零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

仮面ライダージオウ EP31「2001: めざめろ、そのアギト!」感想

レジェンド編第2弾でありながら、前回で「オーマの日」閉幕という大きなタームを乗り越え、新章に突入したジオウ第31話はアギト編。ライダー初参戦の杉原監督と、第16話ぶりの毛利脚本による気合の入った回でした。

 

杉原監督といえば『ルパパト』で鮮烈な印象を与えてくれた次世代のエース。もう一人のエースである上堀内監督が戦隊へと移ったタイミングで入れ替わりでの登板です。こうして入れ替わっても「次世代コンビ」がニチアサを担うのは嬉しいですね。『リュウソウジャー』の方も新たなチャレンジにわくわくしっぱなしですし、杉原監督も負けじと新風をライダーへ持ち込んでほしいところ。

 

して、その結果は...。『アギト』への愛が炸裂しつつ、画は全く新しいという、新旧ハイブリッドな演出の数々に朝から大興奮でした。そして『アギト』といえば...おかえり、翔一くん!

 

→「起きてるジオ?」を「目覚めてるジオ?」にマイナーチェンジしてきたジオジオ君かわいい

 

 

増殖する「アギト」と真の「アギト」

『ジオウ』における敵は「アナザーライダー」。そのネーミングが発表された時から「アナザーアギトはどうなるんだ?」と誰しもが疑問に思っていたと思います。当時のアナザーアギトをそのまま出してくるのか、それとも全く関係ない「アナザーアギト」が登場するのか、はたまた「アナザーアナザーアギト」なんて異物が出てくるのか。書いててゲシュタルト崩壊してきました。

 

そのアンサーは「アギトは1人ではない」。原典終盤で描かれた「全人類アギト化」の要素を拾って、「アギト」を増殖させるという技を使ってきました。『剣』編といい、レジェンド編2期は結構ストレートにかつての要素を活かす方針なんですかね。終盤で登場した岡村可奈さんが、鏡面にアギトの顔を見たシーンを思い出しました。人類の味方であるライダー・アギトが脅威になるだけでなく、人類に侵食するというストーリーラインは斬新で面白いなと思った記憶があります。や、観たのは結構最近なんですけどね。その要素を「アナザーアギト」のビジュアルで活かしてきたのが今回。

 

仮面ライダーアギト Blu-ray BOX 3<完>

仮面ライダーアギト Blu-ray BOX 3<完>

 

 

ただ決定的に違うのは、アナザーアギトの増殖方法。まさかの『アマゾンズ』でした(笑) まあこの辺りは「わかりやすさ」を求めた結果だと思っていますけど、アナザーアギトがG3を喰らい、アナザーアギトを増やすという絵面はなかなかにグロテスクで驚きましたね。木野さんがこの光景を見たら泣いちゃうぞ。

 

G3ユニットがなかなか勝てない展開や、指揮官に昇進して活躍している尾室くんに懐かしさを覚えているところに、本家登場。アギトといえばやっぱり翔一くん! 真魚ちゃんへのLINEや電話での「ただいま」などなど、本編を見た人ならニヤニヤせざるを得ないシーンだらけでお腹一杯です。柔らかさを残しつつ勇ましくなった翔一くんと、看板娘として「レストランAGITΩ」を切り盛りする(というかフランスに行ってる間のお店番かな?)真魚ちゃん。2人の成長を感じつつ、「翔一クン!」「真魚ちゃん!」という声は全く変わらず感動です。この2人の関係はやっぱり安定感抜群。

 

真魚ちゃんや尾室さんのために帰国した翔一くんは早速敵の気配を感知。この演出も「これこれ!」と嬉しい場面でしたが、極めつけは変身シーンでした。重低音が響く待機音と、闇の中からゆっくりと歩いてくる翔一君。そして「変身!」の掛け声もなく構えと共にトランスフォーム! アギトの第1話を彷彿とさせる演出に鳥肌が立ちまくりです。

 

このシーン、翔一くんが姿を現すところは原典と異なるのですが、ツクヨミ視点で見ると翔一くんは「謎の男」なので、第1話における氷川さんの目線と全く同じなんですよね。「謎の戦士」が現れ、窮地を救う。変身シーンの頭からつま先まで『アギト』の旨味が凝縮されていて、杉原監督の演出力に感謝の気持ちでいっぱいです。

 

仮面ライダーアギト 第1話

 

ところでG3ユニットといえば、この人がこんな反応を。

 

要潤!!氷川さん!!!!

 

要さんという大物俳優が、出演できずともちゃんと『ジオウ』を見てくれた。その事実に愛が溢れていてお腹一杯です。ありがとうございます。小沢さんや北條さん共々、また会えたらいいな。

 

 

ツクヨミの秘密

前回の次回予告、翔一くんの「ただいま」が強烈すぎて忘れていましたが、ツクヨミの秘密の一端が今回初めて語られました。なんとレジスタンスの前は「記憶喪失」という。これまで何の違和感も持っていなかったので、突然の暴露に驚きました。

 

公式サイトでも少し触れられていましたが、「記憶喪失」ネタを『アギト』編で持ってくるとは、相変わらず要素の使い方が上手いなあと感心しました。「記憶喪失の先輩」,,,って書くと何だか不思議な感じですが、同じ境遇を持った経験のある翔一くんが、悩める現役を助けるという絡ませ方は面白いですね。翔一くんとツクヨミ。この2人がどう語らうのかが次回の一番楽しみポイントです。

