零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

仮面ライダージオウ EP30「2019:トリニティはじめました!」感想

ジオウもいよいよ30話。残り話数も見えてきて少しずつ寂しくなってくる時期ですね。トリニティの誕生、オーマの日の終結と、ここから新たな未来へと大きく動きだしそうな予感。『剣』編に『アギト』編、そしてまだまだ続きそうなレジェンド編にワクワクじゃ。

 

それにしても...『ジオウ』が始まった当初はこんなに歴代作品全てに渡ってフォローされることになるとは思ってもみませんでした。もっともっと偏りがあると思ってた。しかし蓋を開けてみれば、1期だけでも『アギト』『555』『剣』は本編にオリキャス登場、『クウガ』は映画で大活躍、『電王』はまさかの佐藤健登場、『龍騎』は本編+新規の作品が作られるといった力の入りようです。『ディケイド』に至っては本編にガッツリ絡んでいますしね。これは『響鬼』『カブト』『キバ』のフォローも期待できそう。

 

 

新章開幕のキッカケとなった『剣』ではなんと当時の「バトルファイト」の設定をガッツリ拾い、次回の『アギト』では「アナザーアギト」を絡めてくる。第1部のレジェンド編とは一味違うようです。まずは「バトルファイト」がどう終結したのか?第30話感想です。

 

 

 

新しい未来

オーマの日が近づく中、白ウォズが企てた作戦は「バトルファイト」を活用した世界の滅亡。天音ちゃんを利用して始さんと剣崎を引き寄せ、戦わせるという流れは前回の時点でわかっていましたが、彼の作戦はそれ以上でした。正直原理はよくわかりませんけど、アナザーブレイドにはジョーカーの力を吸収する能力があると。その能力を使ってジョーカーの力を一身に引き寄せ、バトルファイトの統制者(ねじれこんにゃく)を呼出し、世界を破滅に陥れる......という筋書きです。その中心にいるのが天音ちゃんってどんだけ用意周到なんだ。エゲツない。

 

力の吸収によって剣崎と始さんは血が赤くなり、人間に戻ることができた。この辺りは本編の設定とズレがあるとかで、巷では論争が起きていましたが、その辺は置いといて(ちゃんと本編見てないからあんまりわからぬ)。人間に戻ったということはキングフォームやカリスの力は使えないということ。アナザーブレイドや出現するであろうダークローチに立ち向かう術はありません。ゲイツ・ウォズでも歯が立たず、万事休す。

 

その戦いの前に、ソウゴは今回の黒幕である白ウォズとサシで対話していました。「なんで白ウォズは自分の目指す未来を諦めちゃったの?」と純粋な目で尋ねるソウゴ。更には敵である彼に対し、「諦めんなよ」「勝手に未来を決めつけんなよ!」と声をかけます。何たる王の器。「未来を創るのは俺達」という信念こそが、第25話~第28話での葛藤を乗り越えたソウゴの意志であり、今回の『剣』編に通底するテーマでした。

 

「オーマの日」が来れば未来が分岐する。この事実を伝えたのは白ウォズです。でも、その2つしか選択肢は無いのか? その問いを見出せなかった白ウォズは、これまで何度もゲイツを救世主として讃え、煽ってきました。しかし、もし他に道があるとしたら。気付けばソウゴの言葉にゲイツもウォズも、白ウォズも感化されていました。そして生成されたトリニティウォッチをソウゴに託し、自らは消滅。切ない最期でしたが、彼が希望を見出せたのかと思うと、救いはあったのかな...なんて思いますね。もっと爆死するもんだと思ってたから良かった。

 

「未来を創るのは俺達」というテーマは『仮面ライダー剣』にも通底する話。かつて剣崎は自らアンデッドとなり、誰も想像することのできなかった方法で世界を救いました。自らの手で運命と戦い、勝ってみせたのです。その彼らを前に、「バトルファイト」を破り、未来を創造したソウゴ・ゲイツ・ウォズ。3人はまた、剣崎が想像できなかった形で未来を創ったのでした。何とも美しい流れ。そしてこの日が「オーマの日」になるとは、また誰も予想できなかったでしょうね。(正直言うとこの日が「オーマの日」だぜっていうエンドは唐突で少々物足りなかったですけどね。平和に解決したのは何よりですけども)

 

 

余談ですが、前回の感想で「今回の『剣』編は、本編の正史に真っ向から挑んだ」と書きました。この言葉ですが、少し訂正したいところ。というのも、今回の話を「正史」と認めちゃうと、「剣崎が運命と戦って勝利した」という最終回の後味が無かったことにされたようなのが嫌なんですよね。せっかく足掻き苦しんで掴み取ったのに、彼らとは関係の無い別のライダー達が「バトルファイト」を破壊し、全員人間に戻ってめでたしめでたし、というのは後日談にしてもお粗末というか。

 

exloyks.hatenablog.com

 

もちろん「真っ向から挑んだ」点は否定しません。短い時間の中で、本編で一番重要かつ扱いづらい「バトルファイト」の要素をそのまま持ち込んだのは勇気あるプロットだと思います。でも、この話は「ちょっとだけ正史とは異なる『剣』のお話」とした方が、本編も『ジオウ』における彼らのことも傷つけずにすむのかな~と。ん~本当、「レジェンドから逃げない」って難しいですね。SNSでの論争を見ながら考えに耽るのでした。

 

 

トリニティはじめました!

