零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

2022.5.15 Base Ball Bear「日比谷ノンフィクションⅨ」

前回の「日比谷ノンフィクションⅧ」からおよそ2年半。日比谷野音ベボベが帰ってきました。Ⅵ~Ⅷまでは3年連続で通っており、年に一度の風物詩的な認識でいたので、日比谷ノンフィクションのない2020年と2021年はどこか味気ない2年間だったように思います。あの祝祭が戻ってきたということは世界もようやく動き出すのかな...なんて予感も抱いたり。2年ぶりの「満キャパ」で3人のテンションも高く、忘れられない2時間半になりました。

 

 

 

exloyks.hatenablog.com

 

exloyks.hatenablog.com

 

【セットリスト】

 

 

【MCレポート】

MC① 「いまは僕の目を見て」後

・満キャパ \パパパンッ/

 

MC② 「Transfer Girl」後

・小出「緊張して本調子が出ていない」「『感慨さん』がライブの速度についてこれてない」

・小出さんの緊張を解きほぐすべく変顔する堀くんと無表情で仁王立ちする関根さん

小出「バランス取れてきた!いい感じ!」

・2人の圧を受けてようやくイントロ弾くかと思いきや「まだ喋ってたいよお!」

・笑いが起こる中すかさず「Cross Words」のアルペジオ(小出さんのよくやる手口)

 

MC③ 「初恋」後

・小出「日比谷ノンフィクションとは?」

堀之内「お祭り」関根「身内ノリ」小出「沢山のゲストと共演してきた場所」「10年目にして初共演です。花澤香菜さん!」(どよめく客席)

・小出「一気にアニメ系のイベント」

・花澤「日比谷Ⅷを客席で見て『私には恋する感覚という手札があるのに…』と思ってた」

小出「ジョーカーだ」

・小出「10年経って人気声優からスーパー人気声優になったので呼べるとは思わず」

花澤「いつでも出ますよ!」

小出「言いましたね!今度からツアー毎回呼びますよ!」

(この下りから全ゲストに対し曲終わりに「また次のツアーで!」と声をかける小出さん)

・花澤「ウェーブしてもいいですか?いぇーい!」

小出「みんなウェーブなんてできるんだ。今後ライブで取り入れます」

堀之内「絶対やんねえだろ!」

 

MC④ 「生活PRISM」後

・3人目のゲストRyohuの呼び込み

小出「30代になればもうタメみたいなもん」

 

MC⑤「歌ってるんだBaby.」後

・4人目のゲスト橋本絵莉子の呼び込み

小出「あっこが仕事で来れない代わりにどうやらチャットトモダチが来てて。チャットトモダチ、チャットトモンチが…」

・橋本「チャット友達ってどういうこと?」

堀之内「気付いてないんかい!」

・小出「元々ボーカル呼んでも面白くないよね、という発想でベースに歌わせたのに、10年越しに逆輸入的なことになるとは」

 

MC⑥「クチビル・ディテクティヴ」後

・ようやく本調子、最初からやり直したい

・多くの仲間に支えられていることへの感謝

 

MC(アンコール)

・先程と一転神妙な声色で「重大発表があります。ここ2年メンバーやスタッフと沢山話し合ってきました」と述べる

・「こちらをご覧ください」

垂れ幕が落ちてきて「日本武道館開催決定」

ベボベに限ってないやろと信じてたけど、言い方が上手すぎて活休かと思った。小出さんはドルオタ心理わかるんだからおふざけでもそういうのやめい(おこ)

f:id:exloyks:20220517124215j:image

f:id:exloyks:20220517124317j:image

→撮影可タイム。近くの人が「後ろの垂れ幕と同じ並びになって!」と呟いていたけど念は届かず。記念撮影が不慣れなベボベさん。

 

 

【ライブ雑感】

・グッズ購入のため14時に会場入り。Ⅷの「Grape」物販列の悪夢が脳裏にあったので、とにかく早く確保しようと準備して構えました。40分くらい並んで購入完了。途中、リハの音漏れが聴こえてきて腰を抜かしそうになる。「文化祭の夜」「SIMAITAI」そして「恋する感覚」…。え、花澤さんの声が聴こえるんですが?パブサをしたら「花澤さんの音源を流してる?」というツイートを見かけたので、きっとそうだと自分を落ち着ける。しかし物販購入後、「生活PRISM」「歌ってるんだBaby.」「クチビル・ディティクティヴ」(しかも何故かえっちゃんの声)が立て続けに流れ、とんでもねえ祭りが起きるかもしれないという予感に震えた。

 

・日比谷公演で遅めのランチを楽しんだあと、16:30に入場し、売店で酎ハイを買う。後ろの飲食スペースでステージを眺めながら500mlを飲み干した。座席でも飲めると勘違いしてたのでちょっと焦った。あれで尿意にやられた人もいるのでは。それはさておき、ギリギリ雨天にならず開演までやってきた辺り流石晴れバンドだなあと感心しながら、まもなく始まる3年ぶりの日比谷公演への期待に胸を膨らませた。談笑する人たちはいずれも20〜30代で、ずっと変わらぬ同世代のファンの顔触れに安心。

 