 

うーん。
31話は、記憶喪失のツクヨミさんと、記憶喪失の先輩・翔一くんが出会う話でもあるわけで。
記憶がない中、謎の力に目覚めてしまった人どうし。本来であれば、翔一先輩がツクヨミ後輩を導いてほしいところですが、先輩もそれどころではなさそうです。
しかも翔一くんには、トリニティの先輩としての役割もあるとか。
記念番組だからって、うかうか出演すると大変な目に遭いますね。

平成仮面ライダー20作品記念公式サイト | 東映

 

それどころではないとは言わず、何かしらアドバイスをあげてほしいな。

 

自らの「時間停止」能力発現に戸惑うツクヨミ接触するのは、諸悪の根源スウォルツ氏。アギトを狙う今回の計画も気になりますが、ツクヨミの秘密に思うところがありそうな様子です。これはもしや「ツクヨミ=元タイムジャッカー説」? もしそうだとしたら、このタイミングでようやく「タイムジャッカーとは何ぞや」という大きな謎が明らかになるのかもしれません。何となく受け入れてきましたけど、彼らの存在ってどういうものなのか、これまで明確には示されていないんですよね。スウォルツの目的が云々よりも先に、彼らは未来でどういう存在なのかを早く知りたいところ。

 

あと個人的には「ツクヨミ=ソウゴの孫」説もまだ捨てきれないと思っていて。ソウゴの「アブナイ!」→時間停止能力が遺伝されたという流れで説明がつかないこともないのかなと思っています。そうするとツクヨミはオーマジオウの孫ということになり、彼女が記憶を失ってレジスタンスにいたという事実は、オーマジオウとの間に何等かの事件が起きた事を示唆しており...という感じで面白いんじゃないかと。

 

ゲイツやウォズと共に、未来における人間関係の輪郭をようやく見せてくる。『剣』以降のレジェンド編は、レジェンドとの絡みをやりつつ、このような流れになりそうです。

 

 

杉原節、炸裂!

先ほどアギトの変身シーンや、翔一くんの探知能力など、懐かしい演出の数々に打ちのめされたと書きましたが、それだけに収まらないのが次世代のエースです。これまでの『ジオウ』では見られなかった演出がちらほら見受けられ、『ルパパト』を見ていた時同様に驚かされました。

 

例えば冒頭のニュース。G3がアナザーアギトに襲われる画がありましたが、主観ショットなのが良いですよね。『ルパパト』の戦闘シーンでよく見たPOV方式を持ち込み、G3装着者目線で襲われる画。短いシーンながら、G3のことを「解ってる」。『アギト』当時には出来なかった撮影技法だからこそ、こうして導入されたことには意義があると思います。

 

他に注目したいのは、ツクヨミの戦闘シーンや入り乱れるバトルシーン。前者はまさに『ルパパト』を彷彿とさせる走りながらのアクションシーンでした。これをソウゴやゲイツではなく、あえて「戦うヒロイン」ことツクヨミにやらせるのがナイス。『ビルド』編で銃を使ったアクションが多少あったくらいで、これまでそんなに戦闘シーンは多くはありませんでしたが、ここにきて開花しました。これを機にもっと戦ってほしいですね。銃を構える真白の美女ってだけでも美味しいので、白のカーディガンをたなびかせ、華麗に戦うツクヨミちゃん、本当に映えるんですよ。

 

そして後者については、キャラクターが入り乱れ混沌とした中に、光るシーンが見受けられました。例えばジオウⅡの一刀両断。斬った対象がまさかのガードチェイサー! ライダーの命であるバイクを真っ二つに斬り破壊するという演出は奇抜で印象的でした。断面からトリニティの仮面が見えるとことかカッコよすぎてな。最初はダサいと思ったトリニティのマスクも、こういうシーン一つで一気に好きになりますね。

 

予告を見る限り、次回の見どころはトリニティ×トリニティ。アギト本編ではあまり活躍の無い限定フォームがここに来て大活躍と。トリニティの発動条件的には満たされてない気がしますけど、まあそこは遊び心優先ということで。杉原監督がまた時めかせてくれることを心待ちにしています。

 

 

仮面ライダージオウ DXアギトライドウォッチ

仮面ライダージオウ DXアギトライドウォッチ

 

 

仮面ライダーアギト 第26話

仮面ライダーアギト 第26話

 

 

以上、第31話感想でした。本編が2001年に逆行し、番外編では2002年や2022年が描かれ、混沌とする『ジオウ』ワールド。今朝、ここに更なる燃料が投下されました。

 

 

今度は2015年! 発表時は驚きましたけど、早くも今月末に配信するんですね。わざわざ「令和元年」と強調している所に謎の本気度を感じます。

 

そして発表のタイミングが来週ということは、『アギト』編の次は『ドライブ』編で確定ということか。シークレットクレジットとなっている3人はおそらく稲葉くん、上遠野くん、蕨野さんだと思っていますが、もし彼らと松島君が本編にも登場するとしたら...? こりゃお祭り騒ぎですよ。『ジオウ』ワールドの展開はまだまだ止まりません。ひとっ走り付き合うぜ。