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感想『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』 Vシネ史上最も正しく熱いスピンオフ。明光院ゲイツの生き様と、選び抜いた未来

仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』を鑑賞してきました。めちゃくちゃ!!!面白かった!!!!ので久々に感想ブログを書きます。ここまでテンション上がったのは久しぶり。
 
ガッツリネタバレしますので未見の方はブラウザバック推奨ですが、ネタバレなしで簡単に感想を述べておくと
 
・ジオウ好きなら絶対燃えるしひたすらハッピー
・ファンサ映画として極上
・余計なストレスが無い
・『ジオウ』の「スピンオフ作品」として圧倒的に正しい
 
といったところです。ジオウ好きなら一見の価値ありだよ~!
 
Vシネマ、予告解禁時は最終回直後ということでワクワクするんですけど、大抵の場合肩透かしを食らう事が多い印象でして。いつもあまり楽しめないまま終わってしまうことが個人的には多かった。いくら本編が好きな作品でもね。その理由はこの後書きますが、『ゲイツ、マジェスティ』はそんな不安材料を難なく取っ払って、最後までハッピーな作品に仕上がっていたと思います。
 
 
※以下本編ネタバレだらけです。ご注意ください。
 
 

 

 
 
 
 
 
 

余計なストレスが無い理由

 
ゲイツ、マジェスティ』、余計なストレスが無い点が評価を爆上げするポイントでした。その余計なストレスとは、Vシネシリーズ特有の新規ゲストキャラクター。私がVシネシリーズをそこまで楽しめないのは、このゲストキャラが毎回ノイズとなるからです。
 
例えば『仮面ライダーアクセル』の葛城葵というゲスト。風都の女感剥き出しながら一応ヒロイン枠として登場し、物語のキーパーソンとなるのですが、所長という正ヒロインがいるのにもかかわらずポッと出新キャラに立場を奪われるのは正直不快でした。もちろん最終的に所長と照井の絆が深まりましたENDで収まりはしますが、その過程で変にすれ違い、照井の株を落とす流れは強引といいますか、「サゲるためのサゲ」になってしまっていたと思います。
 
また、ヒロインだけでなく敵にあたる人物が誰なのか?というポイントも、説得力が無いと爽快感に欠けます。『仮面ライダーグリス』はビルド最終章と銘打っておきながら、敵として現れたのは浦賀啓示という頭にハテナが浮かぶキャラクター。
 
かつてエボルトの元で葛城忍の右腕として働いていたという設定で敵としての説得力を持たせようとしているのはわかります。しかし、ただでさえ本編後半の敵がずっとエボルトだった『ビルド』において、エボルトと同等かそれ以上の敵を出すのはそう簡単ではありません。強大すぎる敵の面影が残る当作品の世界において、裏設定を与えられたキャラクターがラスボスとして登場したところで、印象が薄いまま終わりになってしまうと思うのです。
 
 
 
そんなVシネシリーズの不満点を、『ジオウ』だからこそ可能な技=レジェンド客演によって難なくクリアしてくれたのが本作でした。
 
まず、他作品だったらゲストの役者が登場するであろう立ち位置に、レジェンドを配置。伊達明、照井竜、草加雅人といった錚々たるメンバーが、違和感なく世界に溶け込んでいました。あまりにナチュラルに出てきすぎて楽しい。前振りが「オーラちゃんの父親のツテ」という形だったので、「そこで出てくるんかい!」と、映画館は驚きと笑いに包まれました。ぶっちゃけ伊達照井も草加さんのように海東のオーロラで出現すると思ってた。
 
そして肝心の敵。予告では「敵は仮面ライダー?!」という煽りと、アナザーディエンドの存在で上手く隠していて、実際のところ誰と戦う物語かを掴めてない状態で映画館に入りましたが、そのミスリードが実に見事。1年間予告サプライズで我々を楽しませてくれたジオジオくんは流石です。
 
 

 

 
敵の正体とは、海東でも他作品のレジェンドでもなく白ウォズ。予告でも登場していますが、全然予想しておらず見事に欺かれました。白ウォズは本編30話で魔王の存在を認めて消滅し、その後45話で共にスウォルツを欺くなどしましたが、実は正式な決着はつかずじまい。ゲイツが白ウォズを倒し、乗り越えていく展開はやりそうでやっていませんでした。その展開をVシネでやる...というのは全くの予想外。海東と白ウォズの因縁もきっちり拾って、奪ったお宝まで使ってくれて、素敵な補完計画を1年越しにやってくれました。
 
