不定期連載企画「ハロメンと私。」。今回はBEYOOOOONDS/雨ノ森 川海より高瀬くるみさんを紹介します!
ファンシーなファッションが似合う、漫画から飛び出してきたようなくりんくりんのおめめとショートヘアの少女のあだ名は「くるみん」。好きな白黒の動物はパンダ、というのもらしい。
そんな彼女の特技は殺陣と料理。料理については野菜ソムリエの資格を持つほどのお手前だそうで、その才能は随所随所で発揮されています。
ただでさえ個性だらけ、おもちゃ箱のようなBEYOOOOONDSに加入したポップな女の子。彼女はグループにおいて、どんな個性を光らせているのでしょうか?
個性を纏めるリーダーシップ
いきなり楽曲やパフォーマンス外の話になってしまいますが、くるみんといえばリーダーシップが抜群にある!という印象が一番前に出てきます。
メジャーデビュー以降、SNSやメディアでの露出も徐々に増え、最近は色んなところでインタビュー映像が上がっているBEYOOOOONDS。12名の大所帯をまとめ、上手く場を持たせるのは至難の業。研修生時代からトークスキルも磨いているとはいえ、現役中高生の他メンバーのわちゃわちゃ感はどうしても抑えきれない時があります。
その手綱を常に握っているのが、当時20歳の彼女。
令和元年8月7日のメジャーデビュー前に行われたインタビューでは、ハキハキとした話し方、誰にでも伝わりやすいような言葉選び、語尾を濁さない締め方と、デビュー前のアイドルとは思えない程に場を上手く取り仕切っていました。
そしてこの仕切りに嫌味を全く感じないのもポイント。ともすれば目立ちたがりと取られてしまう難しいポジションにありながら、他のメンバーを引き立てる仕事も担う。リーダーとしての力量が流石です。
何度かあったサプライズ発表の際には、涙を封印してトークを回し、率先して喜びを言葉にしてくれる。その手腕が毎度流石で、こちらも安心して見ることができるのです。今のところ場が冷えるところを見たことがなくて凄いなと。
余談ですが、BEYOOOOONDSのリーダーはくるみん以外にいっちゃん(一岡伶奈)がいて、キビキビとしたリーダーとおっとりしたリーダーとで上手く棲み分けているのもこのグループが上手く成り立ってる要因かなと。堅くなりすぎず、柔らかくなりすぎない。Wリーダー制は良いバランスを取れているなぁと思います。
また、「メンバー間で敬語を使わない」こともこのグループの特徴。最年少の清野桃々姫と最年長の一岡伶奈の年齢差は6歳。普通だったら敬語を使ってしまいそうですが、メンバー間の雰囲気をつくるためにあえて「敬語廃止」にしたそう。Wリーダー制といえども、リーダー絶対主義ではなく、各々がちゃんと意見を出し合っているというのです。色んな工夫がグループの雰囲気の良さに繋がっているんですね。
各メンバーのフォロワーシップと、一岡・高瀬のリーダーシップが上手に絡み合い、その土台に乗って各々が個性を大爆発させる。へんてこだけど、ちゃんとしてる安定感は、トーク中も、ステージ上でも健在です。
くるみんの個性を纏める技は、BEYOOOOONDSというグループだからこそ輝いているのだと思います。彼女の手腕とメンバーの温かさで、連帯感をもっともっと高めていってほしい。
声優のような達者な歌声
先ほどのトークからもわかると思うんですが、彼女の声、とってもキラキラしてるんですよ。初めて聴いた時に「声優やってた?」と疑うほど特徴的な声。その声色は楽曲に存分に活かされています。
まず紹介したいのは、演劇パートの巧さです。「文化祭実行委員長の恋」では、冒頭での長尺台詞パートで「赤羽橋高校OGで現在専門学生の高瀬くるみ」として滅茶苦茶喋っております。声優さんによるドラマCDを聴いているような安定感。快活な専門学生という設定もドンピシャです。
続いてデビュー曲、「眼鏡の男の子」。2番頭の「満員電車だから殺気だって急にプッシュ」以降の歌割が多めなので是非聴いてほしいのですが、台詞っぽいラップパートでのアンニュイな感じと、その気怠い口調では抑えきれていないあざとさが面白い。短い時間に「キャラクターへの解釈」をしっかりアウトプットする、その力量に毎回驚かされます。
