零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

わたしのいま、広瀬彩海さんのいま、そしてみらい。~First Live「彩海-saikai-」に寄せて~

2020年は広瀬彩海さんに出会い、お別れをし、そして再会するまでの1年間だったのかもしれない。
 
1月8日の衝撃...については散々語ったからよそう。もはや遠い昔のようだし、いまから見ればむしろあれがスタートだった。あの日があるから、今日がある。そこからの3ヶ月は濃い体験だった。ポジティブにそう思える。
 
「ゴールは新たなスタートライン!」と高らかに叫び、彼女がアイドル人生に幕を下ろしてから8ヶ月。こぶしファクトリーという偉大な存在との別れは、物理的な距離に阻まれ、ライブ自体の完成度は文句無しの大団円だったけれど、やっぱり寂しくてたまらなかった。未曾有の感染症によって突如出現した壁は、真っ先にライブアーティストとファンの関係を分断し、「不要不急」「いまはそれどころじゃない」といった世論の後押しで、全くもって会える見通しが立たない状態にまで陥った。私はあの頃のことを「仕方ない」と簡単に割り切ることはできない。一生。
 

 

元々アイドルとファンの間には距離がある。お金を積まなきゃ触れ合えない。でも、こぶしファクトリーのバスツアーに行ったあの日、そんな関係であっても距離は縮まるんだと知った。だから、たとえラストライブに落選したとしても(てかしてたけど)、こぶし組があの会場にいて、熱いコミュニケーションを交わす瞬間を見届けられたのであれば、それで十分だった。「心を通わせた」という実感をきっと得ることができた。映画館でも確かに通じ合えたと思ったけれど、でも、やっぱり足りないよな。寂しかった。悔しかった。
 
だけど、会えないぶん思いは募った。インスタライブやTwitterで交流したり、noteにコメントを書いたりと、しばらくはSNS上でのコミュニケーションが続いた。仕事がしんどかった時期だった。決して仕事量が多かったわけではないけれど、大事なものを奪ってでも動き続ける社会に心がついていけなくなっていた。緊急事態宣言の日、「政府はそう言ってるけど、うちの会社の方針はこれまでと変わりません」と告げられた時、すべての感情が凍りつく感覚は今でも忘れることができない。あの後、クレームを受け舵を切ったことはある程度評価できるとしても、第一印象は払拭できるわけがない。あの時から会社、そして社会全体への不信感はじわじわと蓄積している。(なまけるな)(これでもがんばっているんだぞ)という声が聞こえてくるけど、そういう「正義」に封じ込められ、耐えながら生きていくことは、もうできない。
 
そんな時の支えが彩海ちゃんとのコミュニケーションでした。アイドルを知らない人からしたら馬鹿げたことなのかもしれないけど、友人や家族以上に、彼女が支えだったんだ。本当に。自分はそこそこ多趣味だからそういう枠に該当する人は確かに何人かいる。だけど、この期間で彩海ちゃんの存在の大きさは一段と増した。ずっと自分の人生を支えてきてくれたBase Ball Bearと同じくらいの位置にいつの間にかいた。それは、「推し」という言葉では量れない。
 
最近よく思うのだけれど、家族や友人、職場の関係など、「わたしの生活圏に居る人」と同じくらい、歌手や俳優やアイドルのような「手の届かない人」のことを大切に思う価値観があったって良いと思う。前者との間に育んだことと、後者と公的な場所で共有した思い出を、同じくらいの感情をもって接することは、別におかしなことじゃない。少し話は逸れるけど、芸能人の喪失を家族・友人の喪失の同じくらい重く捉えたって良いと思う。そういうことを言うと薄情だなんて言われそうだから、理解してくれる友人の前でさえ差し出すことができない価値観だけど。
 
インスタのストーリーでの交流は特に楽しかったなあ。質問タイムなんて言っても10件やるかやらないかくらいじゃないですか。彩海ちゃんの場合ほぼ全てに答えてくれるんですよ。すごいやる気。そういうファン思いなところは3月の時にたくさん知ったからわかっていたけれど、それにしても無理しすぎ。笑 自分の質問にも3、4回ほど答えてもらって、嬉しくて動画として保存した。その答え方がまたニクくてね、音声で返してくれるんですよ。最初は画面が暗いだけでわかりにくかったけど。まるで電話越しに喋ってくれているような感じがして、たいへん萌えました。あとこれは企業秘密だけど、たまたま自分のニックネームに似通った名前をハイテンションで喋ってたことがあって、唐突な爆撃に無事死亡し、知り合いに自慢した。笑 はいそこ、チョロオタとか言わない。
 
