零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

仮面ライダージオウ EP48「2068: オーマ・タイム」 感想

EP48のタイトルは「オーマ・タイム」。すなわち「逢魔時」。黄昏時の、魔物に遭遇しそうな時間帯を意味するこの言葉の通り、ソウゴ達の世界は化物達に覆われ、終焉へ傾きかけていました。
一方、もう一つの意味はもちろん、「オーマジオウの時間」。2068年、彼の時間へ1人向かったソウゴは決死の行動に出ます。この行動の行く末とは。そして、世界が向かう結末とは何処。いよいよ残り2ページです。

 

 

 

 

逢魔の決戦

ソウゴが行き着く終着点として、幾度となく立ち塞がった魔王、オーマジオウ。圧倒的な力を持ち、赤子の手を捻るようにソウゴの身も心もボロボロにしてきました。


そんな彼との最終決戦で使ったのは、最強フォームのグランドジオウではなく、トリニティフォームでした。仲間と手に入れた力であり、かつ今回の時間軸でしか生まれていない力。オーマジオウとソウゴの決定的な違いは仲間がいるか否か、という事実を象徴する姿であり、だからこそ対抗できたという展開は、王道ながら熱いです。


また、SNS上で見かけた意見ですが、過去に白ウォズが告げた「3つの力が集まればオーマジオウを倒せる」という予言が、実はミライダーではなくトリニティのことを示していたという考察。意図していたかいないかに関わらず、個人的にこういうのは大好物です。まあ3つのウォッチから生成されたのはゲイツリバイブだったので、違うんでしょうけど。


意気揚々と未来のウォッチを集めればジオウに勝てる!と言っていた白ウォズ当人さえも、予言の真相を読み解けていなかった。そして予言や予知が外れ、トリニティが誕生した。しかもそれは偶然外れたのではなくて、ソウゴが自らの手で必然的に引き寄せたものだった。こう書くとやはり熱い。そのような王の器を持っていたからこそ、白ウォズはソウゴを認めざるを得なかったんでしょうね。

 

 

仮面ライダージオウ DXジオウトリニティライドウォッチ

仮面ライダージオウ DXジオウトリニティライドウォッチ

 

 

初めて与えた強敵への大きな一撃。ここからトリニティの猛攻が続くかと思いきや、ソウゴは変身を解除してしまいました。何故なら、倒すべき相手は彼、というか未来の自分ではないから。今ソウゴが優先すべきなのは、あくまでジオウの世界の破壊と、人々の救済です。士が立てた計画を成し遂げる事への決意と覚悟はとっくに決まっていたのです。


「生まれた時からわかっていた」自身の死への覚悟、おじさんへの正体明かしと決意の「いってきます」。過去で大きな清算をし、オーマジオウの元へやってきたソウゴは、未来を良くすべく、オーマジオウに真相を問います。「オーマジオウの力って何?」その答えは「時空を破壊する力」。まさに今、ソウゴ達が必要な力です。スウォルツが利用しようとしている力でもある。

 

オーマジオウが誕生したのは、ある時空を破壊し、他の世界を救うためだったんでしょうか。スウォルツが別の世界から現れた存在と断定された今、彼がこの世界で魔王として君臨することになった理由が今ひとつ理解できていません。夏映画を正史とするならまだ別ですけれど。端からこの世界は崩壊の一途を辿っていたのか、それともオーマジオウのせいでこうなったのか。

 

最終回を前にして、大筋の部分にこんがらがっています。結局1年かけて、時間ものって難しいなと感じた次第で...(笑) 明日を終えた後、改めてこの点については整理を試みる所存です。

 

 

 

友よ

おそらくテレビ本編最後のレジェンドとして登場したチェイス。「詩島剛」の名によって記憶が混濁する中、ツクヨミを襲おうとしますが、自身の意思に反して彼女を守るという行動に出ました。徐々に蘇る仮面ライダーとしての記憶。そう、彼はかつて人間を守るために再起した戦士だった
最終回前というタイミングで彼の死を再演する、というのは中々思い切った展開で、本筋との噛み合わなさは多少ありました。しかし、予告を見る限り、ゲイツチェイスを看取ったシーンは一種の布石のようで。
 
「お前には友がいるぞ」と敵を諭すようなことは、以前のゲイツだったら出来なかったでしょう。過去に来て、常盤ソウゴという男と心を通わせ、彼らは友となった。EP28でアナザージオウからソウゴを庇いながら放った「俺の友達だ!」という言葉は、真面目な彼だからこそ、嘘偽りのない本心だと言える。
 
そんな彼が散りゆく戦士に対し、友の存在を告げる。優しく、力強く諭す彼の姿は、ソウゴにダブって見えました。本来ならば先輩ライダーのチェイスが諭すべきところを、逆にするというのもこの作品らしくて面白かったですね。かつて友に心を救われた男が、同様に友を想う男に再び救われる。とても素敵な構図。
 
しかし、最終回予告。そこには今にも散りゆかんとするゲイツと、それを抱き寄せるソウゴがいました。今回のゲイツチェイスの構図とダブります。友よ、君はだれに未来を託すのか。その解は、ゲイツの台詞にありました。
 
