零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

ウルトラマンZ 第5話「ファースト・ジャグリング」感想

第5話。当初から匂わせていたヘビクラ隊長=ジャグラー説がこんなに早くも回収されるとは思いませんでしたが、彼の話を軸に進めるのではなく、あくまで強敵ぺギラ戦を前にしたハルキの成長回だったのが好印象。クロスオーバーしつつ、『Z』の物語として進めていかんとする意思を感じた良エピソードでした。

 

 

ファースト・ジャグリング

 

ファースト・ジャグリング

ファースト・ジャグリング

  • メディア: Prime Video
 

 

 

 

ジャグラー、暗躍

4話通して少しずつ匂わせを残し、先週の予告でいきなり姿を見せたジャグラス・ジャグラー。『ウルトラマンオーブ』で強烈な爪痕を残したことは、次作で人間体のヴィランが出るたびに「ジャグラーさんっぽい」とファンから言われていることからわかります。この余波は演じる青柳尊哉さんの力によるものだと思いますが、そんな彼が巡り巡って再びジャグラーとして帰ってきた、という真打登場感。まるで視聴者に向けられたかのような「お待たせしました」という言葉と、「闇の力、お借りします!」という変身台詞に、ぺギラ撃破の興奮も束の間、沸き立ってしまいました。変身するのは勿論ゼッパンドン*1。まるで劇場版です。

 

面白かったのは登場の仕方。「最初からレギュラーでしたよ」という顔をして当然の如く登場し、ゼットライザーを奪っていってしまいました。「よう、元気?」じゃあないんだよ。彼の行動は新しいおもちゃを欲した気まぐれでしたが、その結果ハルキはゼットに頼らず、自らの力で先輩を救い出すという成長物語に繋がります。無意識に彼を鍛えたのか、それとも意識的な行動なのか。どちらにせよ、物語を掻き回してきたトリックスターは伊達じゃない。

 

そしてぺギラ撃破後のゼッパンドン。これもまた、ハルキの成長に繋がる戦闘でした。ゼッパンドンなんて残り10分弱で相手する敵じゃないんですけど(笑)強者ムーブを見せつつ、しっかり新武器にやられて、地べたでぐったりする無様ムーブもクリア。しかし、見かけは無様なのに本人は楽しそうだから笑っちゃうんですよね。ガイさんへの妬みを置いてきた彼の負け姿は清々しくて、一周回ってカッコいい。ズルいポジションだな~。

 

とはいえ、今作での彼のポジションはストレイジの隊長。ハルキと接する際は基本隊長-隊員関係になると思いますし、しばらくは正当な師弟関係を見せてほしいと思っています。じゃないと、「ヘビクラ隊長」として登場した意味がないと思うので。その土台の上で、ジャグラーとして暴れまわる本性と彼の真意に、ハルキとゼットが迫っていくというストーリーラインになるなら、ますます目が離せない作品になること間違いなしです。

 

ヘビクラ隊長はジャグラス ジャグラー! 青柳尊哉インタビュー | アニメージュプラス - アニメ・声優・特撮・漫画のニュース発信!

 

ちなみにこちら、青柳さんと田口監督の企みがたっぷり語られております。視聴者の反応に対し、「あんなに別人と思われるなんて...」と語っていますけど、いや結構微妙なラインだったでしょ(笑)もっと引っ張るのかと思ってました。

 

 

強敵ぺギラ

ジャグラーさんのインパクトが一際目立ちますが、ぺギラ戦も見応え抜群で、どうやってこれらの要素を30分に纏めたんだ?と驚きの第5話。冷凍怪獣ということで、カッチコチに凍らせる息吹は強力です。前回大活躍したウィンダムも最初こそ優勢でしたが、一発でもモロに食らうと、機体の温度をどんどん下げられ停止してしまいました。体温が低下し、氷が貼りついたヨウコさん......この絵面はなかなかに衝撃的です。一歩間違えば命を失う、プロの現場の過酷さ。

 

その現実を前にして打ちひしがれながらも、ウィンダムに劣るセブンガーを、制止を振り切って出動させるハルキの主人公力よ。今作の主役は、敵にアイデンティティを揺るがされながらもその現実を乗り越えんとする『オーブ』『ジード』タイプではなく、「ヒロイックな熱血隊員」としてストレートに描かれるんじゃないかと今回で確信を得たような気がします。生い立ちが謎として絡んでこないことで、ポジティブにヒーローの物語を描いてくれそう。自分はどちらのパターンでも好きなのですが、アイデンティティ揺さぶりパターンは最近食傷気味だったので......。ゼットくんにしても、ストレートに「三分の一人前からの成長」を描いてほしいと思っています。

 

ぺギラ戦には映像的な注目点も多々ありました。例えば、ぺギラに吹き飛ばされた車の車内主観カット。キャラクターも乗ってないし、必要か?と思えるやや冗長なカットですけど、本やクッションといった物が宙に浮き、ぐるりと一回転して破壊され、とどめに踏まれて爆発という一連の流れがなんだかリアルで、もし人が乗っていたら......と考えて恐ろしくなります。

 

また、変身後の空中戦。ウルトラマンが飛んでいるときの横顔ってなんであんなに凛々しいんですかね...。雲の中を飛び回り、激しくぶつかり合う戦闘は『ネクサス』を連想します。飛翔したぺギラの吐いた冷凍ビームがカメラを凍らせる演出はニセモノ感が出てあんまり好きじゃないんですけど(ゼットくんの目線だったらまだわかる。目が凍るって怖いけども)、やりたいことは伝わってきてワクワクします。ニュージェネウルトラマンの特撮って劇場版クオリティだなぁ。

 

新兵器については特に言及しませんが、ランスタイプ/アロータイプの武器最近よく見るような。おもちゃのトレンドなんですかね。ゼッパンドン撃破後のキメポーズは額縁に飾りたいやつ。

 

ウルトラマンZ DXゼットランスアロー

ウルトラマンZ DXゼットランスアロー

  • 発売日: 2020/07/18
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 

あと物凄く細かいし些細なことですけど、「Zshop」とか「7GER」といったコンビニも密かに登場しているという。もしかして1話から出てきてたりします? 小ネタ探しも楽しみのひとつに入りそうです。

 

 


【ウルトラマンZ】『ウルトラマンゼット&ゼロ ボイスドラマ』第4回「頼もしいカプセル怪獣」-公式配信- "Ultraman Z & Zero Voice Drama" episode 04

 

 

さて、次回は朝倉リクくんが登場。彼もレギュラーに加わるということで、恐ろしいことに6話目にして過去2作とのクロスオーバーを実現することになりました(『ゼロ』も含むなら3作)。単発エピソードではなく、平時から作品の垣根を超え続けるところが、どちらかというと「昭和ウルトラマン」っぽい。隊長に過去作のキャラクターを配置するところとか。敵ですが。

 

リッくんはニュージェネシリーズの中でも特に好きな主人公。彼から滲み出る"孫感"、お年玉を上げたくなる性質が大好きなのです......。ちなみに私の中の日本三大孫は、天空寺タケル西銘駿、橋迫鈴アンジュルム、朝倉リク濱田龍臣です。みんなまとめてお年玉あげるからお正月に帰っておいで!!!

 

 

 

 

 

 

 

【前回はこちら】

 

exloyks.hatenablog.com

 

 

*1:そういえば認証カードが「ヘビクラ・ショウタ」だったのですが、「ジャグラス・ジャグラー」ではないんですね。人間じゃないと認証できないのか。だとしたら、異星人の認証詐称を暴けない時点でシステムとしては欠陥なのでは。