最初のお仕事は#SAVETHEARTISTという、久保こーじさんとnotallを中心とした、音楽創作プロジェクトだった。あまり真剣に追えてはいなかったが、彩海ちゃん専用の楽曲制作プロジェクトが動き出し、本人も涙を流しながら喜んでいて、はやく聴ける日が来たらいいな~と、殺風景な部屋を眺めながら思った。
 
長い自粛期間も終わり、ライブ再開の目処がようやくほんのちょっとついてきた夏頃。浜浦彩乃ちゃんの初舞台に続いて、彩海ちゃんの舞台も決定した。追加で朗読劇も決まり、前後するけど、先ほどコミュニケーションのひとつとして挙げたnote(ブログ)が始まったのもこの頃だ。誕生日もお祝いしつつ、彩海ちゃんの止まっていた時間が少しずつ動き出したことに嬉しくなった。
 
舞台「春の陽だまりの如し」へは、こぶしバスツアーで仲良くなった友人たちと一緒に行った。席は遠かったけど、彩海ちゃんがおと小の皆さんと、殺伐とした世界の中で真剣に演技をぶつけ合う様に胸を打たれた。千穐楽だったから感動的な一幕もあった。良い仲間に恵まれたなあと思ったし、実際その縁はいまも続いていて、来年の仕事もたくさん決まっている。
 
彩海ちゃんの魅力のひとつが、その愛され力だ。「あたたかい人たちに恵まれて~」なんて今日のMCで言っていたけれど、「あなたのその人柄だからこそ、あたたかい人たちが寄ってくるんだよ」と言いたい。今日の1st Liveだって、彩海ちゃんが引き寄せたものだと思うよ。
 
というか、1st Live開催の伏線は、第2回アイアム野田映画祭やYouTubeから張られていたのである。野田映画祭に行ったとき、最初は「なんでここに呼ばれたの?笑」と思ったけど、こぶし時代に培った人脈があったからこそ、一見不可解な仕事に繋がったんだ。スカパーの方とのつながりなんて普通ハロプロから抜けたらなくなりそうなものだけど、彩海ちゃんが縁を大切にしているからこうやって仕事に繋げることができたのだと思う。名実ともに、周りの人間を引き寄せている。
 
少し遡るが、「春の陽だまりの如し」公演前日のインスタライブで、泣きながらずっと会えなかったことの寂しさを語った彼女からも、ファンに対する本物の愛を感じた。「私はスマホに向かって喋ってるだけでみんなの顔は見えてないからね?」と涙する姿に苦しくなった。この人はずっと気丈に振る舞いながら、つらさ寂しさを押し殺してたんだ。3月の時にわかっていたはずだったけど、自分に精一杯で、支えてくれていた彼女の気持ちを正しく測れていなかった。...という気持ちはさておき、ファンに対しても、愛され力があるのは、彼女の素直な人柄があるからだ。
 
 
 
そうこうしているうちに、こぶし解散から8ヶ月半。2020年12月15日。少数とはいえ観客ありで、全国生中継というデカいオプションも引っ提げ、彩海ちゃんの1st Live「彩海-saikai-」の日がついにやってきた。幸運にも観覧に当選し、今日ついさっき、万感の思いで見届けたばかりだ。最初はライブの感想だけ書こうと思ったのに、ほぼ自分語りと振り返りで尺を使ったが、溢れ出したら止まらなかったのだからしょうがない。
 
50人と関係者が少しの少人数、地下の薄暗いライブハウス...という異様な空間だったので緊張したが、前の方にはバスツアーやらリリイベやらで見かけた人の姿があり、安心した。ペンライトを振るか迷ったけど、秋葉原で急いで調達したものを使わないのももったいないので、辛夷の花ペンラと2本持ちで使用した。
 
満を持して登壇した彩海ちゃんが1曲目に選んだのは、#SAVETHEARTISTにて木根尚登さんが作曲し、彩海ちゃんが詞を乗せた「風になれたら」だった。やや涙を浮かべながら、再会を噛みしめるように歌う姿は、ああ、俺の知ってる広瀬彩海だと思った。デモ音源を初めて聴いたときは木根さん色が濃すぎて全然想像できなかったけれど、ちゃんと彩海ちゃんの歌になっていたし、作詞しただけあって情感がこもっていた。この初披露から詞が改変されたのかどうかはまた後でアーカイブを見ながら確認するが、サビのメッセージはこの時感動した通りの内容だったはず。
 
