2020年1月8日の夜。年末年始の休みも明け、仕事が始まった1週目の半ば、ようやく心と体が生活に慣れてきた頃に、衝撃の一報が流れた。
「こぶしファクトリー活動終了のお知らせ」
TLに流れてきたあまりにも無機質で淡泊な一文。ともすれば見逃してしまうくらいに、さらりと目の前を流れていった。何のことかよくわからなかった。「活動終了」？ 誰が。「こぶしファクトリー」？ なんで。
脳が文章を咀嚼するよりも前に、今度はORICON NEWSの公式アカウントが非情な一報を入れる。「こぶしファクトリー、3・30解散」。ようやく事態が飲み込めた時には、既に指が動いていた。待ってよ。なんで。これからだ！って言ったじゃん。悲痛な叫びは、誰にも届かずにそのまま流れていく。
ハロー！プロジェクトから2015年に生まれた「Berryz工房の後継者*1」、こぶしファクトリー。演歌歌手のようなこぶしを活かした力強い歌声と、ひたすらに前向きな歌詞が特徴的な5人組アイドルである。元々は8名で結成されたが、2017年下半期に立て続けに3名が卒業、脱退。初主演映画、シングル発売と勢いに乗っていた頃に訪れた苦難はまさに青天の霹靂。だが、残された5人は地道に立て直し、完璧なバランスの5人組アイドルへと仕上がった。
2019年10月にようやく発売された2nd Album『辛夷第二幕』は、今のこぶしの金字塔といっても過言ではない出来である。鍛え抜かれた5人のユニゾンは、昔からの元気な曲も、ジャズ調の難曲も、温かく壮大なバラードも、美しく力強く奏でる。無敵のチームワークを耳で受け止め、輝かしい未来に思いを馳せていた。
私がこぶしファクトリーをしっかりと認識したのは、正直いうとかなり最近である。夏のハロコンに行った時に聴いた「消せやしないキモチ」に惹かれ、その後たまたま確保できた当日券で赴いた秋ツアー。この公演で心を鷲掴みにされたのだ。
難曲「Come with me」をさらりと乗りこなす姿に惚れた。「LOVEマシーン」のアカペラ披露に度肝を抜かれた。次々と歌われる名曲たちに虜になった。煽りに感化され、全力でコールを入れた。ペンライトを振りまくった。終盤の「懸命ブルース」煽り入りバージョンに痺れた。どの曲をとっても、めっちゃくちゃ楽しかった。
こぶしファクトリーの特徴のひとつに「こぶし組」の存在がある。彼女らはステージ上にいながら、客席のオタク達と一緒にライブを作ることを望み、声が、歌が聞きたいとまで明言した。「こぶし組と一緒にステージを作る」。その発言を証明するかのように、曲とコールが一体となる場面が多々現れる。ライブの定番曲「亀になれ！」など、誰が考案したのかわからないが、合いの手が超絶難しい。が、完璧にハマった時の気持ちよさといったら半端じゃない。「ライブで生まれる一体感」は他のグループと比較して頭ひとつ抜けていると思う。
こぶしファクトリー『ドカンとBREAK』（グーちゃんリング）楽しみ方
→『ドカンとBREAK』に至っては「グーちゃんリング」という公式グッズで様々なフリが楽しめる仕組みを公式側から提供している
【ハロ！ステ#271】モー娘。'18新曲MV、20周年企画、研修生定点観測、こぶし・研修生北海道feat.稲場LIVE、J=J告知、森戸知沙希メイク紹介 MC：川村文乃
→コールがキレッキレで楽しい「亀になれ」。サビ後とか結構難しいコールやってるのに揃う一体感が気持ちいい
パフォーマンスとボーカルスキルへの感動、ライブで生まれる一体感への高揚。これだけでもハマる要素は充分だったのに、トドメを指してきたのは彼女らのトークスキル、そしてそこから窺えるグループの空気感だった。
『辛夷第二幕』がリリースされる直前に放送された「南波一海のアイドル三十六房 特別編」で、こぶしファクトリーは長丁場の喋りに物怖じせず、どんどん場を温めていった。自由奔放なのむさん。サバサバしたはまちゃん。動きも喋りもいちいち面白いさこ。さこに心からドン引きするれいれい。抜群の記憶力で数多のエピソードトークを展開するあやぱん。90分超、アイドルのトークでこんなに笑ったの初めてじゃないか？ってくらい引き込まれた。
司会の南波さんが言っていたように、こぶしは他グループと一線を画したサバサバ感が持ち味。べた付かない、馴れ合わない、過度にキャッキャしない。でも、自然な空気感で「友達」であり、「戦友」である。そんな関係性が、90分のトークや、各所SNSから伝わってくるのだ。別に騒がしくてキャッキャしてるグループが嫌いというわけでは全く無い。そのサバサバ感が一グループの個性として非常にアリだなと興味を惹かれたのである。
