零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

和田彩花さん講演会@とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ

とよなか男女共同参画推進センターすてっぷの主催講座「すてっぷ男女共同参画週間事業2024 アイドルの私がフェミニズムについて考えてみた ~私の未来は私が決める~」に和田彩花さん(以下あやちょ)が登壇されるということで、アンジュオタ兼フェミニストとしてこれは行かねばならんと思い即申し込みました。「どうしてあやちょが豊中に!?」の謎は最後まで解けませんでしたが、きっと内部のあやちょオタが暗躍してくださったのでしょう。せっかくメモを取ったので記録に残します。参加された方でもし「ここ違うよ!」って箇所があれば指摘いただけると大変助かります...!

 

 

 
 
 
 
 
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今回の講演は持ち時間が約1時間半で、

13:00~13:45 プレゼン

13:45~14:15 司会者さんとのクロストーク

14:15~14:35 質疑応答

といったタイムスケジュール。ラフないでたちで現れたあやちょから「好きな時に笑ったりしながら聞いてください~」「あやちょと呼んでくださいね」と普段のライブと同じテンションで呼びかけられ、少し硬くなっていた会場の空気が和む。ちなみに午前中は国立国際美術館の「梅津庸一 クリスタルパレス」展へ行かれてたようです。気になる。

 

30分間の発表を予定しつつ、美術絡みの話が盛り上がり15分延長(もっともっと延長してくれてもいいくらいおもしろかった)されたプレゼンタイム。グループ時代の歩みを簡単に説明した後、グループアイドルの活動の中で感じた違和感と、違和感の言語化を試みる中で発見した「社会における『女性』の枠組み」について、アイドル当事者の目線から赤裸々に語り、その作業の一助となった大好きな美術の話、そしてアイドルが抱える諸問題を価値観・環境・待遇の三軸で具体例を挙げながら話してくれた。これらの話はすべて、グループアイドルを10年近く経験したあやちょの実感から出た生々しいもので、その実感をモヤモヤしたままにせずよくぞ言語化してくださった...と尊敬の念が絶えない。非常に労力を要する作業だったと思うし、アイドル業界の内情を深く知るわけではない私達に伝わるくらいにまで昇華したのは本当にすごい。

 

スマイレージアンジュルムの6枚のジャケット写真が参考画像として1スライドに並ぶ(しかもプレゼンターは被写体)なかなかありえない光景を目にしながら、あやちょのこともアイドルのことも詳しくない人に向けて丁寧にグループの歴史を説明していた。会場の温度的に、おそらくオタクの割合は半分いるかいないかで、普通に行政のチラシを見て来たであろう豊中市民の方々が多く参加していたようだ。こういう様々な属性の人が入り混じった場で話す意義はあるよな...と改めて主催者さんに感謝しながら話を聞いていると、アイドル活動を続ける中で抱いた違和感の話に。グループや自分のあり方について考え出した18歳前後の時期に、周りの大人達からの指摘に違和感を覚え始めたという。

 

違和感のあった指摘は大きく分類すると二種類に。第一に「外見の制限とらしさ」について。主にメイクやネイルで制約が発生し、自己表現を封じられたことが苦痛だったという。サーモンピンクのネイルを塗ってみたら「アイドルだからダメ」と明確な根拠もなく却下され、それなら曲の世界観に合わせた表現をしようと、カッコいい曲に合わせて黒や赤のネイルを塗りたいとマネージャーに伝えても却下された。その指摘の際に、塗ってはいけない理由がぼかされてしまうから納得できない。口封じのように「アイドルなんだから」と有耶無耶にされてしまう。第二に「ジェンダーアイデンティティセクシャリティ」について。あやちょは女性アイドルとして活動していたが、実のところ表現したい性は特に決まっておらず、ジェンダーアイデンティティセクシャリティも曖昧だった。しかし、異性愛規範の強い女性アイドルグループに所属していると、(シスジェンダーヘテロセクシャルの)「女性」の枠に収まることを強要されてしまう。直接的にも、マイクロアグレッション的にも、そうした苦痛を味わい続けた。具体的なエピソードとして、ある時に「料理さえできれば完璧なのにね」と声もかけられたことがあったという。おそらく相手は何の気なしに言った言葉だが、「料理ができたら完璧?今は何かが欠けているということ?何目線で言っている?」と強く反感を抱いた。こういった周りからの指導を称した抑圧は、総じて「自分ではない何かになること」の要請であった。

 