今回の一番の見所であり、物語の大きなターニングポイントとなった、ジオウトリニティの登場。話の大筋が重い一方、だいぶコミカルな誕生でした。思った通り、『電王』を思い出すフォームでしたね。モモウラキンリュウよりかはまともな集団だったので落ち着きはありましたが。

 

まず笑ったのは変身シークエンス。ファイナルフォームライドさながらにゲイツとウォズの関節が折れ曲がり、2人は顔付きの腕時計に。そしてジオウの肩パーツにくっつき、ジオウの顔は胸部分に移動しました。これ、『電王』を通ってきたからフツーに受け入れられるけど、通ってなかったら唖然としちゃうやつ。ソウゴくんのリアクションが戸惑いに溢れてて爆笑しました。

 

 

歴戦の猛者・高岩さんもビックリのデザイン。面白いポイントは色々ありますけど、個人的に好きなのは、耳みたいなパーツが、腕時計型ゲイツとウォズがべったり張り付いている「だけ」である点です。遠目でみたら耳が生えてるのかなと思ってたから、本当にそのまんまくっついただけなのは大胆すぎます。また、全身像は金ピカゴージャスで、オーマジオウに雰囲気が近づいているのが良いですね。オーマジオウの中身は本当にソウゴなのか?というのは初期から言われていましたが、もしやオーマジオウの中には3人がいるのかも?な~んて。

 

また、変身の演出面で、レグルスから光が照射されるのもインパクト大。ソウゴとゲイツの戦いを照らす(ある意味)絶望の光になるのかと思ったら、「バトルファイト」の闇を切り裂き、未来への希望を照らす光になりました。そしてこれが「オーマの日」に。当初の未来から大きくかけ離れた現在ですね。ソウゴとゲイツ、そしてウォズが同じ方向を向いたからこそ生まれた未来。「まだ知らない未来を創るのも悪くない」と問いかけるゲイツと、「確かに興味深くはある」と返すウォズが、完全にソウゴに感化されてて何とも良い関係です。

 

 

仮面ライダージオウ DXジオウトリニティライドウォッチ

仮面ライダージオウ DXジオウトリニティライドウォッチ

 

 

 

触れるポイントが多すぎて書ききれませんがもう2つだけ。精神世界での時計の使い方とウォズの祝え!がとても『ジオウ』らしくて良かったです。「どうやら」「たぶん」「きっと」と不確定な言葉を使い、本を持たずに語るウォズがなんとも清々しい。笑いながらもちょっと泣ける素敵な祝いの言葉でした。また、時計をちょっと直すソウゴくんの可愛さよ。緩さと頑固さを持ち合わせたソウゴのキャラクターを、奥野くんがバッチリ理解しているな~と感じたシーンです。 

 

にしてもトリニティ、高岩さんが1人でやってるんだからやっぱりスゴいよなあ。永徳ウォズのしなやかさも、縄田ゲイツの荒々しさも、そしていつものジオウのちょっと抜けた感じも1人で表現しきれているから凄い。『電王』から10年以上経ちましたが、巷で言われているように『ジオウ』は高岩さんの集大成でもあるなあと、改めて思うのでした。

 

 

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以上、30話『剣』編後編かつトリニティ覚醒編でした。剣崎達の新たな未来を見られたのも良かったですし、『剣』のテーマも合わせて「未来創造」をソウゴ達がやってのけた熱い展開に大満足です。キカイ編で彼の能力があれだけ暗く見られていたところから、ここまでよくもってこられたなあ。山口監督の火薬量も相変わらずで、画的にも楽しい1話でした。

 

「オーマの日」が終わったことでナレーションも変化。タイトルも今回から「◯◯2019」ではなく「2019:◯◯」と微妙に変わりました。これも新たな未来へ向かい始めた証拠なのかな。

 

 

exloyks.hatenablog.com

 

 

また、直々にオーマジオウから祝電と今後の方針が送られました(言伝を受けた海東、何でやねん...)。残るウォッチは『アギト』『響鬼』『カブト』『電王』『キバ』『ドライブ』の6つ。ここまでハッキリ示されたということは、どの話もちゃんとやってくれるということでしょうね。冒頭にも書きましたけど、レジェンドがここまで沢山登場するとは思っていなかったので、今の東映さんは強く信頼してます。頼んだぞ。

 

 

次回は『アギト』より翔一くん、真魚ちゃん、尾室くんが登場。東映さんがサプライズ慣れしすぎて怖い。次回予告でまた発狂しました。つい最近見終えたばっかりなので、「アナザーアギト」やら「アギトは1人じゃない」やら本編の要素をどう調理してくれるか見ものです。