零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

オタ活の夜明け~浜浦彩乃出演『あいまいばかりの世界』鑑賞記。

最後に現場に行った2020年2月26日(水)からまるっと4ヶ月。6月末のある日をもって、オタク活動の自粛を解禁しました。

 

向かった場所は、演劇女子部ではおなじみのこくみん共済coopホール/スペースゼロです。おなじみと言いつつ足を運ぶのは初めて。そもそもハロプロに限らず舞台慣れしておらず、作法もわからないまま、色々迷いながらの現場復帰です。

 

そして鑑賞した作品は...自粛前最後に行った現場と同じくこぶし絡み。元こぶしファクトリー浜浦彩乃ちゃんの解散後初舞台、『あいまいばかりの世界』です。他の出演者のことは全く知らず、作品についても知識ゼロ。予備知識もかなり少ない状態でしたが、じんわりと心に響く素敵な舞台体験を味わうことができました。

 

ということで、自粛期間を経て最初に行ったオタク活動の記録をここに記します。

 

 

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こぶしファクトリーのその後

 

本作はFlying Trip主催のシリーズ第16弾。6月24日(水)~30日(火)にかけて、こくみん共済coopホール/スペースゼロにて行われました。昨夜の公演をもって千穐楽を無事迎えることができたようです。制限が多かったり、降板が続いたりする中で、走り切ったことに一安心。おめでとうございます、そしてお疲れさまでした。

 

公演作品「あいまいばかりの世界」 | Flying Trip

 

今回の舞台を観に行った理由は、末席の「一般人(こぶし組)」としてはまちゃんの門出を祝いたいと思ったからです。ラストライブで有終の美を飾った彼女。しかし、その姿を直接見届けられなかったのは、世間の状況からして仕方ないこととはいえ大きな心残りでした。

 

解散の2日後、4/1にリーダーの広瀬彩海ちゃんとともにSNSを開設し、井上玲音ちゃんはJuice=Juiceに加入。たった1日で3人が最速復帰し、4月以降の辛い時期は、彼女らの言葉や笑顔に救われてきました。

 

歌手になることを誓い事務所を飛び出した彩海ちゃんは「#SAVE THE ARTIST」*1というnotall主催のプロジェクトにて、TM NETWORKの木根さんを作曲に迎えた「AYAKAプロジェクト」を始動。プロジェクトの定期配信に時たま姿を現し、笑顔で進捗報告を行っています。プロデューサーの久保こーじさん発案で作詞を担当することになり、どんな曲が生まれるのかドキドキしながら待ち続ける日々です。

 

玲音ちゃんはJuice=Juiceへ本格参戦する時期が未定となっていますが、FM FUJIで第3~5木曜20時より放送中の「井上玲音のMusic Letters」*2でいつものふやけた笑い声を届けてくれたり、インスタやブログの更新、YouTube企画などSNSを積極的に行ったりと、今もハロメンの一人として、私たちの近くに居てくれています。今月開催決定したバラード限定のハロコンや、コットンクラブで催されるバースデーイベントなど、続々と決定するアイドル活動に胸が躍りっ放しです。

 

その2人よりもいち早く、生のお仕事を実現させたのがはまちゃんでした。5月末のTwitter閉鎖に心配していましたが、無事に女優としての第一歩を実現。彼女のSNSを見ていると「早くファンの皆さんに良い報告をしたい!」という気持ちがいつも伝わってきました。その気持ちが焦りに変わって不安になることもありましたが、真っ先に実現してくれて、流石こぶし組が大好きなエースだなと。

 

制限が多い中でも、大好きな人たちが笑顔を届けようと必死に動いてくれている。その事実が、暗い重苦しい世の中における唯一の希望でした。

 

 

 

OGと舞台

 

しかし、はまちゃんの第一の仕事が決まった直後、チケット発売日を忘れていたくらい、私は舞台というものにあまり熱心ではありませんでした。

 