しかし当時のあやちょには違和感こそあれど言語化する力はなかった。そこであやちょは数年かけて違和感の記録を積み上げ、言語化を試みた。その成果として、社会のおける「女性」を発見したという。スライドの左側にはあやちょ自身がやりたかった表現、右側にはあやちょの意思に反して大人の男性から受けた反応がズラリと並べられた。「表現する個性」に対しては「非自然」、「自己表現」に対しては「わがまま」...。彼女が表現したいことはすべて、男性から否定された。また、私生活でピンクや花柄の私服を着て外出すると、男性からストーキングやキャットコールの被害に遭うが、ジーンズなどの女性的ではない服装で外出すると何故か被害が収まる...という経験からも、社会=男性が求める「女性らしさ」を発見した。「アイドルらしさ」と「女性らしさ」は結びついていた。

 

この項で特に印象的だったのは、グラビアか何かの撮影でまっすぐ正面を見据えるように表現したら、カメラマンから「カメラから追われるように(怯えるように)写ってほしい」とオーダーされた話だ。鑑賞者と目線を合わせないことを被写体に求めるのは何故か。納得のいかないオーダーだった。その疑問を解決する糸口は、あやちょが強い関心をもって大学院まで研究し続けた美術にあった。カバネルの〈ヴィーナスの誕生〉やルノワールの作品群を鑑賞するうちに、登場する女性はどこか伏し目がちだったり、身体を逸らしていたりすることが多く、「絵画の中の女性の延長線上にアイドルがいる」と気づく。被写体の目線が鑑賞者側に向かなければ、鑑賞を邪魔される感覚がなくなり、鑑賞者にとって都合がいい。

 

一方、あやちょが愛好するエドゥアール・マネは、視線を鑑賞者側にはっきりと向ける女性を描いており、その点が衝撃的だったという。例に挙げた〈草上の昼食〉は、男性貴族と高級娼婦がピクニックに出かけている光景を映しているが、娼婦は画の外側=鑑賞者を直視している。この視線の描き方によって、これまでとは一線を画す、能動的な女性像が表現されているのだ。〈草上の昼食〉は「女神や歴史上の人物の裸体を描くのはOKだが、現実の女性の裸体はNG」という美術界の暗黙の了解に触れ、スキャンダルに発展する。そういった物議を醸した点も含め、家父長制社会を揺さぶるこの作品と、「正面を向くことがタブー視されるアイドル」が、あやちょの中で繋がった。鑑賞者=男性 対 被写体=女性の権力構造が、美術とアイドルに共通して存在したのである。

 

ja.wikipedia.org

 

この辺りで美術とフェミニズムの話が盛り上がり、影響を受けた芸術家、哲学者の作品として、やなぎみわフェアリーテイル」、ダムタイプ「S/N」、シモーヌ・ド・ボーヴォワール第二の性(「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」)を挙げていた。やなぎみわの作品の中から紹介された「エレンディラ」にて椅子に座っている女性は、顔は老婆だが胴体は少女という風体で、老いと幼さが同居しており、歪だが自由である。「女性」に求められる社会規範への抵抗が、あやちょを抑圧から解き放っていった。

 

参照:http://yanagimiwa.net/fairy/index.html

 

以下は美術とフェミニズムの初学者向けに推薦していた書籍。なお、今回の講演に関連するブックリストが主催側から配られたのだが、『わたしたちは無痛恋愛がしたい 〜鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん〜』や『アイドルについて葛藤しながら考えてみた―ジェンダー/パーソナリティ/“推し”』、『エトセトラ VOL.8 / アイドル、労働、リップ』など、普通の図書館にはあまり置いていないフェミニズム本も複数置いてあるようだ。以下の3冊中上2冊も蔵書検索でヒットした。豊中市民でなくとも利用できるそうなので今度行ってみます。

 

リゼルダ・ポロック(1998)『視線と差異―フェミニズムで読む美術史』(萩原 弘子訳)新水社

リンダ・ノックリン(2021) 『絵画の政治学』(坂上 桂子訳)ちくま学芸文庫

若桑 みどり(2012)『イメージの歴史』ちくま学芸文庫

 

 

