
 

 

絵本
 

 

 
このスペースビーストが世間的にはどう見られているのか、というのは今後語られていくわけですが、第1話で襲われた一般人を見る限りでは「知られていない」みたいですね。という事はナイトレイダーは警察組織の一端として知られているのか、そもそも知られていないのか。
 
なんて、先の展開を知っていつつも、これまでの話数だけで色々考察するのもありかもしれません。
 
 
 
 

防衛組織の「闇の組織」感

 

「組織」と聞くと何を想像しますでしょうか。個人的に「悪の」「闇の」が先に付いてくる気がして、というのは特撮の見過ぎかもしれませんが、どうにも良いイメージを持たないんですよね。何となくギスギスしている感。

 

でも「防衛組織」と聞くと、これもウルトラマンからの刷り込みかもしれませんが、安心して任せられる味方のイメージがあります。

 

『ガイア』のXIG、『マックス』のDASH、『メビウス』のCREW GUYS、『X』のXioなど、自分の知ってる作品だけ見ても、「ああ、このチームに助けられたいな」「関わってみたいな」という信頼感まである。

 

 

ウルトラマンネクサス ナイトレイダー アタッシュセット

ウルトラマンネクサス ナイトレイダー アタッシュセット

 

 

 

しかし今回のナイトレイダー、そして上部組織のTLT(ティルト)。圧倒的に入りたくない「闇の組織」感(笑)

 

多部署から急な人事異動をさせたり、そのくせ明らかに怪しげな身体検査を極秘裏に行ったり、現場では副隊長を名乗る女性が、助かったばかりの一般人をいきなり怒鳴ったり。あらゆる面で怪しく、近寄りがたい感が第1話だけ見ても伝わってきます。至極硬派。

 

 

しかし一方で、ウルトラマンがいなくても、防衛隊だけでスペースビーストを撃破できるのはポイントが高い。等身大しか破壊していないので巨体を相手に取ると分かりませんが、洞窟での撃破シーンには、チーム力や装備の高さを感じました。この点、他の作品ではどうやっても人間じゃ勝てない場面がよく見られるので、良い差別化だな〜と。

 

まあでも、入りたくはないですよね(笑) 強さ・優しさ・風通しの良さの全てを兼ね備えてたら完璧だけど、そうは問屋が卸さない。現状、ナイトレイダーは強さ全振りの印象です。

 

あ、でもビーストの採取とかしっかりしていたし、TLTの研究機関はちゃんとしていそうですね。ガチガチにしっかりしていそうだけど、何だか怪しげ。ここに孤門が加わるとどうなっていくのかには注目したいところです。

 

 

 

 

ネクサス、謎の男、孤門くん

 

さて、ここまできてようやくウルトラマンについて。...なんですが、なんとネクサス、登場シーンがわずか50秒。30分番組の初回放送で、看板ヒーローが50秒しか出ず、グーパン一発。まさかですよ。新番組始まる〜!つって朝早起きしてネクサスの登場を心待ちにしたちびっ子、どんな気持ちよ。

 

 

大人になって見たらめちゃくちゃ良いシーンなんですよ。追い詰められた主人公が、いつものトラウマの先に「諦めるな!」という言葉を見つけて鼓舞される。しかし時すでに遅し、死を覚悟して目を瞑ると...。ビリビリ、と空気が振動する中突如現れる銀色の巨人。

 

孤門を見つめる優しい眼差しが、彼に力強いメッセージを伝えているかのようで、何だかもうヒーローとしての格が非常に高い。短いながら、今後の展開にも繋がる名シーンだと思います。

 

 

しかしまあ、ちびっ子は物足りないだろうな...というのはどうしても思っちゃう。第1話なんだから!!もっと戦って!!!みたいな。いや、『ガイア』も登場して終わりなんですけどね。でもアレは怪獣が暴れ回る特撮の面白さや、我夢:オリジンとしての流れがあるから。

 

 

exloyks.hatenablog.com

 

 

そして変身者が何者か全くわからないまま終わる、というのもなかなか特殊。アバンで語っている姿からして、もっと出てくるのかと思いきや、「主人公は別にいて孤門一輝くんという隊員です!」「しかも変身しません!」「変身するのは冒頭の男だけど、ドラマパートにほぼ出ません!」なんて、後にも先にもできませんよ。

 

彼が以後どう孤門くんと関わっていくのか、それとももはや関わらないのか。またネクサスはこの世界にとっての、ヒーローになれるのか。不穏な空気の中に差し込む一筋の光の物語は、ここからスタートです。