「Flying Trip」「あいまいばかりの世界」 「新型コロナウィルスが絡む内容」。出てきたキーワードにあまりピンと来なかったのです。基本的に現場でのオタ活の中心は音楽ライブ。これはハロオタになる前も同様でした。舞台を好んで見に行った経験があまりにも少ない。

 

また、ハロプロを卒業したOG、ましてや事務所所属ではない役者さんを追いかけることへの抵抗感もありました。正直、コロナ禍じゃなかったら、皆の今後を最初からは追いかけていなかったような気がするんです。歌う機会があれば行く位だったと思います。思い入れはあっても、ジャンルの好みがあるので、4人の活動すべてを目にかける必要はないと考えていました。

 

 

しかし、「どんな形でもいいから生のエンタメを味わいたい」「どんな形でもいいから彼女らに会いたい」という気持ちが自粛期間中に日に日に醸成され、その気持ちは爆発寸前。小さな舞台だろうが体感したいと思っていたところに、偶然はまちゃんの最初の仕事に巡り合わせたわけです。

 

彼女の現場ならどんな遠くでも行く気満々なはまちゃん推しの方からしたら疾しい考え方かもしれません。ですが、舞台への興味、OGとしてのはまちゃんへの興味がそこまで高かったかというと、「そうでもなかった」ということは正直に書いておきたい。

 

人にはそれぞれ1番の「好き」がありますし、私にとってのそれは音楽ライブ。自粛明けで最初に浴びるのは生の音楽にしたい。4月頃はその微かな希望だけで身体を無理矢理動かしていましたが、配信や過去映像も現場ほど心を満たすコンテンツにはなり得ず、色々と限界でした。

 

そんな中途半端な気持ちを持った自分が第一に向かう現場が舞台でいいのか。しかもはまちゃん以外存じ上げない役者さんばかりの作品に。チケット発券後も、しばらくはモヤモヤした気持ちを引き摺っていました。

 

 

 

オタ活の意義

 

モヤモヤしつつも、日々の仕事に忙殺されていたらいつの間にか6月末。オタ活の夜明けとなる日がやってきました。 

 

「現場へ行く」という形のオタ活の楽しさは、現場そのものだけでなく、現場前後のすべての体験をもって成り立つと私は思います。

 

抽選を勝ち抜き、チケットを発券し、その日への楽しみを活力にして働く。いよいよ前日を迎え、「明日だー!」とツイートし、ドキドキしながら眠る。朝目覚ましなしで覚醒し、お気に入りのライブTを身に纏い、鞄にペンライトやタオルを突っ込む。ライブがはじまるまでの余白を、関連ショップや少し高めの食事に満喫し、緊張と興奮を抱いてホールに入る。ライブを全身全霊で楽しみ、夕食で友人と感想会をしたり、1人の場合はSNSで感想をばら撒きつつ、余韻にたっぷりと浸る。

 

これら全ての体験が、私にとってのライブ、もとい現場です。

 

今回舞台でオタク活動を解禁する上で、いつもと同じように、前後の流れは絶対に守ろうと決めました。ハロショ、聖地巡り、舞台後の食事。はまちゃん出演ということで、「こぶしファクトリーのオタ活」をしっかりと遂行しようと画策しました。

 

 

まずはハロショ。3月に週一でFSK戦争へ足を運んだことで、常連になりつつある場所です。上京前、旅行に合わせて訪れていた時は「生写真なんて絶対買わん」と最小限に購買欲を抑えていたのに、今や全開放。息をするようにガチャガチャなんか回してしまいます。や〜でも生き返る感覚。ここが天国。

 

入った時完全に目的を忘れて忘れていたのですが(痴呆か?)、こぶしラストライブの円盤を予約完了しました。何てったって、メンカラ衣装の生写真付きですから。3種類とも素晴らしい衣装でしたけど、メンカラ風はドストライクだった......。

 

 

 

続いて会場近くのとあるお店へ。あいにくの大雨で歩くのも一苦労でしたが無事到着。やってきたのは、みなみな行きつけの例の地です。

 