ハロプロの醍醐味といえばライブであり、彼女らが輝ける一番の場所はステージ上で間違いない。だが、トークイベントを通して、ステージを降りた5人の日常もずっと見ていたいと思わされたのだ。トークが面白いグループといえばアンジュルムが挙げられるが、彼女らの「やかましい部活感」とはまた違う。表現として正しいかわからないが、ずっと平熱なところが好きなのだ。ゆるくふざけ合ってるところも、冷ややかにボケを見つめるところも、至って平熱。ずっと見ていたいと思えるのは、その空気感が理由だと思う。
→ゆるくふざけながらでご飯食べてる楽屋ノリにニコニコしちゃう
その後は『辛夷第二幕』の初回盤A、Bの両方を勢いで購入し、アカペラ盤を聴きこみ、音霊の映像を繰り返し見た。時系列が前後するが、秋ツアー後に購入した春の初ホールコンサートの円盤は何度も再生し、泣かされた。
ライブ、音源、トーク。どれをとってもこぶしファクトリーは面白い。ハロプロはどのグループにも惹かれるため、全神経をこぶしに捧ぐのは難しいが、今後は少し多めに配分したいなと思った2019年だった。そして更なる躍進が期待できる2020年、もっともっと応援するつもりだった。春ツアーにも行く準備はできていた。それなのに。
「こぶしファクトリー活動終了のお知らせ」
「こぶしファクトリー、3・30解散」
「無念」。このニ文字が脳内を駆け巡った。
5人のブログを読み、理由を知り、この1週間足らず色んな反応を見て、一応納得はした。彼女らの将来を応援したいし、邪魔してはいけないと思った。頭では。内心は「なぜ」でいっぱいである。「完璧な5人組」であること、1人でも欠けちゃダメなんだということが諸刃の剣になるとは、トークイベントで話を聞いた時には毛ほども考えていなかった。増員も減員も考えられないと思いつつ、「解散」の文字は一切浮かんでいなかった。その可能性があったのに気付かなかった私は愚かだ。
この言葉を捧ぐ事は彼女らの誇りや今後の夢を傷つける事になる。それでも、「無念」で「残念」だと思ってしまう。その気持ちは未だ否定できない。綺羅星の輝きはいまからもっと増していくんだ、本番はこれからなんだと確信していた。先日YouTube配信されたばかりの「LOVEマシーン」のアカペラパフォーマンスを見ながら、ワクワクしていたんだ。日本武道館の大舞台に立ち、嬉しさに涙を流したり、キラキラした笑顔を見せたり、いつも通りのトークを繰り広げたりする5人組を目にする未来は、必ず訪れるものだと思っていたんだ。
未来への期待を強く持ってしまうほどに、今のこぶしファクトリーは輝いていた。だからこそ、脳天を思いっきり殴られた感覚、大きな喪失感は否めない。正直発表以後ずっと落ち込んでいる。こんな新規の私でもダメなのだから、「こぶし組」の皆さんはショックで堪らないと思う。ハロメン達の落ち込みぶりも余計につらい。
だけど、これを書きながら、何とか気持ちを切り替えたいと思ったのは、残された時間が僅かだと気付いたから。今自分に出来ることは、3月30日までの間、こぶしファクトリーへ全力でお金を落とすことしかないのだ。終わった後に暗い後悔を残さないように、彼女ら5人に全力で付いていくしかないのだ。
握手会、チェキ会、ジャンケン会。正直苦手だ。私は前述の通り、基本は「ステージ上のアイドルと外部から見守る観客」と構造の中に生きていたいし、「自分を彼女らの視界に（直接）介入ない方がよい」と思っているのだが、こうも時間が無いとつべこべ言ってられない。世間から身を引く人が一人でもいるのだから尚更だ。この瞳でスクリーンショットできる機会が少しでもあるならば、行くしかないのだ。こぶしファクトリーという存在を、時が経っても決して忘れたくないんだから。
1月13日現在、5人に会える機会は以下の通りである。正直ホームページの記載は文字数が多くて情報を掴みづらいので、是非活用してほしい。
- 冬のハロコン
◯公式詳細：こぶしファクトリー：コンサート＆イベント｜ハロー！プロジェクト オフィシャルサイト
◯価格：9,000円（+手数料）
◯日程：
・1/18(土)、19(日) 愛知公演
・1/25(土)、26(日) 大阪公演
・2/2(日) 広島公演
・2/11(火･祝) 宮城公演
・2/24(月･祝) 札幌公演
（2/15、16の福岡公演は完売）
- 8thシングル「青春の花/スタートライン」発売記念イベント（個握、チェキ、サイン、ジャンケン）
◯販売先：forTUNE musicにて抽選販売（要無料会員登録）3/15分のみこちら
◯販売期間：
1次→1/14(火)14時～16(木)14時
2次→1/21(火)14時～23(木)14時
3次→1/28(火)14時～30(木)14時
4次→2/4(火)14時～6(木)14時
5次→2/12(水)14時～13(木)14時
