零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

仮面ライダージオウ EP41「2019: セカイ、リセット」/EP42「2019: ミッシング・ワールド」/EP43「2019: ツクヨミ・コンフィデンシャル」 感想

 

『ジオウ』EP41〜43は、ウォッチ回収後に起こった一大事のお話。歴史改変はオーマジオウによって起こされるものかと思っていましたが、意外な人物によるものでした。

 

もう1人のジオウとして擁立された男、加古川飛流。ソウゴとゲイツの絆の力で撃破され、ソウゴの説得により立ち直ったように見えましたが、残念ながらそうは問屋が卸さない。再び彼の前に立ち塞がります。しかも、より最悪な形で。

 

リセットされた世界に、未来の王はどう立ち向かうのか。最終章の幕開けです!

 

 

 

 

 

 

 

 

リセットされた世界で

 

19のウォッチが揃い、最強の力を手に入れたソウゴは、いきなりラスボス・オーマジオウへと立ち向かいました。しかし、グランドジオウの力を持ってしても倒せない魔王。ドライブの力を正規ルートで手に入れていないから...という説明は、映画を観た後だと繋がりが謎ですが、ここまで来ても圧倒的な相手です。勝ち筋が見えぬ。

 

41話の予告段階ではオーマジオウによって世界がリセットされると思っていたのですが、実は彼は無関係。スウォルツと加古川飛流が歴史を捻じ曲げ、改変したのでした。

 

知っているようで、全く異なる世界に辿り着いたソウゴ。そこに待っていたのは、レジスタンスの逃げ場と化したクジゴジ堂、そこで負傷者を手当てするおじさん、立ち塞がるゲイツツクヨミ...などといった異なる現実。同じ姿をしている相手が、全く知らない人になるという恐怖がじんわりと漂う画面は、なかなか恐ろしかったです。特にあんなに怯え、焦燥感を見せるおじさんは見たくなかった。

 

でも、もしソウゴが目指す王が「最高最善の魔王」ではなかったとしたら。2019年の時点で、2068年と同じような荒廃した世界に陥っていたのかもしれない。『ジオウ』のIF展開を、この最終局面でぶっこむ発想は面白いですね。 過去の作品でいえば、『パラダイス・ロスト』の「オルフェノクが支配する世界」なんかが近いかも。「荒廃」の表現として、レジスタンスの埃っぽい基地や負傷者の姿を描くところも。

 

 

 

 

このリセットされた世界の中で出会ったゲイツツクヨミは、見知らぬ別人。そのはずなのに、ソウゴの言葉や行動を見ていく内、彼らは感化されていきました。まるでこれまでの『ジオウ』の展開をなぞり直すかのように。例え記憶がなくなっても、真っ直ぐぶつかり合えばまた思い出してくれる、と食らいつくソウゴくんと、聞く耳を持たなかったのに、いつの間にかソウゴくんの言葉を受け止めてしまったゲイツくんにニヤリ。やっぱり『ジオウ』の醍醐味は2人の関係性にこそある。

 

 

『ジオウ』の物語そのものの「焼き直し」をするかのような一篇として、このリセットされた世界の物語には満足しましたが、それにしても可哀想なのが加古川くん。アナザージオウⅡの強さはピカイチでしたけど、所詮はスウォルツの傀儡で、利用するだけされたら捨てられるという悲惨ぶりです。

 

もし第28話の最後、ソウゴの言葉を受け止め、今のために生きることができていたら。過去に拘り、恨みに囚われるような生き方を捨てていたら。こんなに虚しいオチは待っていなかったんじゃないでしょうか。今後彼が番組に登場することは無いんでしょうけど、こういう終わり方になるのなら、第28話の出番が最後で良かったなあ。

 

 

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とはいえ、彼が引き連れたアナザーライダーズは壮観でした。未登場のアナザードライブ、アナザーディケイドを除く17の怪人達。アナザークウガだけ浮いてましたけど(笑)、これだけ揃うと圧巻です。第28話でも充分堪能したのに、この上を本放送で見られるなんて。全てのライダーのアナザー怪人を誕生させることができたという事実は、間違いなく『ジオウ』が残した大きな功績ですね。

 

そして、第40話のグランドジオウ無双を超える、夢の20ライダーキック。1人で全ライダーを引き連れる事ができるグランドジオウさん強すぎです。アナザー電王の比じゃない、アナザージオウⅡに対するオーバーキルは、彼が強敵だったからこそカタルシス全開。劇場版並に気持ち良かったです。4人同時変身も美味しかったし満腹ですよ。士くんまで一緒に変身とかズルい。

