零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

November 10

・引っ越しのことで頭がいっぱいになり仕事が手につかない。とにかく物件探しが嫌で嫌で、興味がなくて、かといって格安最低極悪畳土に住みたいわけでもないから、重い腰を上げて物件に目星をつけて不動産屋に向かった。既に部屋は大方片付いていたが、寮を追い出されるまでの間にやるべきことはまだまだ残っている。その第一歩が今日だ。音楽で武装して不動産屋に乗り込んだ。休日を丸々使って選んだ一軒と、類似の三軒が提示される。質問されるままに条件を伝えると、不動産屋との間に沈黙が流れる。黙々と提示される新たな物件。目の前にあった四軒でも情報量が多すぎてパニックになりそうだったのに、気付いたら倍以上の紙が並ぶ。それでもキーボードを叩く手は止まらない。ガンガン効いた暖房でくらくらする。悩んだふりを40分続け、「この4つにします!!!」と高らかに宣言したら、たのしい内見旅行が始まり、それから日が沈むまで彼に同行し、その中で一番肌感覚にあった場所を選んだ。大仕事が終わった。

 

と、思っていたのに。詰めが甘かった。会社から提示された条件(交通費と距離)のギリギリを攻めてしまったために、住宅手当の審査が難航している。本来は下見して保留にした物件を会社の審査に出し、結果が出てから契約の手続きを進めるという流れだったのに、「この物件は今日だけで3名の方が内見に来られましたよ」という言葉に焦って契約の日程を決め、インフラやらなんやらの手続きを先に進めてしまった。明日には審査結果が出ないとうまくまとまらない。そもそも審査も通るのだろうか。いつもはやたら溜まっていくメールボックスを何度リロードしてもこういう時に限って何も届かない。焦る。明日には返答をくれ。クソ。

 

今回の件は大方自分の調査不足、勉強不足によるものである(信頼できる方に客観的に見ていただいたことで納得した、助かりました)けれども、手当の承認を渋ってきた所属長の「(そこを選んだ理由として)結婚予定の彼女が近くに住んでるなら納得できるけれども...」という発言には胸のざわつきが止まらない。手当の話だし、単身者なら選ぶ場所の根拠がないとお金が出しづらいという理屈はわかるが、その例をわざわざ出す意味あった?弊社は社員の多くが職場内結婚という環境なので、「20代後半に結婚」というライフプランが常識にあるような空気は入社時からうすうす感じていたが、当時はあまり気にしていなかった。入社から数年、価値観が変容した自分がその言葉を受けたとき、土足で踏み込まれたような感覚に陥った。「あなたのような人生は弊社では想定していません」と宣告されたような気がした。痛かった。

 

「結婚」にいかに抵抗できるかがここ最近の人生のテーマになってきている。最終的に結婚することになったとしても、「社会の常識だから」という考えなしな理由ではしたくない。諦めて選ぶこともしたくない。この世界に醸成された空気に抗って、立ち向かって、自分自身の生き方を貫いて、その先で「納得」できたら選択する。「納得」できないのなら選択しない。大した志のある人生ではないけれども、これだけは守りたい。

 

・つらいときに心をほどいてくれるのは見知らぬ誰かの何気ない会話だと思う。また好きなPodcastに出会った。BROTHER SUN SISTER MOONのめぐみあゆさんと、Laura day romanceの井上花月さんによる、電話を盗み聞きしているような感覚に陥るゆるいラジオ。好きなコンテンツの話や政治の話、加齢の話やライフハックの話までごちゃまぜにして軽やかに雑談するお二人の空気感に救われた。1日で最新回まで聴いてしまい、2周目に入るくらい気に入っている。

 

 

ラジオを聴く時、なるべく話し手がどんな風貌なのかを調べないようにしている。「声」だけがその人を形作る要素なのだと錯覚させることができるから。視力を用いる必要がないため、情報を限りなく削ぎ落すことができるから。その人の「声」だけに信頼を寄せることができるから。どれだけメディアやSNSが発達しても、音声メディアだけは消えないでいてほしい、と切に願う。世界が滅びて荒れ地になっても、レディオだけは居なくならないでね。ひとりぼっちでNOW ON AIR

 

・ブログに制約を設けてきた。型を決め、嵌まらないのであれば別のメディアを用いようという風に、聖域のように扱ってきた。もういいかな、と思う。好きに使いたい。日記にしたっていい。元々ここはわたしだけの世界なんだから。無理に取捨選択しなくていいよ。好きなように書こう。