零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

仮面ライダージオウ EP32「2001:アンノウンなキオク」感想

『ジオウ』という作品は当初から本当に面白く、その面白さは毎週更新されていっていると思うのですが、今週私の中でついに大気圏突破しました。まあ、今回に関してはチートコードを使われた感があるので、前回までのお話と並べて語って良いのかわかりませんが(笑)

 

とはいえ、正味「あのシーン」がなくても、『ジオウ』の物語として面白かったと思うので、積み重ねが上手くいった成果と解釈しても問題無いでしょう。作品全体としても、『アギト』編後編としても、ボルテージが最高潮に達した第32話でした。

 

  

 

 

ツクヨミと翔一

前回ツクヨミの目の前に現れた翔一くん。記憶喪失の先輩として、彼女を導いてくれないかなと期待していましたが、想像以上のものを持って来られました。流石毛利脚本、過去ライダーの作品の旨味を抽出するのが非常にお上手。

 

以前も書いたような気がするのですが、私は毛利さんが書かれたお話の中でも、『ドライブ』最終回特別編・「ゴーストの事件」がトップクラスに好きでして。三条脚本の本編最終回であまり乗り切ることが出来なかった私を、たったの1話で救済してくれた、とても思い出深い話として心に残っています。新幹線で帰る時に車内で引くほど号泣した記憶。

 

『ドライブ』の本編は三条さん、長谷川さん、時々香村さんというローテで回っており、毛利さんは一切関わって来ませんでした。最後の最後に任されたピンチヒッター。それなのに、「刑事・泊進之介」の内にあった、「ベルトさんがいなくても、俺は刑事で仮面ライダーだ!」という「仮面ライダースピリット」を見事に描いて下さったんです。「刑事で仮面ライダー」という作品の持ち味をたった1話で表現し切る強さといったら。ゴーストが客演の特別編とか関係なく、後日談としても『ドライブ』の1エピソードとしても「強い」1話だったと思います。

 

 

 

翻って今週の『ジオウ』。『アギト』という作品は、「神々の戦い」という壮大な物語のレール上にありながら、他の平成ライダーと比べてキャッチーさに欠ける、あえて悪い言い方をすれば「地味な作品」なんですけど、だからこそ「普通の生活の尊さ」というテーマが光った作品だと思っています。そんなテーマを最終回のラストカットで体現した翔一くんが、自らの力に悩むツクヨミに対して料理を振る舞い、記憶喪失になった時はどうしたのかという問いに「一生懸命暮らしたかな。野菜作ったり、料理したり」と答える。このワンシーン、たったひとつの台詞に『アギト』らしさが詰まっていて、「も、もうりさん〜〜!!!」と叫んでしまいました。井上脚本を見事にトレースし、そこに居たのは紛れもなく「津上翔一(沢木哲也)」だったのだ。

 

「記憶とか力とか、あっても無くても俺は俺」。翔一くんの力強い言葉と優しい料理の味に、ツクヨミは再び仲間の元へ。ソウゴとゲイツに真っ直ぐ向き合い、頭を下げるのでした。思えばツクヨミとソウゴに軋轢があった時間は長く、一度和解したとはいえ、正直に向き合うのはやっとのこと。しかし、そんなツクヨミを一切責めることなく、慰めることもなく、「そんなの当たり前じゃん」というように温かく迎える我が魔王の器は流石です。ソウゴの優しさに、ツクヨミはようやく笑顔を見せることが出来たのでした。

 

 

にしても本当に賀集さんの演技力には惚れ惚れしますね...。変身シーンは言わずもがなですけど、冒頭のおじさんとの掛け合いや、レストランAGITΩでのシーン、ウォッチの継承時と、どのシーンでも場を引き締めつつ、紛れもなく当時の翔一くんを日曜の朝に見せてくれました。特におじさんのご飯の食べ方が凄かった。もぐもぐとした口の動かし方やらしかめっ面やらちょっとわざとらしい長めの間やら、翔一くんすぎたよ...。本当におかえり、翔一くん。

 

余談ですが、このタイミングでご結婚を発表された賀集さん、本当におめでとうございます。これはウォズでなくとも祝わねばなるまい!

 



ストーム、フレイム、G3

翔一くんの大活躍は、ツクヨミへの激励だけには終わりません。戦士・アギトとして存分に戦ってくれました。間違いなく客演史上最も戦闘時間が長かった。それだけ『アギト』復活はビッグニュースだったという事の証明...。

 

『剣』編後編の記事で書いた通り、これまでの「レジェンドが変身しないレジェンド編」も好きだっただけに、立て続けに変身してくれるのは嬉しいようなちょっぴり寂しいようなという気持ちがあります。もし翔一くんがアギトの力を丸ごと失っていたらどうなっていたか。まあ彼の場合、間違いなく同じ笑顔で野菜を育て、料理を振舞っているんでしょうけど。変わらないだろうなと思いつつ、「IF翔一くん」は見たかったなあという欲が少しあります。

 

でも今回の場合、「『アギト』をやるんだからこれをやるに決まってんでしょ!!」という熱い想いが洪水のように押し寄せ、上記のような気持ちは遠くへと流されていきました。それぐらい杉原監督の『アギト』愛が深すぎた。あなたそんなにアギト好きだったの!?とちょっと驚きましたけど(笑) 『平ジェネFINAL』でオーズ愛に心血を注ぎきった上堀内監督の如し。

