零れ落ちる前に。

その時々感じたことを、零れ落ちる前に。

わたしの #ベストアルバム2019 5位→1位

もう2020年を振り返る時期だし、今更何やねんって内容ですが。2021年になったら完全にモチベゼロになってしまうので、その前にわたしの2019年を終わらせます。

 

15位→6位はこちら。

 

exloyks.hatenablog.com

 

exloyks.hatenablog.com

 

 

5位.Official髭男dism『Traveler』

Traveler[通常盤]

Apple Music Spotify

 

King Gnuと共に、2019年に猛プッシュされたロックバンド、通称「ヒゲダン」のメジャー1stアルバム。まるで1本の映画を観ているかのようなストーリー性に惹き込まれる1枚です。「宿命」「Pretender」「イエスタデイ」などタイアップ曲がかなり多めですが、どの曲も立ち位置を守っており、作品としての一貫性を邪魔していないので無理せず聴けます。

 

先日の「関ジャム」で「アルバム特集」をやっており、いきものがかり水野良樹さんらがミスチルのアルバムに在る「繋ぎ曲」、正式名でいうと「インタールード」の良さを力説されていました。例として提示された『Atomic Heart』における「Rain」が、今作における「052519」。シングル『Pretender』のパッケージに描かれたダイバージェンスメーターの数値がそのまま題に採用されています。『STEINS;GATE』のオカリンが世界線を超えるのと同様に、ヒゲダンの面々も「イエスタデイ」〜「旅は道連れ」までの世界を飛び越える。たったの10秒間が、この作品を色づける役目を買っているのです。

 

052519

052519

  • provided courtesy of iTunes

 

 

「Pretender」で大団円を迎えた後は、「ラストソング」というエンドロールが流れます。ゆったりとしたビートに乗せて、長く楽しい旅を振り返る。歌詞も音楽も、これまでの思い出を懐かしみ、寂しさをにじませるような雰囲気です。そうしてエンドロールが流れきった後、もう数分だけ続く映画。静かで優しいピアノ弾き語り曲「Travelers」で余韻を味わいます。閉じきった物語を、自分の判断で最初から始められるのもアルバムの良さ。いつでも耳を通して映画の世界へ誘ってくれる素敵な作品です。

 

 

4位.CRCK/LCKS『Temporary』

Temporary

Apple Music Spotify

 

超技巧派ポップバンド、CRCK/LCKSの新作。この後すぐ発売されたEP『Temporary vol.2』とセットで語りたいところですが、1枚ずつがルールなのでこちらを採用しました。

 

まずはなんといっても冒頭2曲。「Introduction」→「KISS」という導入の煌めきっぷりが半端じゃないです。イントロだけでグッと惹き込まれます。CRCK/LCKSの曲はどれも「間」「余白」が大事にされているので、わたしの生活に程よく馴染んでくれます。だからいつどこで聴いてもしっくりくる。「KISS」はサビのキャッチーさもさることながら、ドラムス石若駿が作るイントロの余白が大好きです。

 

 

この後リズムがわけわからんすぎる「嘘降る夜」、幻想的な「Searchlight」と宇宙が広がり、「ひかるまち」でぬくもりの世界へ誘われる。宇宙→等身大→宇宙→等身大...というようにマクロとミクロへ交互に訪れ、脳が揺さぶられような作品です。それなのに、わたしの生活にすとんと馴染むのだから、本当に不思議な作品だなと思います。

 

 

3位.BEYOOOOONDS『BEYOOOOOND1St』

 

BEYOOOOOND1St (通常盤) (特典なし)

タワレコ レコチョク

 

結局ハロプロ入れるんかい!と怒られそうですが。どちらもアルバムとしての完成度が抜群なので、自信をもってランクインさせています。流石音楽事務所。だからこそもっとアルバムの発表ペースを上げてくれUF...。

 

ハロプロの末っ子グループ、BEYOOOOONDSは2019年8月7日に1stシングルを引っ提げメジャーデビューしました。その興奮冷めやらぬまま、たった3ヶ月後に早くも1stアルバムを発売。シングルの各バージョンを総合しても6曲しか持ち曲が無いのに、新曲を11曲作り、急ピッチで大ボリュームの作品リリース。相当売出しに力を入れていることが伺えます。