 

ameblo.jp

 

バラエティ豊かな味を楽しめる「あるでん亭」。2019年8月6日、彼女らのお腹を満たしたメニューと全く同じ3種類を頼みました。美味。安心と信頼のみなさこ。FSKを連れてくるのを失念するという大失態を犯しましたが、ご飯を口にしているときに「生きている心地」を覚え、ほっこりとあたたまることができたので大満足です。推しと同じご飯を食べる幸せってこれまで全然知りませんでしたけど、教えてくれた友人に感謝......(ちょっと泣きそう)

 

 

心も体もあたため、こぶしモードにした状態で上着を開くとこぶしラストライブのTシャツ!)、はまちゃんの初舞台に臨みます。

 

 

「あいまいばかりの世界」で生まれたつながりの尊さ

 

ところで、今回はオタ活の中で出会った友人のお陰もあって舞台に足を運ぶことができたのですが。彼の引きが凄くて、恐ろしいことに1列目を戴いてしまいました......こんな舞台初心者がいきなり最前列でいいのか......。その節はありがとうございます。普段よりも壇上から席を離してあったとはいえ、下手したら舞台の中に自分が入っちゃいそうなほど近かったです。そのせいもあって自分が何かやらかさないか超緊張していました。そんな訳ないんだけど。一つ間違ったら俺もヤクザに恫喝されそうな緊張感が確かにあった。

 

舞台の内容は、コロナ禍に孤独死したヤクザの遺品を、遺族を偽ったとある少女が刑事の前から奪い去り、その遺品を巡って、過去と未来を行き来しながらヤクザの死の真相に迫る......というサスペンス調のお話。現実に即したコロナ禍のお話、というポイントがまず注目を惹き、ソーシャルディスタンス、マスク、2mといった特殊ワードが散りばめられていましたが、普遍的な「人同士のつながり」が丁寧に描かれたハートウォーミングな作品でした。

 

はまちゃんが演じたのは、上述の少女・東城雪乃。金持ちを手玉に取ってきた若い詐欺グループの一人で、世間からみたら泥棒猫に当たるけれども、その目的は親の借金の返済。目的が果たされたら看護師を目指したいという夢を抱き、その姿を仲間からも応援されている......という、ミステリアスながら優しい少女という役どころです。

 

一方、裏社会で勢力を広げるとある組の一人が三ツ矢恭介(演:宇野結也。上述の亡くなったヤクザで、後輩思いな熱いバカです。そんな彼らの任侠物語と、若者たちの物語が徐々に交錯し、やがて悲劇が訪れるのですが、その交わり方が鮮やかで「これ以上やめて......苦しめないで......」と内心悲痛な叫びを上げていました。これ以上ボルテージ上がったら「やめて!争わないで!!」って舞台に飛び込んでいきそうだった。近いし。

 

そんな苦しい内容でしたが、この2つの視点と、ここに加わる現代の刑事たちからの視点が、それぞれの異なる見方を持ち、それらの物語がひとつのつながりに収束していく展開は見応えがありました。

 

 

結末を書くと、そのヤクザの死は過去の事件となんら関係を持ちませんでした。コロナ禍における、不健康が祟った孤独死。刑事たちの目から見れば、「ろくでもないやつのどうしようもない死」でしかありません。しかし、過去の事件で接点をもった雪乃や、三ツ矢の弟分・丸山、同じ組で次期頭首の争いをしていた高杉、事件の発端となった頭首の息子・トオル。それぞれの視点から映し出された三ツ矢像は、「ろくでもない」「どうしようもない」だけで切り捨てられるものではありません。

 

過去の事件で偶然に交わった彼らが、最後に目にした彼の姿は、非常に自己中心的(I、MYばかり)だけど他人への思いやりに溢れた姿勢でした。もちろん死人に口なしなので、彼がどう思ってあの行動をしたのかは完全にはわかりません。遺品の中身に書かれた内容くらいでしか確かめようがない。人の行動の真実なんて当事者にしかわからない曖昧なもの。