 

まあ、『アギト』は歴代ライダーで1番カッコイイと言っていいレベルの造形ですからね。誰もが惚れるに決まってます。グランドフォームは勿論、ストーム、フレイムとどの姿も美しすぎて惚れ惚れ。冒頭の倉庫内での手刀捌き、剣捌き、薙刀捌き、そして蹴り。一挙一動が映えるんですよ。一瞬たりとも見逃せない。

 

次々と現れるアナザーアギトに対し、恐れを全く見せずに捌いていくアギト。この戦いはオーラとウールによって止められ、力は敵に奪われるのですが、怪人となって不気味に動くアギトでさえなんか惚れちゃうんだから、スーツの力って凄いよね()

 

また、今回のもう一つのサービスシーンは「翔一G3」。一度G3-Xを装着し、見事に使いこなしたことがありましたが、そのシーンさえも拾ってくるリスペクトっぷりよ。全国配備の量産G3だからこそできたメットオフ戦闘と、脱ぎ捨てながらのウォッチ奪取→アギトへの変身。戦闘から脱衣までサービスに溢れてました。

 

やばい今回褒めるところが多すぎて書ききれねえ!!!あえてもう一つ選ぶなら、尾室さんと翔一くんの電話も短いながら良かったよ!!!何気に珍しい絡みに、氷川さんもニュースを見て連絡してきてたりしないかなとか!!!妄想が止まらん!!!

 

仮面ライダーアギト 第25話

仮面ライダーアギト 第25話

 

 

 

動き出してる未来を止められない

そして、今週の話であのシーンを語らない訳にはいきません。力を取り戻した翔一くんの変身。合わせて変身したソウゴ、ゲイツ、ウォズによるトリニティ。それを見た翔一くんによるトリニティフォームへの変身。挟まれる「祝え」ギャグに笑いつつ、ここから始まる「六味一体」の戦闘にドキドキしていたら...。

 

ジャラララ〜 デデーン!

ジャラララーラァァァァン⤴︎⤴︎

 

うごきぃだしてぇるぅ〜〜

みらいをぉとめられなぁいぃ〜〜

 

俺「ああああああああああ」

 

BELIEVE YOURSELF

BELIEVE YOURSELF

 

『アギト』を少しでも観たことのある方なら間違いなく私と同じ事になっていたんじゃないでしょうか。あの瞬間、日本全国のオタクの気持ちが一致した気がする。

 

 

 

歌われたご本人、風雅なおとさんもビックリのサプライズ起用でした。これまで『ディケイド』『ゴーカイジャー』とレジェンドが絡む作品内で、過去の音源がそのまま使われることなんて滅多になかったと記憶しています。だからこそ、今回も『ジオウ』側のBGMが流れるもんだと思っていました。そしたらあのギターイントロが聴こえてきたもんだから...たまげちゃったよね...。

 

平成ライダーの歴史上最も印象的な挿入歌は「BELIEVE YOURSELF」、次いで「果てなき希望」「FULL FORCE」だと思っているので、その中の1曲が使われただけでもお祭り騒ぎ。今回の例は特例中の特例ですけど、カブト編で「FULL FORCE」が流れてくれる奇跡が無いかな〜なんてうっすら望みをかけてみたり。何だか最近、嬉しいサプライズが多すぎて幸せです。

 

豪華な挿入歌をバックに、次々とアナザーアギトを撃破するトリニティ×トリニティ。派手な戦闘の中で輝く2人のライダーの勇姿は、いつも以上に、いや歴代1と言っていいくらい輝いていました。現役とOBの共闘でこんなもん見せられたら堪らないですね。本編で(条件的に)あまり活躍のなかったトリニティが大暴れしてくれたのも、設定無視のファンサービスと分かっていても嬉しいし、むしろお釣りが来るくらいでした。

 

 

仮面ライダーアギト Blu-ray BOX 2

 

 

以上、第32話感想でした。翔一くんの介入で、ツクヨミ本人は悩みを解決できましたが、事態は意外と厳しい様子。ツクヨミが「スウォルツと同じ」とはどういう事なのか。その真意はウォズも知るようですが、今はまだ隠しておくつもりなそうで。ツクヨミが物語の根幹に関わるヒロインとなる可能性が急浮上してきました。

 

そちらはいつか描かれるとして、次回の注目ポイントは『響鬼』が登場するというビッグニュース。『ドライブ』編が先に来ると思っていたので、響鬼さんの突然の登場にビビりましたよ。そうそう、『仮面ライダーブレン』の方は蕨野さんだけ予想通りで、まさかのクリスペプラー&馬場ふみかちゃんが帰還されるようですね。ばばふみちゃんは売れっ子だからもう無いと思ってたし予告みてビビり倒した。

 

そして1番ビビり倒したのはふみちゃんでも轟鬼さんでもなく、桐矢京介の帰還です。当時は父と楽しく観ていた『響鬼』で印象的だったキャラクターで、後からP交代劇におけるヘイトの矛先になっていたのだと知った桐矢。彼が表舞台に立ち、日曜の朝に響鬼を名乗るという衝撃の大きさといったら。白倉Pの覚悟は並じゃない。

 

本当の本当に「平成最後」の「平成ライダー」放送。しかと見届けたいと思います。