 

 
MCを挟み、Whitney Houstonの 「I Have Nothing」をアカペラで披露。音域の広さ、特に高音の伸びに圧倒される。後述の「First Love」でも思ったが、英語の発音が上手いし、感情がちゃんと乗っている。どの曲も「モノにしている」と思わせてくれる実力は、こぶしの頃から全く変わらないどころか進化している。トレイニー時代やオーディション用に何度も歌ったことがあるという絢香「みんな空の下」も圧巻だった。
 
そしてLiSAタイム。「紅蓮華」だけでなくoath signまで!LiSAさんの音域とも相性抜群で、ひときわ熱の入ったバンドサウンドのアレンジも相まって、これぞライブ!なステージだった。それと、この辺りから会場に見渡す余裕が出てきていた気がする。目が合ったよ、今回は絶対!そして「紅蓮華」のキメ顔痺れた...!YouTubeの方より確実にレベルアップしてる!9万じゃ足りないもっと伸びてー!
 
この後のMCタイムは彼女のお茶目な部分が出まくりで、オタクいじりが酷かった。(笑)「この会場の人はツイートしてないよね?」と右から左へと見渡し、「顔とアイコンを照合したけど大丈夫だね」みたいなヒヤッとする発言。いや覚えなくていいですやめて(笑)こぶしラジオの時のバグった距離感を思い出した。そして会場でツイートさせられるという独特な体験もあり、何度か笑いが起こった。なお、ステージ上での彩海ちゃんのツイートはこちら。かわいー
 

 

「この後は5曲連続です」と驚きの発言からはじまったのは、「Ayaka Project 2020 ~The Ballad~」と脳裏に浮かんだほどのハロコンセトリ。しかも雪の華」「First Love」「逢いたくていま」といった、彩海ちゃんに歌ってほしいバラード曲ランキング上位が連発で感極まった。そこにミスチル「抱きしめたい」阿部真央「貴方の恋人になりたいのです」も加わり、J-POP欲張りセット。そしてオールフル尺。体力すごすぎ。どれもこれもオリジナルをリスペクトしながら、彩海ちゃんのエッセンスも加え、完璧に歌い上げていた。そして各曲の歌い終わりにニコッと微笑む可愛い一面もあった。今日のライブで彼女は、持ちうる魅力を惜しげもなくすべて提供してくれたように思う。
 
この後の長尺のMCは、アンコール後の超長尺MCで大体記憶を飛ばしてしまったのだけれど、ライブのコンセプトを話す際に「踊りたくなる種族の皆さん」とまたまたいじられ、ここ一番の笑いが起きた。ハロコンで鍛えられたから踊りたくなる曲出されても全然大丈夫だよ。笑
 
彼女が人生で一番偉大な存在だと捉えている安室奈美恵さんからの選曲は、意外にも「Fight Together」!わー懐かしい!この時のワンピ見てたよ!!2番の途中で歌えなくなった理由はわからなかったので後で確認するとして、バラード曲の後のこれだったのでノリノリでした。超楽しかった。「アニソン」とざっくり括るのはよくないかもしれないけど、彩海ちゃんはこういう曲調がすごく似合ってる。
 
拍手のアンコールの後、10分くらい喋ったんじゃないか?というくらい、思いの丈を打ち明ける長尺MCがあった。このライブが決まってからどんどん緊張が高まっていったこと、当日になってようやく「あ、みんなにまた会えるんだ」と気づき、観客席を見た瞬間不安が無くなったこと、今年ははじめましてを言う機会の方が多かったから慣れ親しんだ顔を見ると安心したこと、自分のファンは「第二の家族」だということ、これまで培ってきた経験、出会いも大事にしつつ、変化を恐れず突き進みたいということ。どばどば溢れ続け、反復しまくる言葉には、彩海ちゃんの人間性がたっぷりしみこんでいて、やっぱりこの人は、嘘のない信頼できる人だな~と思った。
 