・大音量で流れ始めるXTC。これまで数多くのベボベのライブを見てきたが、今日の気持ちの高揚は過去一番かもしれない。それくらい、ずっと待っていた瞬間だった。堀くん、関根さん、小出さんが入場し、ゆっくりと準備につく。観客の拍手も大きくなる。堀くんに向かって全力で手を振る。空気はひんやりしていて、身体の熱と合わせるとちょうどよい。

 

・ツアーが終わったとはいえ最新作である『DIARY KEY』をベースに構成したセットリストになると想像していたが、完全に裏をかかれた。まさに「お祭り」。開催されなかった2年分全部乗せのサプライズ満載なライブだった。「BREEEEZE GIRL」を1曲目に持ってきた時点で、それは決まっていたのかもしれない。眩しくて無敵感全開な夏を感じ、直後の「いまは僕の目を見て」で涼しげな秋の風が肌に触れる。春の公演だったが、「ベボベの季節」を色濃く感じるセトリだったように思う。

 

・『二十九歳』の「そんなに好きじゃなかった」、『C2』の「文化祭の夜」、『光源』の「(LIKE A) TRANSFER GIRL」。意図したかどうか定かではないが、アルバム順に辿っていく。ちょうど私が最もベボベにのめり込んでいた時期の作品群だ。4ピース時代の2曲と、湯浅脱退後にその穴を埋めるべく同期をふんだんに取り入れた1曲。それらがGuitar, Drum, Bassというたった3つの楽器により、新解釈で蘇る。3ピース以降のベボベの醍醐味はそこにある。特に「文化祭の夜」2Aのギターブレイクとワウベースよ。「ギターはあくまで添え物」というベボベの思想があの数小節に詰まっていた。そして転校生繋がりで「Transfer Girl」。無い青春が蘇るのなんのって。

 

・笑いが止まらない漫談のあとは沁み入る「Cross Words」。イントロのアルペジオが徐々に暮れ始めた日比谷の空気と合っていた。〈いいんだよ/少しずつ教えて?〉のメロディと詞に毎回涙腺が刺激される。『C3』は最初こそあまりのめり込まなかったが、歳を取るにつれて自分の生活にフィットし、切り離せなくなってきた。一文字一文字、一音一音がじわじわと効く。

 

・今回の目玉繋ぎは「_touch」と「SIMAITAI」。アウトロでドラムが急に切り替わり鳥肌が立った。疾走と熱狂。自分は最新のBase Ball Bearも大好きなので、過去曲ばかり持ち上げるムーブはあまり好きではないのだが(と言いつつやりがち)、『十七歳』 『(WHAT IS THE)LOVE & POP?』の頃の楽曲が急に現れると否が応でも盛り上がる。この後に『DETECTIVE BOYS』のアイツらまで出てくるなんてこの時は想像もしていなかったけど…。

 

・そして「初恋」。自分が初めてBase Ball Bearに出逢ったのはこの曲だ。日比谷に轟く繊細で美しいギターソロはあの頃のフレーズとほとんど変わらなかった。時に大幅な解体・再構築を実践し続けてきた3ピース時代だが、こういう時に過去も大切にしてくれていることがわかるからこそ、応援し続けたいと思うのだ。

 

・MCレポにも書いた通り、お祭りゾーンは2年間やれなかった分を全て開放するかの如く、次々に豪華ゲストが呼び込まれる。花澤香菜さんとは初披露となる「恋する感覚」、中野からお馴染みvalkneeさんとの「生活PRISM」、盟友Ryohuくんとの「歌ってるんだ Baby..[1+1=new1 ver.]」、さらに福岡晃子…ではなく代打・橋本絵莉子を呼び込んで披露された俺たちのアンセム「クチビル・ディテクティヴ」。怒涛の展開に客席も一際盛り上がる。特に花澤さんとえっちゃんが召喚された時のどよめきは凄かった。私もリハで察してたとはいえ、本当に目の前に現れた時はやっぱり信じられない気持ちに。思春期の頃からずっと聴いてきた声が目の前から聴こえてくる衝撃といったらない。valkneeさんもRyohuくんも流石の安定感で、贅沢なお祭りタイムだった。

 

・豪華ゲストコーナーが終わり、感謝を伝えた後、最後のブロックへ。絶対に「ドラマチック」が来る…!と身構えていたらまさかの「Tabibito In The Dark」。A、Bのタメに感情がじっくりと揺さぶられ、サビの爆発でドンと飛び出す。あの感覚を久しぶりに味わえたことで生きている心地がした。そしてこれまた意外な「レモンスカッシュ感覚」。原点回帰ということだろうか。日比谷の夜が煌びやかに彩られた。

 

・アンコール後は武道館のサプライズ告知があった後、興奮そのままに「Stairway Generation」「PERFECT BLUE」で〆。ここまで「かつてのベボベ」を色濃く残すようなライブになるなんて想像もしていなかった。でも、10年前のリベンジを果たす3度目の武道館公演に繋げるためという意図があったのなら納得の流れだ。〈あがるしかないようだ Stairway〉。Base Ball Bearは過去の遺産ではなく、現在進行形で進化し続ける一生現役バンドなんだということを、その自負から来る貫禄を、大舞台で証明してほしい。