ささやかな夏休みがはじまった。23年目にして、もっとも短く、静かなおやすみ。地元にも戻らず、お出かけもほどほどに、寂しくも健やかにして過ごそうと思う。慌ただしい納期前も抜けたし、仕事のことも忘れてゆっくりしたいところだったからちょうど良かった。
実家に帰るか帰らまいかは直前まで迷っていた。しかし、時々夜遅くに酔っ払いの両親からかかってくる凸電で、「微妙な空気だし、任せるよ」と言われて、帰らないことを決めた。地元は田舎と都会が中途半端に混じった所で、帰った瞬間村八分!夜逃げ!一生地獄コースで頑張るよ♡って事態に陥ることは決してないのだが、地域コミュニティの根強さ、一瞬で伝わる連絡網の速さは健在だ。親に迷惑をかけたくないし、自分自身もどーでもいいご近所さんから白い目で見られたくはない。何よりお盆恒例、お婆ちゃんとの墓参りを実行した結果、数ヶ月後にお婆ちゃんを看取ることになる、なんてオチは避けたいのだ。まだまだ長生きしていてほしい。独り身の寂しさから認知症を装ってデイサービスセンターに入り、一日にして「こんなボケ老人達と一緒にされたくない」と憤って帰ってきた図太くて逞しい祖母には、まだまだ恥を晒しながら生きていてほしいのだ。母親と職員さんの前で「は〜〜〜わたしゃだれだっけかのぅ」と大ボケかました昭和生まれの大女優には、もっともっとバカやっててくれって思い。とはいえ寂しいだろうし電話してあげようかなあ。
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