とまあこんな感じで、レジェンド+メインキャラクターのみの「全員顔見知り状態」で話が進むため、ストレスフリーで鑑賞することができた点が個人的に大きな評価点だったと思います。余計な初出し設定も、余計なサゲも一切なし。レジェンド達も深入りはしすぎない程度に、だけどゲイツを指南する存在として立ってくれるというとても良いポジションでした。草加さんは別ですけどね(笑)そこだけやや勿体無いという意見はわかる。
 
あと伊達さん推しとしては登場シーンととある台詞のシーンで2010年の記憶が蘇ってきて、映画館で「伊達さん!!!」と黄色い歓声を上げそうでした。特に第38話「事情と別れと涙のバース」の記憶が一気に蘇っちゃって...。映司くんの価値観を変える一人となった伊達さんだけど、伊達さん自身も映司くんとの出会いで変わってたんだな...という話をし始めると長くなりすぎるのでやめます。伊達さんラブ。後藤ちゃんもかえってきて。

 

第38話「事情と別れと涙のバース」

第38話「事情と別れと涙のバース」

  • 発売日: 2015/08/27
  • メディア: Prime Video
 

 

 
照井竜はゲイツの兄貴分として完璧だったので『ゲイツ&アクセル』で一本ください。所長もよろしく。ついでに泊さんも。 
 
 
 

最後までライダー祭り

 
Vシネマだからといってライダーの登場数に手を抜かないのが『ジオウ』流。劇場版レベルでたくさんのガワが登場し、スクリーンを彩ってくれました。
 
まずは2号レジェンド達。ナチュラルに登場したゲイツの主治医・伊達明の変身するバースは、プロトタイプではなく通常フォーム! やや頭部が変色していましたけど、数々の国で修羅場を潜り抜けていく中で劣化してきたんだと脳内補完すれば、伊達さんらしいなって思います。
 
エンジンブレードを遠心力で振り回し、カッシーンの前で堂々と変身した照井竜。ゲイツと並ぶと赤ライダー同士が上手いこと映えていて、本人らの性格も相まって素晴らしいコンビネーションを見せてくれました。よく見る工場内での暗所ダブルライダーキックもカッコ良すぎか。バースが単独登場だった分、アクセル×ゲイツは満足度の高い共闘でした。
 
そして草加さん!カイザ!!!海東の召喚でこれまたナチュラルに登場した彼ですが、カイザブレイガンを用いたスタイルでカッシーン相手に玄人な立ち回りを見せました。変身シーンは無く、ウェットティッシュで手を拭く程度のサービスしかやりませんでしたが、『ディケイド』4話のごとく通り魔的に登場するのはカイザらしい。何なら本編初登場時も突然の登場ですからね(変身者は草加ではないけど)
 
終盤のラストバトルでもレジェンドライダーが登場。カイザ、アクセル、バースに絡めて、グランドジオウがファイズブラスターフォーム、Wファングジョーカー、オーズプトティラコンボを召喚し、次々と必殺技を決めました。プトティラとブラスターが画面前側で必殺技後のポーズを決めている後ろで、グランドジオウとファングがキックをかますカットは画面が派手! グランドジオウの召喚はフォーム縛りが全くないため、最強フォームと中間フォームが並んでも違和感なし。むしろここで!!ファングか!!!とテンション爆上がりです。
 
そして大目玉のゲイツマジェスティは歴代2号ライダーを身に纏った「2号版グランドジオウ」ということで、召喚はせずとも全員キックをかますという派手~なやつを惜しみなくやってのけます。一瞬とはいえ、見慣れない2号ズの並びは壮観。そんな力を与えてくれたのは海東なので、力が何故手に入ったのか?とか理屈に沿った疑問は一切与えてくれません。海東だからな!!!何か知らんけどできるよな!!と思わせる狡さ(笑)
 
海東といえば過去にディエンドコンプリートフォームで劇場版ライダーの力を身に纏った経験がありますが、その際2号の力を纏わせるかどうかって絶対迷ってると思うんですよね、作り手側が。あのコンプリートフォームから10年経ち、当事者の海東に歴代2号の力をゲイツへと与える役割を担わせたのは粋な計らいでした。まあ勝手な妄想ですけどね。
 
 
 

ソウゴとゲイツ、最高の関係性

 
『ジオウ』本編、冬映画、夏映画を通して、ソウゴ・ゲイツツクヨミ・ウォズの絆は強固なものとなりました。視聴者の私としても、他のどの作品にも匹敵する名チームだと思うこの4人は、内3人が記憶を失った状態でも仲良し。失われた学生時代を謳歌するかのような光景は、コメディシーンながら目頭が熱くなりました。
 
中でもソウゴとゲイツの関係性はいつ何時見ても最高。柔道生命を絶たれたゲイツくんと諦めてほしくないソウゴくんがぶつかるシーンにて、全く身に覚えのない話をしてるのに感動できるのは本編あってこそです。ぶつかり合って友達になった2人が別世界では幼き頃から解りあってる友達とか、エモいじゃん......。
 