ちなみに、先ほど「キャラクター」と書いたのには意味がありまして。先述の「文化祭実行委員長の恋」は「眼鏡の男の子」のアナザーストーリーで、彼女が台詞を喋ったキャラクターはどちらも同一人物なのです。張り切って司会進行をしていた彼女が、文化祭で見つけたシンデレラボーイと満員電車でぶつかって「だけど幸福!」と気持ちを昂らせている。そんな文脈を意識して聴くと、また違った聞こえ方になるかも。
BEYOOOOONDS『眼鏡の男の子』(BEYOOOOONDS [The boy with the glasses.]Promotion Edit)
一方「歌唱」に着目しても、積み上げてきたテクニックを活かし、魅力的なパフォーマンスをしています。まずは、彼女をフィーチャーした『恋愛奉行』という楽曲を是非聴いてほしいです。
「恋愛奉行」という架空のお奉行さんを、台詞でも歌唱でもしっかり演じきる技量に注目。アイドルが歌を歌う際、その歌詞や世界観にどれくらい浸れるか、その「浸れてる感」をいかにお客さんに伝えられるかといった点が重要かと思います。しかもある種「脚本」のような描き方をするBEYOOOOONDSの楽曲となると、演技力も加わってきて複雑。そんなポイントをすべてクリアし、難なくモノにしているのです。
また、レコーディング映像でおすすめしたいのが「Hey!ビヨンダ」。デビューから3年経ってメキメキと成長した高瀬くるみの本領が、ニュージャックスウィングのグルーヴの中で遺憾なく発揮されています。星部ショウのディレクションをスムーズに取り込み、どんどん高みを目指していくところにプロとしての矜持を感じる名場面です。
ここからは現場での話。高瀬くるみ、もといBEYOOOOONDSを生で見たのは夏のハロコン、『Hello! Project 2019 SUMMER「beautiful」』が初でした。彼女が最も輝いてた!と個人的感じたのは、グループよりもむしろシャッフルユニット。
生田衣梨奈、植村あかり、山木梨沙、山岸理子ら”あざとかわいい”メンバーと共に披露した「魔女っ子メグちゃん」は、選曲がぴったり過ぎ。原曲は往年のアニソンですし、キュートなアニメボイスが似合わない訳がありません。
声優さん的な歌い方や、江戸っ子演技が貼り付いたような演技歌唱まで、幅広くジャンルをこなすくるみん。これだけでも充分凄いですが、まだあります。次項では、派生ユニット「雨ノ森 川海」でのダークな存在感です。
雨ノ森 川海で魅せる艶っぽさ
個性的な声質でグループに彩りを与えている彼女ですが、もうひとつ別に活躍するステージが存在します。それがユニットグループである「雨ノ森 川海」。こちらでもリーダーを務める彼女は、BEYOOOOONDSとは全く異なる情動的な面を露わにしています。
激情的な歌やサウンドが多い大森靖子さんの提供曲「GIRL ZONE」では、気怠さ全開で病んだ目付きを見せ、キュートな面もコミカルな面も完全封印。怒りに燃える他4人のメンバーを従え、艶っぽさをこれでもかと全面に押し出していました。
映像が公式で上がっていないので直接伝えられないのは心苦しい・・・。春のひなフェス2019と、夏のHello! Project 2019 SUMMER「harmony」のライブビューイングで、くるみんの眼力に落とされました。いやもうくるみんとか呼べない。高瀬様。
この日発売のアルバムでは、待望の2曲目がついに発表。大森靖子さんの楽曲に、元アンジュルムの福田花音さんが作詞するという意外なフュージョン。「GIRL ZONE」より少し大人びた少女たちの込み上げてくる怒りを大森曲に全力で乗せています。
ギラっとした感じなら「GIRL ZONE」の方が好きかなあ。ただこの曲もどんなパフォーマンスが乗っかるかで、ググッと気持ちを持っていかれそうです。
大森靖子さんの楽曲に表現される、心の底からマグマのように湧き上がる黒い感情。それを声色、表情、眼力で曝け出す高瀬様の表現力は是非現場で括目してほしい・・・。
第2回、1st Albumの曲紹介と共に、高瀬くるみちゃんについてお伝えしてきました。ファンシーでポップなアイコンを纏いながら、コミカルにもダークにも幅広げ、グループを引っ張る第一人者と要素盛り盛り。2020年代のアイドルシーンを是非引っ張って行ってほしいです。
私にとって、ちょっと前までモー娘。で精一杯で、12人の新人なんて絶対覚えられないと思っていたのに、一気に深く愛してしまうレベルに到達したBEYOOOOONDS。このまま世間にも浸透し、令和時代の覇権を握ってくれることを期待しています。