最後に総括として、アイドルを形作る価値観がいかに漠然としており、設けられたルールや「プロ意識」と呼ばれるものは誰が、誰のために作ったのか?という問題を提起し、アイドル業界が抱える諸問題を洗い出した。今回はあやちょ自身の経験を元にしたプレゼンだったため、「価値観」に関する話が多くを占めたが、「環境」「待遇」についても様々なトピックが挙げられた。待遇については、特に未成年のアイドルが悪意を持った大人に搾取される形で対等な雇用契約を結べなかったり、不正を確認しようにも契約書がないからできないなどといった問題があり、その大元を辿っていくと、自分が置かれている状況を客観視するための正しい情報にアクセスすることが困難なアイドル業界の現状が浮かび上がってくる。アイドル当事者に役立つ情報として、「ゆっふぃー」こと寺嶋由芙さんが弁護士の深井剛志先生から法律を学ぶPodcast番組『アイドルと法律』や、臨床心理士公認心理師といった専門家の立場から文化・芸能に携わる相談者をサポートする団体『文化・芸能業界のこころのサポートセンター MeBuKi』などを挙げ、今後の展望として、アイドル向けの一般講座を開き、横のつながりを広げたいと語った。グループアイドルを長らく経験し、卒業後も「アイドル」を名乗り続けながらジェンダーフェミニズムを学んでいるあやちょだからこそ掲げられる実現性のある目標だ。私の知っている範囲でいうと、『Y2K新書』でお馴染み振付師の竹中夏海さんも、アイドルの労働環境を改善するため率先して行動されている。それぞれの行動がいずれ結びつき、アイドル業界が健康的な方向に改善されていくことを一アイドルファンとして心から願っている。

 

open.spotify.com

 

mebuki.org

 

 

その後はすてっぷの職員さんと二人でのクロストークと、事前アンケート+会場からの質疑応答。そのうち印象的だった内容をピックアップする。

 

・職員さんからの質問は若いアイドルたちとのかかわりについてのトピックが多かった。後輩たちと接する上で心がけていることを問われた際、とにかく「会話」をすると答えていたのが印象的。若い世代の子たちはYouTube(今だとTikTokが一次情報になることも多いだろう)を一次情報としているため、伝えたい情報が載っている参考文献やリンクをシェアしてもなかなか読んでもらえない。だから日常会話の中でさりげなく伝えることで、「そういう考えもあるのか!」と気付いてもらえるようにしているそうだ。

あやちょの後輩との交流でいうと、現役時代をともに過ごした妹6人と旅に出かけたり、冠ラジオにて上國料萌衣さんが18歳未満のメンバーに発令したミッションを通して「在籍期間かぶっていない妹」とサシで美術館に行ったりと*1、下の世代と交流している様子がみえて素敵だなあと思う。同じステージに立たずともゆるやかに深く繋がっている、あやちょを始めとするメンバーたちが積み上げてきたアンジュルムの関係性が大好きだ。先日のあやかのん対バンでも同じことを思ったよ。

 

・アイドル時代に覚えた違和感で何か後輩たちと共有したことはあるか?と聞かれた際に、

 衣装がダサい!日常以下!

とぶっちゃけて会場爆笑。これぞアップフロントクオリティ。さすがに表では「ダサい」なんて言えなくても、裏でちゃんと不満を共有しあったことが実を結んでの現在なのかもしれない。今でも「ええ...」と思うこともあるが確実に水準は上がったし、勝田さんがステージ衣装制作に携わったり、tanaka daisukeさんにシングル衣装を依頼したりといったことは昔ならあり得なかった。

 

・後輩たちに伝えたいこととして、「周りの大人の言うことの80%は間違っているから真に受けない方がいい」とこれまた思い切った回答。しかし、プレゼンで話していた経験から来る実感の伴った言葉だった。かつては「熱が出てもステージに出ている先輩はいるよ」とか「あの人は休みを削ってでも仕事をしているよ」というように先輩達の無茶を美談に変換し、全員に強要してくる空気が普通にあったという。健康を阻害したり、主体性を禁じたりするような大人の指示は基本的に真に受けない方がいい。非常に真っ当な意見だ。

しかし、そうは言っても加入したての若いメンバーが「自分はおかしくない」と信じて年長者に異論を唱えるのはなかなか難しいのでは...と思ったりも。ファン含め、関わる人全員が年上で、圧迫感のある異性をも相手にしなければならない負担は大きいはzず。年長者は権力を濫用しないために、気を遣いすぎって思われるくらい遣った方がいいんじゃないか、と常々思う。

加入したての頃に理不尽な指導を受けたメンバーが後年「あの時のしごきがあったからこそ今がある」と痛みをなかったことにしてしまう事例を今でも時々見かけるが、あなたの実感としてはそうなんだろうし、実際基本的な礼儀として役立っているのだろうけど、未来の若者のために是としてほしくないなあ...と思ったりもする。