 

 

 

『ディケイド』の力

門矢士と海東大樹。ディケイドとディエンド。この2人は他のレジェンドライダーと一線を画し、驚くほどガッツリと絡んできました。特にこの3話以降は、事件の渦中に。「まるで『ディケイド』のジオウ編じゃん!」と初期の頃に書いたような気がしますけど、ここまでとは。


今回の士くん、味方として非常にカッコ良くて、頼もしいです。加古川飛流率いるアナザーライダーズとソウゴの戦いに割って入った士。これまで『ジオウ』においては、敵か味方かわからない立場を取っていた彼が、明確に助けに入った瞬間でした。

 

コックに迷彩服と「コスプレノルマ」をこなす所はシュールですけど、魅せるところは魅せる様はまさに主役。ツクヨミを助けに颯爽と現れ、「通りすがりの仮面ライダーだ!」とテンプレをこなすところもまるで『ディケイド』を見ているかのようで、どこまで乗っ取るんだと(笑)

 


しかし、そんな士に対する海東の立ち位置よ。「お宝のために」と士に銃を向け、スウォルツの作戦に加担しやがりました。何となく流れで時止め能力まで手に入れてしまったこの怪盗、あまりに厄介。


昔から敵か味方かよく分からない、何を考えてるかわからないキャラクターでしたが、今回の一件で余計に理解できなくなりました...。これまでの旅で士に向けた仲間意識は何だったのか。まあ、その気持ちがこじれてやらかした例はあるので、海東らしいっちゃらしいのですが。

 

 

 


それにしても、海東の気まぐれな行動によってラスボスを生んでしまうという流れになったので、この2号ライダーの罪は重い。ジオウの世界での旅が終わったら反省してください。夏メロン流石に怒ってやれ!

 

たった2人が登場しただけなのに、他番組を飲み込み、視聴者への印象もかっさらっていく『仮面ライダーディケイド』とかいう番組、恐るべし。記念作同士で決着をつけるんだ!という心意気まで見て取れました。世界の破壊者に勝てるか、我が魔王。

 

 

 

劇場版仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー

 

 

 

スウォルツと横軸

さて、第43話で明らかになったスウォルツとツクヨミの関係。『アギト』編の第31話で彼女は記憶喪失という前振りがされてから、何気に長く引っ張ってきましたが、スウォルツから語られた真実は、ツクヨミが妹という点以外は正直唐突でした。

 

彼らは別の時間軸からやってきた、その時間軸における王家の末裔。時間を操る力を持つことから、その世界においてはかなり強い権力を持っているのだと推察されますが、あくまでスウォルツが王として君臨したいのは、その世界において。すなわち、ソウゴやオーマジオウの存在する、これまで描かれてきた時間軸は全く関係ないのです。

 

第48話まで視聴済の今だから言えますけど、やっぱりこの設定は上手く噛み合わなかったのではないでしょうか。ここから徐々に歯車が狂い、『ディケイド』に助けてもらう形で持ち直そうとしたけれど、最終回ギリギリで間に合わなくなった印象。縦軸だけで物語を進め、スウォルツを「オーマジオウに代わって王となろうとする敵」とした方がスッキリしたのでは。

 

第一、こうなってくると「タイムジャッカー」とは何だったのかという疑問が生まれます。ウール、オーラを騙していたのは分かったけれど、じゃあタイムジャッカーはスウォルツ+2人しかいなかったの? もっと大きな組織じゃなかったの? 大きな組織がないなら、ウールとオーラはすぐに気付くんじゃないの? とか色々。スウォルツが己の目的達成のために2人を騙して作った組織、というのは弱いし、勿体無いんじゃないですかね。

 

とはいえ、スウォルツ役の兼崎健太郎さんの演技は非常にニクくて、敵ながら天晴。キャラクター性も、妹の力が強いことに嫉妬する辺りとか、小物な様も良いアクセントになっていて、人間味のある良悪役だなぁと思います。ソウゴ達とスウォルツがどう激突し、どう決着をつけるのか。演技合戦という意味でも楽しみです。

 

 

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以上、第41話から第43話までの感想でした。3話分をコンパクトに収めようとすると、どうしても最後の話に力が入ってしまう。反省してます。

 

もうあと6日くらい寝ると最終回という大ピンチな状況ですが、今度という今度は追いつきますので、頑張りますので...。ちなみに最終回を控えた今の心境は「不安」です。本当に終わらせられるのか、『仮面ライダージオウ』!?

 

平成ライダー、本当の終幕まであと6日。いよいよ秒読みです。