最後の1曲は、なんと彩海ちゃんが作詞、そして作曲まで手掛けた「声の限り」という楽曲。いつの間に作ってたんだ。新たな才能を開花させるまでのスピード感がすごい。めちゃくちゃに緊張し、歌詞絶対飛ばす!と恐れて(そしてやっぱり飛ばす)ネガティブになっていたが、いざ歌い出すとめちゃくちゃポジティブでスカッとする歌で、もう掴みから大好きになった。メッセージもシンプルに「未来へ向かってくぞ!」という前向きな思いがあって、アップテンポな曲調に乗せて言葉がどこまでも未来へ走っていくように見えた。曲の終盤、きっと「みんなで歌おう!のコーナー」なんだろうなというパートがあって、早く元のライブができる世界へ戻りたい!と思った。しばらくはアーカイブを流しながら部屋で熱唱しよう。こぶし組の血が騒ぐパートだと思うよ。
 
「彩海ガチ勢の顔を見ると安心する」という発言、私はきっとその一部に入れていないと思うけど、そういう葛藤はこぶし組関連でもう解消したことだし、素直に「そうやって安心できるファンの一部(の末席)にいられてよかった」と思うようにする。そして実際、今日あの場所、あの空気を共有できたことは、一ファンとしてこの上なく嬉しいことだった。私にとって、ライブに没頭しているか/いないかの基準は、ライブを俯瞰していないか、仕事が頭にちらついていないか、といったところにあるのだが、今日のライブは最初から最後まで没頭し切れていたと思う。会場を出て冬の外気に当てられても、心と身体がポカポカしていて、全然平気だった。無敵だ、と思った。無敵になれるライブって良い。
 
最初はお互いに感極まって泣いてしまうようなライブになると思っていたけど、涙はほとんど流さず、その代わりに笑顔が自然に溢れるFirst Liveだったなって思う。目の前にいた彩海ガチ勢のお兄さんも、喜びを噛み締めるように頷きながらライブを見ている様が視界にたびたび入った。そしてきっと、彼も彩海ちゃんと目が合う瞬間があったんじゃないかな。やっぱりこういう相互コミュニケーションがあってこそのライブだと思ったし、早くもっと多くの人が集まれるような場所が戻ってきて欲しい。
 
 
2020年は広瀬彩海さんに出会い、お別れをし、再会するまでの1年間だった。そしてこの先は、みらいへと続いていく。いま、ここをスタートラインにして、彼女の道はどこまでも伸びていく。いままで培ってきた関係性も大事にしながら、みらいへとぐんぐん突き進んでいくのだ。実力と才能と人脈は十二分にあるから、あとは運だけだと思う。そしてきっと、運も味方につけるはずだ。このライブが年内に実現したという事実が、雄弁に物語っている。
 
「今日このライブを見た人が「最初の現場にいたんだぜ?」と自慢できるくらい大きくなります!」と夢を語っていたけど、その夢は絶対に叶うよ。そしてそのとき、自慢させてください。
 
そして私も、今日のライブを胸に、明日からも生きていきます。彩海ちゃんみたいに強気でいろんな人を巻き込んでいくような人間にはなれないけど、苦しいことに参ってばかりだけど、あなたの存在にこうやって励まされながら、ちょっとずつ歩んでいきます。もし自分の価値観と仕事に対して今以上に決定的なズレが発生したとき、別の道を歩んでみようと決心したとき、またはむしろ本気で仕事に取り組んでやろうと決めたとき。きっと訪れるであろう分岐点で、いまのあなたと、みらいのあなたの力をお借りしたいです。というか勝手にお借りします。いや、一応借りる前に先に言っておきます。救ってくれてありがとう。本当に本当に大好きです。
 
 
以上、感謝のお手紙でした。これからも私の人生に彩海ちゃんは不可欠です。どんどんでかくなっていくあなたの背中を、どこまでも追いかけ続けたいです。
 
 
と言いつつ、多趣味で飽き性だからゴールまで付き合えるか確証はないけど!でもベボベに関してもそうですが、たとえすべてを追い切れなくても、活動してくれている、今日も元気でいてくれるだけでホッとする存在っているんだよな。彩海ちゃんは私にとってそのポジションなので。これからもよろしく。
 
 
 
【宣伝】
 
広瀬彩海First LIVE「彩海 -saikai-」は1月31日まで購入・視聴可ですので!スカパー!オンデマンドに入って!!絶対に見ましょうね!!!私はアーカイブ見倒します!