ただ、近年のアンジュルムに関しては、ここ数年SNS担当を任されていると思われる女性マネージャーさんがメンバーから姉のように慕われていたり、昨年卒業したOGがスタッフさんを招集してセトリの組み方や照明の当て方に意見したり...といった話から、あやちょが在籍していた頃よりは、若いメンバーにとって心理的安全性の高い現場は作られているのではないかという希望は見える。これもあくまでこちらから見える範囲でしかないが。いやでも見える範囲でも状況が改善されている!という実感は欲しいよやっぱり。

 

・フランス留学で印象に残ったこととして、デモの規模、参加人数が日本と全く異なることを挙げていた。フランスのウィメンズ・マーチは8万人規模で、電車内には「今日何する?」「デモいこうよ」くらいのノリで参加する若者たちを見かけたり、参加者の中に家族連れがいるなど、市井の人々によってハードルが低い様子だ。都知事選の結果を見ると暗澹たる気持ちになるけど、我が国のノンポリが多数を占める空気も少しずつ無くなっていったらいいなと思う。まずは身の周りから。

 

・ソロ活動で特に気に入っている楽曲は、性暴力事件の報道を受けて書いた「For me and you」。あやかのんイベでもこの曲の話をしていたので、はじめましての人に向けて特に聴いてほしい一曲なのだろう。司会者さんが好きな曲に「ホットラテ」を挙げていて、同行した「ホットラテ」のオタクと思わず目が合った。

 

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・最近注目しているトピックは、Twitter上でも意識的に発信されている都知事選。ツイートの通り、パートナーシップ宣誓制度の拡充に特に関心があるという。つまり投票先は......と思っていたら後日答え合わせが。蓮舫さんは1人で生きる人生や子どものいない人生、1人で子どもを持つ人生、その他に多様な人生の選択をする人々に寄り添う姿勢を見せているし、その点でもフィットしたのだろう。どういう政策に関心があるかまでを明言するアイドルはあまり見たことがなく、良いツイートだな~と思った(著名人が「投票いったよ!」とツイートしただけで褒められるレベルの低い世の中なので、政策に言及している点を評価する人あんまり見かけなかったな...シュン)

 

同性婚を実現できず、従来的な性役割、規範に従わなければ恩恵を受けられない現在の婚姻制度の代わりになる、あらゆる人が使用できるパートナーシップ宣誓制度を使いたいです。婚姻制度と同等の権利を持てる制度にまで発展してほしいです。
都知事が変わるだけで、自分の未来の負担、煩わしさが減少するのは明らかだし、私の選択を可能にしてくれます。
他には、若者や女性がもっと活躍できる社会、奨学金返済支援、東京一極集中への取り組み、経済と環境の両立を求む!!!!!!

政治によって生活をどう変えたい? 40名の声。7月7日東京都知事選挙に向けて | me and you little magazine & club

 

講演会後の話だが、あやちょが上記のツイートをしたところ賛否が巻き起こった。自分が好きな人の周りでこういう現象が巻き起こるのはあまりない経験だったので、パブサして反応を採集してみると、ネトウヨ仕草は論外として)批判側のパターンは大きく分けて二つあった。

ひとつは「頑張っている現役メンバーや他のOGに迷惑をかけないでほしい」という批判。なぜ「迷惑」なのかは明言しないが、「後輩たちも蓮舫支持者の一味と思われるから迷惑」と暗に匂わせている。もうハロプロの看板は背負っていないのにも関わらず、後輩たちも十把一絡げに「一味」扱いされる、と。そんな滅茶苦茶な批判があるなら、おかしいのは明らかに批判者側で、聞いてやる必要なんかないし、あやちょに何の責任もない。あやちょの現在も未来も見ずに、勝手に看板を背負わせ、「迷惑」をかけているのはあなたではないか。

「あやちょのファンは蓮舫支持者みたいに見られてしまうからやめて、もうスマイレージアンジュルムが好きと人前で言えなくなる」という意見も同じで、滅茶苦茶な批判を気にしてやる必要なんてない。それでも他人の目が気になるならあなたが勝手に聴くのやめなね。

ふたつは「影響力のある人は投票先を開示しない方がいい」。投票当日はともかく、期日前投票期間であれば別に禁じられていることではないのに、「暗黙の了解だ」とぼんやり咎めるのはおかしい。「未熟な若いファンを誘導してしまう」という理由を添えている人もいたが、扇動にならないよう注意を払ったツイートだったし、仮にそういう心理で投票先を決めるファンがいたとてあやちょの責任にはならないし、「未熟な若いファン」を囮に使う辺り若者を舐めすぎ。あなたこそちゃんと政策を読んで自分の意思で投票しているのか?というのも疑わしい。みんな本当に「自分の意思で」投票してますか?