 

しかし、内心がどうであれ、彼らが目にした彼の善性は紛れもなく真実。その証拠に、彼の遺品の前に全員が合掌に訪れます。その合掌の瞬間だけは、しがらみだらけだった人間同士のつながりがひとつになる。事件の黒幕だと思われていたナンバー2の高杉でさえも真剣に拝んでいる。コロナ禍の今、孤独死する人が現実に多い状況だからこそ、より強く胸に響いたラストシーンでした。この世界はあいまいばかりだけど、捨てたもんじゃない。

 

 

 

コロナ禍の中で

 

自粛期間を経て、「新しい生活様式」なんて言葉が出て、世の中はたった数ヶ月で大きく変化しました。「アフターコロナ」という言葉を耳にするようになったこの頃ですが、私はこの状況を見ていると、世の中は「ウィズコロナ」に向かっていくんじゃないかなと思っています。

 

消毒液、マスク、テレワーク、ビニールシート、ソーシャルディスタンス。程度の差はあれ、この「新しい生活様式」が常識になっていく。というか既になっている。押し合い圧し合い、何の気がねもなく騒げるようなエンタメの在り方は、もしかしたらもう戻ってこないかもしれません。舞台に関して言えば、席を1席ずつ空ける、通路を活用した演劇を避ける、会場内での歓談は禁止......といったようなことが、常識として定着してしまうかもしれない。正直言ってそんなの嫌ですが、自分の命を確保しつつエンタメを楽しむためには、企画側だけでなく観客側も、受け入れて変わっていくしかないのが今の時代です。

 

ですが、そんなつまらない世の中でも、面白いものを作ろうとしている人たちがいる。こんな状況だけどエンタメの火を消してはならないと闘志を燃やし、細心の注意を払いつつ、全力で笑顔を届けようとしてくれている人たちがいる。今回の舞台は、物語そのものはもちろん、役者さんや作り手の皆さんの熱い思いに胸を打たれました。

 

最前列から見た私の視点には、当初の目的だったはまちゃんだけでなく、宇野くん、佐伯くんをはじめとした全ての役者さんの雄姿が鮮明に焼き付いて、あいまいばかりなこの世界を照らす光のように見えました。役者さんってこんなカッコ良いんだなと。外見はもちろん、全てがカッコ良い。テレビで普段見ている人たちじゃなくても、眼前だと写真の何倍も違いました。これだからライブでも舞台でも生の現場はやめられない。配信がどれだけ栄えようとも、絶対に滅ぼしてはいけない文化だと思います。

 

こんな状況下ですが、『あいまいばかりの世界』という舞台に出会えて良かったと心から思います。そして、はまちゃんの初舞台がこの作品で良かった。ここでスタートラインを切った彼女が女優として成長していく姿を、今度は疚しい気持ち抜きにして見守りたいです。

 

また、共演者の役者さん達のことも陰ながら応援したいですし、どこかの舞台でまた会えたらいいな。宇野くん、初主演とは思えないほど座長似合ってたし、どんどんデカくなっていって欲しいな。あと個人的に金井さんがツボで目の前に来る度に沸いてました。スーツ似合いすぎなんだよカッケえな。

 

 

ということで、今回の舞台をエネルギーにしつつ、次の楽しみまで生きていきます。夏ハロコン当たったよ~。久々の中野!

 

 

 

 

 

~OMAKE~

 

 

 

Chako生存報告が嬉しすぎたのと、野村ロスが加速したのとで感情がごちゃ混ぜ。野村みな美ちゃん元気~?初舞台絶対行くからね~!

 

 

 

 

 

*1:久保こーじさんとアイドルユニットのnotallが主体となって活動中のプロジェクト。20時からのLINE LIVE定期配信にて各参加者の進捗が配信されており、既に1作目がリリース済。

 

www.sp.notall.jp

*2:ちなみに7/16(木)は誕生日前夜の生放送。ラジオの範囲外でもFM FUJIツイキャスで聴けるかも。