「オーマジオウになれ」。EP1の彼と、180度真逆の台詞です。オーマジオウを倒すと過去にやってきて、ジオウとぶつかり合った末に、彼を絶対にオーマジオウにさせないと誓った男が、そのあり得ない選択を託し散る。まさに「未来を託す」ことを覚悟した遺言。
 
 

仮面ライダージオウ Blu-ray COLLECTION 1

 

 

怒りに満ちた暗い声で、ついにオーマジオウへと変身してしまうソウゴ。この雰囲気だと、結末はBADに感じてしまいます。「アポカリプス」というタイトルにもそう思わせるものがある。「第4の道」に賭けられなかった彼が選んだオーマジオウの道は、どうしても終焉の匂いがします。

 

しかし、平成ライダーの最後を締め括る最後の作品として、どうか最後は爽やかに締めてくれないか、という気持ちの方が強いです。せっかくソウゴが仲間と共に築いてきた歴史が、悲しい結末に終わってほしくない。そう願いながら、最後の雄姿を見届けようと思います。

 

 

 

平成女性ライダーの終着点・ツクヨミ

最終回前のヒキにこんなビックリ展開を持って来られるとは思わず、「え、エエ!?ちゃんと終わんの!?!?」と叫んでしまった大事件でした。仮面ライダーツクヨミの衝撃的すぎる誕生。
劇場版限定のファムやキバーラ、なでしこだったり、本編登場のメイジ、マリカ、ポッピーだったりと、脈々と継がれてきた女性ライダーの系譜。ここに来て、メインヒロインが本編終盤で変身!というのは感慨深いです。ここまで大きな扱いをしてくれるようになったんだなあと。
ポッピーもメインヒロインが変身!と話題になりましたが、重要ポジションかと問われると微妙な立ち位置。キャラ人気を集め、オプション的に獲得した変身能力という印象がありました。でも、今回のツクヨミは、物語の根幹となるライダーとして変身した。この違いは大きいです。これまでの女性ライダーの歴史、そしてポッピーが変身した実績があったからこそ、土壇場の鍵としてツクヨミが変身できたのではないでしょうか
 

 

 

もしこの土壌が最初からあったのであれば、『電王』の最終回でコハナが変身していたかもしれないし、より昔に遡ると、結衣ちゃんがライダーバトルに乱入していたかもしれない。勿論話の筋として使うか使わないかはありますけど、こういう展開が「できるようになった」のは、20年間耕された土壌があってこそだと思うのです。
次の『ゼロワン』では、初回から仮面ライダーバルキリーという女性ライダーが登場。ついに「初回から」と来ましたね。以後のライダーでも、どんどん女性キャラクターがヒーローとして参入してくれたらなと思います。
 
 
ツクヨミ誕生の意図は、スウォルツの世界にもライダーを誕生させることで、他20の世界と同様の条件にする、というものでした。ジオウの世界が壊れた時に、その世界の人々を連れて行けば万事解決、という中々大胆でメタな手法。
EP48でツクヨミが無事誕生した事から、計画は上手くいっていると思われます。そう安堵しながらテレ朝の公式サイトを見ると、「ツクヨミが裏切る」...。いや、作戦ですよね?ガチだったらどんな反応すればいいかわかんないぞ。
ツクヨミはウォズ、ゲイツとは違い、ソウゴが自らを犠牲にすることは知らないはず。だから「私が代わりに犠牲になる!」という発想には結び付かないような気がしますが、果たして。

 

 

 

以上、EP48感想でした。ストーリー面ばかり触れましたが、クライマックスらしい大量の怪人出現とそれを食い止めるライダーズには、まさに世界の終焉を予感させられましたし、オーマジオウ対トリニティの砂塵が舞う中での渋い決闘シーンなどにはかなりグッときました。柴崎監督の名演出に泣かされましたね。

 

また、『ディケイド』勢は終盤になっても目立ちたがり。ついに実現した士×海東の共闘には燃えないわけがありません。時止め使って「感謝したまえ」なスタンスの海東は超絶気持ち悪いけど、たとえ死んでもこの人はブレないでしょうしもういいです。最終回も構わず大活躍ということで、『ディケイド』の「本当の終わり」としても、次回は楽しみにしたいと思います。流石に令和はもう出てこないよね?という考えはすぐに破壊されそうですけども。

 

 

いよいよ明日が『ジオウ』のLAST、もとい平成ライダーシリーズの最終回。別にいつもと同じ最終回と思えばそうなんですけど、公式がライダーと元号を密接に結びつけてしまったから、視聴者側の我々も「平成の終わり」を感じざるを得ません。『クウガ』から、とは残念ながら言えませんが、ずっと平成ライダーと共に過ごしてきた私達にとって、ひとつの大きな節目となるのは間違いない。

 

あらゆる変遷を経て、辿り着いたひとつの境地はどんな景色なのか。LASTの約30分、朝9時からしっかりと見届けます。

 

 

Over

Over "Quartzer"

  • Shuta Sueyoshi feat. ISSA
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

目映い世界、魅せて。