ソウゴとゲイツ、本編で28話かけてやっと友達になれたのに、最終回では片割れを失ってしまうという悲劇的な最期を遂げてしまう悲しいタッグなんですけど、そんな悲しい記憶があるからこそ普通に友情を育んでいることが非常に尊いんですよ。それこそ城戸真司と秋山蓮が普通に友達やってる世界線を見ているのと同じ感覚。
 
「柔道チャンピオンになるという夢が失われたこと」はヒーローの戦場における葛藤と比較するとちっぽけなものかもしれない。でも当然、その当事者にとっては何よりも大事なことなんです。その事実にぶっきらぼうになるゲイツに対し、「お前の夢の原点は違うところにあるだろ!」と熱く説得するソウゴは、ヒーローの力は持たないけれど、精神的にまごうことなきヒーローでした。その説得を受け、救世主として立ち上がるゲイツという筋書きが熱すぎる。
 
本編では中盤以降ゲイツからソウゴへ投げかけられる言葉や思いが多い印象でしたが、今作はソウゴからゲイツへ届けるシーンが多く、それを受けたゲイツが立ち上がるという、ある種『ジオウ』本編のゲイツ視点での再構成。『ジオウ』の彼らを知っているからこそ何倍にも美味しい展開の数々にお腹いっぱいです。
 
 
そして意外だったのは、ゲイツが記憶を取り戻したまま終幕したこと。続編への布石とも取れますが、何よりゲイツ自身が「ソウゴと送れなかった青春を取り戻したい」という思いを胸に生きていこうとしている事実にグッときます。
 
最終決戦にてソウゴの腕の中で息絶える自分を俯瞰するゲイツ。彼はこの過去を見返し衝撃を覚えながら、何かを決心します。戦いの後、海東に拳をぶつけて放った「俺達の未来は俺達で決める(要約)」という言葉と、掲げることにした「救世主になる」という夢。これらはゲイツ自身が新世界でソウゴと共に生きると決めた大いなる覚悟であり、ウォズだけが秘密保守の共犯関係になった点も含めて、本当に熱い男だな...と感心しました。
 
明光院ゲイツという熱く真っ直ぐ男の生き様を新世界の一騒動を通して再描写し、その上でゲイツの未来を夢に溢れたものとして煌びやかに描く。これを成功させた点で、『ゲイツ、マジェスティ』はスピンオフ作品として圧倒的に正しく、価値のある作品になったのではないかと思うのです。『ジオウ』は「過去」「未来」「時間」がテーマだったので、余計に説得力で溢れて返っていたな。
 
 
 
また、サイドのレギュラーキャラも素敵でしたね。ヒロインのツクヨミ、傍観者のウォズが加わることで、関係性の美味しさは更に増します。特にエンディングのシーンはずっと見ていたい。ウォズは終盤までずっと登場しない分余計に美味しいです。
 
戦闘シーンでは横並びの4人同時変身もありまして、大きな燃えポイント。内2人は記憶を失っているという特殊状態、普段の私だったら「そこは取り戻しとけよ!!」と思うんですけど、コメディシーンとして非常に面白かったので問題なし。というか奥野くんのわちゃわちゃ感が面白すぎて(笑)ツクヨミ姐さんは清楚モードに入っているのにも関わらず、軽くキックを決めて敵を爆散する辺り"戦士"だ......。令ジェネ以上にたっぷりと4人の変身と共闘が見られたのは嬉しすぎましたね~。
 
タイムジャッカー組も一味違って、コメディシーンでの立ち回りが上手かったなあ。じゃじゃ馬オーラちゃん、お調子者ウールくん、堅物と思いきや妙にテンションの高いス氏改めス先。特に騒動がなくても「ジオウ学園物語」は見てみたいと思わされました。それくらい『ジオウ』のキャラクターもとい役者さんが好きです。レジェンド云々抜きにしても好きといえるキャラクター達に出会えて良かった。
 
 
 
 

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 『仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ』感想でした。いや~楽しかった。ぶっちゃけ『令ジェネ』以上に好きかもしれない。
 
改めて、自分は『仮面ライダージオウ』という作品とその登場人物たちが大好きなんだと気づかされました。終盤風呂敷を畳みきれなかった不満点はありましたし、新世界オチに心の底から納得がいっている訳ではないけど、この作品を観て「新世界オチで良かった」と強く思いました。ソウゴ、ゲイツツクヨミには一生友情と絆を育み続けてほしい。
 
あ、最後にひとつだけ。おじさんの立ち位置って、やっぱり美味しすぎますね(笑)生瀬さんグッジョブ。