それに、より直接的な選挙活動を行う有権者がいる中であやちょにだけ批判の矛先を向けるのは悪意がある。他の批判も含め、「若くて無知な女性アイドル」への見下しが透けてみえるんだよな、全体的に。「あなたは知らないだろうけど」みたいなね。あなた方よりよっぽど知識も経験も豊富だということは講演会に来ればわかるので、次の機会があれば来てください。

あとフェミニストだからっつって誤解されがちだけど、右や左で雑に分断せず、誰に対しても同じ人間として愛をもって接する人なんだと知ってほしい。「あやちょがだんだん遠くに行ってしまう」という保守的なハロオタに引用で反論した時もだが、彼を雑に突き放すわけではなく、ちゃんと愛で応じていた。あれは「ネトウヨを一刀両断」なんて見出しで括られる話ではないよ。アンジュルムの祖を舐めないでほしいな。

 

・「アイドルはルッキズムの塊だと思うのですが...」という事前質問の文章にルッキズムの塊ですよ!」と叫ぶあやちょ。過剰なダイエットを要請されて健康を害したり、誹謗中傷を受けて傷つく若いアイドル達を心配していた。アンジュルムでも、痩せるために断食を試みた後輩が、心配した先輩からご飯を食べるよう声をかけられた時に、自分の努力をまるごと否定されたような気持ちになって落ち込む...ということがあったらしい。どちらも悪くないし、なかなか根深い問題。「みんながみんな同じ体型にはなれない」という前提がちゃんと共有された上で、健やかな手段で美を追求できるような空気が醸成されたらいいんだけど、時間と根気がかかることだと思う。オタクとしてやるべきことは、画一的な美を要請するファンダムの有害な空気を少しでもなくしていくことかな。

ファンダムの空気といえば、「アイドルの子たちは皆さんが思っている以上にエゴサしてますよ!」とも言っていたので、まずは「SNSは本人から見られるもの」という意識を界隈全体に浸透させていくべき。いくら「これは誹謗中傷ではない」と嘯こうと、その言葉の刃物はダイレクトに本人に届いてしまう。あやちょ自身は、ファンからもらった嬉しい言葉を否定的な言葉で塗り潰されたくないからという理由でSNS、特に旧Twitterは見ていない。今回都知事選のツイートをした時に久しぶりに眺めたら、いきなり「売国奴!」と攻撃されたそうだ。しかも投票先を明言する前の段でだよ?おかしくない?そんな滅茶苦茶な攻撃をしてくる奴は救いようがないにしても、私たちファンはSNS上の有害な空気を意識的に変えていかなきゃいけないんじゃないかと改めて思う。

 

 

***

 

こんなところです。あやちょのニュアンスをきちんと捉え切れているか自信がない箇所もあるので、もし他に参加された方で記憶と違う!など指摘がありましたらお願いします。

 

めちゃくちゃ素朴な感想ですが、「思えば遠くへ来たもんだ...」と聴講中何度も思いました。だってつい先週は横アリにいたんだぜ。現役のみなさんも、それぞれの道で邁進し続けるOGのみなさんも、アンジュルムを応援しているだけのただのおたくを、どんどん未知の世界へと誘ってくれる、ありがたすぎる存在です。こんなアイドルが世の中に存在するってこと、もっと知られてほしいよ。届くべきなのにまだ届いていない人がたくさんいるはず。

あやちょに出会っていなかったら、私はフェミニズムをちゃんと勉強しようときっと思わなかったし、マジョリティのシスヘテロ男性としてのうのうと生きてしまっていたと思います。講演中に「男性のみなさんもですよ!」と呼びかけてくれたことの重みを忘れずに、性差別をはじめとするあらゆる差別に反対するアイドルオタクとして、これからも学び続けます。

 

 

P.S.

あやちょのインタビュー記事を辿りたい場合、以下のサイトがおすすめです。インターネットに漂うオタク達が書いた読み応えのあるテキスト群もたくさん紹介してくれています。

 

sites.google.com

 

あとはなんといっても一番のセーファースペース、Fanicon。私もこれを機に久しぶりに加入しました。月ごとの手づくりカレンダー、ラジオ配信、ファン同士のチャットなど、いろいろなコンテンツが楽しめます。コンテンツ数はそんなに多いわけじゃないんだけど、あやちょがしんどくないペースで続けていることがわかるし、私的には十分です。

 

fanicon.net