6次→2/18(火)14時～20(木)14時
7次→2/26(水)14時～27(木)14時
◯公式詳細：こぶしファクトリー 8thシングル「青春の花/スタートライン」発売記念＜チェキ・サイン・ジャンケン・個別握手会＞開催決定のお知らせ
◯価格：シングルの購入枚数による（初回は1,700＋税/枚、通常は1,000＋税/枚）
◯日程：
・2/29(土) 岐阜会場
・3/1(日) 東京会場①（飯田橋）
・3/7(土) 東京会場②（西新宿）
・3/8(日) 大阪会場
・3/15(日) 東京会場③（西新宿）
◯内容：ラストシングル購入による全員サイン会、個別握手会、個別ジャンケン会（ライブステージはなし）
- リリースイベント
◯販売先：各会場でCD購入につき優先観覧エリア入場＆握手会券配布
◯販売期間：当日朝10時～
◯価格：シングルの購入枚数による（ライブ自体は大抵無料でも見れる）
◯日程：
2月1日(土) ①13:00～ ②15:30～ ③18:00～ 名古屋会場（詳細）
2月8日(土) ①12:30～ ②15:00～ ③17:30～ 神戸会場（詳細）
2月26日(水) 東京会場（未定）
3月3日(火) 東京会場（未定）
3月4日(水) 神奈川会場（未定）
3月5日(木) 東京会場（未定）
3月6日(金) 東京会場（未定）
◯内容：ミニライブと握手会
- バスツアー
◯販売先：ハロプロオフィシャルFCサイト（下記）
◯販売期間：1月29日(水)必着（郵送、FAXのみでの申込）
◯公式詳細：『こぶしファクトリー ファンクラブツアー “Smile For You!!!!!” in 静岡』開催決定！！｜ハロー！プロジェクトオフィシャルファンクラブWebサイト
◯価格：68,300円（税込）
◯日程：2月22日(土)9時東京発～23日(日)22時着
◯内容：6ショット撮影、ファンの集い、限定ライブ、握手会etc
- ラストライブ
◯日程：3/30(月) 東京ドームシティホール
◯販売先：未発表
◯販売期間：未発表
（追記：リリイベのミニライブとFC限定バスツアーが決定した。バスツアーはのむさんがずっとやりたいと言っていたので嬉しい。行きたいが、な、ななまんえん。。。これは試されている。。。）
この他井上玲音の写真集イベントや野村みな美のFC限定バースデーイベントがあるが、グループとしての活動とは別なので割愛する。のむさんのバーイベは正直行けるなら行きたいが、抽選期間は終わってしまった・・・。2次求ム。
上記の通り、こぶしファクトリーの活動は残り僅かとなった。全部行くことは金銭的にも体力的にも時間的にも不可能だが、可能な範囲で会いにいきたい。
自分は「こぶし組」を名乗るにはおこがましい新規オタだが、だからといって古参の皆さんに道を譲るということはしたくない。申し訳ないけど、自分が行くことで本気で推してる方の席が無くなる形になったとしても、譲らずに行きたいと思っている。確かにライビュはあるかもしれない。自宅で見る環境も結果的に整うかもしれない。でも、そうじゃないんだと心がざわめく。5人の生き様を絶対に現場で見届けたいんだ。
だからもし、「自分は新規だから譲ろう」と思っている人がいるなら、「それでいいのか？」と問いたい。行くべきだと思う。もちろん当たるかはわからないけど、賭けてみるべきだと思う。こぶしファクトリーが終わってから後悔しても遅いんだ。少なくとも私は、自分が後から納得できるような道を選ぶ。わざわざ書くべきことじゃないかもしれないが、自分に言い聞かせるためにも書いておきたかった。お目汚し失礼。
過去のこぶしももっと掘りたい。8人時代の輝きも、その後の這い上がっていく姿も、円盤を手に入れれば何度でも味わうことができる。解散後でもできることだが、活動している今だからこそ知っておきたい。こぶしの全部を知ってから、サヨナラしたい。また、ブロガーの端くれとして、こぶしを広めるために何か書き、魅力を伝えられたらいいなとも思っている。
無念はある。3月30日までの期間も、それ以降も、地続きに残り続けると思う。だけど、彼女らに対するキモチを鍵をかけて仕舞っておく前に、まだできることはある。
運命の3月30日まであと2ヶ月半。終わった後にぽっかり穴が空いてしまうことはほぼ確実だろうけど、それでも彼女ら5人の最後の雄姿を笑顔で見届けられるように、精一杯応援しようと思う。
タイムリミットが来る前に、私も、やれること全部やってみよう。後悔なんて絶対残すなよ。
こぶしファクトリー『シャララ！やれるはずさ』(Magnolia Factory[Sha la la! we can do this!])(Promotion Edit)