 

レコーディング時間もあまり無かったでしょうに、どの曲も完成度が高く、何より作品の展開がユニークすぎる。「OOOOOVERTURE」で壮大に物語の幕を開けると、ライブ曲の「アツイ!」に始まり、個性豊かなユニット新曲を連発。中盤、ピアノを特技とする小林萌花のソロ伴奏曲「小夜曲“眼鏡の男の子”」を皮切りに、メジャーデビュー曲である「眼鏡の男の子」の世界が数曲通して展開され、グループの未来を直球で願うゴスペル風バラード曲「伸びしろ~Beyond the World~」に帰結します。激しすぎる展開は、BEYOOOOONDSのグループカラーそのものです。

 

そして何より大事なのは、これだけ変なことをしているのにも関わらず、作り手もメンバーも誰一人「照れていない」という点。場合によっては破綻しかねないおふざけを全力でやりきるからこそ、見事に成り立っているのです。デビューしたてだけど、フレッシュさよりも「玄人感」を感じる末っ子グループの1stアルバム。2019年のマストバイ作品でした。

 

 

2位.こぶしファクトリー辛夷第二幕』

辛夷第二幕 (通常盤) (特典なし)

タワレコ レコチョク

 

昨年ハロプロがリリースした作品の中で、文句なしのナンバーワンだと思います。この後すぐ解散してしまうということさえなければ幸せな感情だけで語れたのですが...。今となっては記念碑的な文脈も付与された作品です。

 

メンバーが立て続けに脱退し、どん底に落ち込んだ2017年末を経て、2018年に5人体制初シングルとしてリリースした「これからだ!」から、当時最新曲の「Oh No 懊悩」「ハルウララ」までたっぷり収録。シングルカット曲だけでなく、ライブ曲の「亀になれ!」や「ドカンとBREAK!」、5人で新録した「シャララ!やれるはずさ(2019ver.)」などのハイテンション曲も並んでおり、大盤振る舞いすぎます。

 

なんと言っても注目すべきはメンバー別の「メイン曲」。5人それぞれがセンターに付き、それぞれの色をたっぷり染み込ませた曲が5曲生まれました。どれも良曲なんですけど、広瀬彩海メイン曲「Come with me」は最強。ファストジャズ調の超難曲をさらりと歌いこなす技術に圧倒されました。ちなみにこの曲、配置も最高でして。〈綺羅星、今輝け!〉と泥臭く未来を切り拓いた後に、〈Come with me 一瞬で私は変わってく/目を離さないで〉と垢抜けた「私」を見せつけてくるこのギャップがもう堪りません。

 

Come with me

Come with me

  • こぶしファクトリー
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

この作品の良さを逐一語ると一晩かかりそうなのでこの辺りで。とにかく1から10まで楽曲も曲順も完璧な作品です。グループは解散しても、この作品は金字塔として後世に語り継がれてほしいと思います。というか私が語り続けます。 

 

  

1位.King Gnu『Sympa』

Sympa(通常盤)

Apple Music Spotify

 

音楽雑誌等のランキングでもトップに躍り出ていたので、ご多分にもれずという感じですが。2019年に一番聴いたのも『Sympa』でした。今年頭にリリースされた『CEREMONY』も良盤でしたが、この作品は超えられなかったと個人的に思います。あくまで好みの問題ですけど。

 

この作品の特徴は「インタールード」をガッツリ活用しているところ。「Sympa Ⅰ」〜「Sympa Ⅳ」の4曲のインストによって、テーマがバラバラな曲たちをまとめあげ、ハイテンションな第1章、やさしい世界から静かに闇へと迫っていく第2章、深い闇へと落ちる第3章というように、物語の章立てのような構成を作っています。深化していく物語につられて自分も深みへとハマっていくため、決してぶつ切りでは聴けず、通しで聴かざるを得なくなってしまいます。流行に反する作品作りをしているのに、ストリーミングサービスで天下を取っているというのは皮肉めいたものを感じますが、作品としての一貫性も、曲単体のインパクトも保てるのは本当に強いバンドだなと思うわけです。

 

上記の理由で作品通しで聴く機会が多かったため、中盤の「Don't Stop the Clocks」→「It's a small world」→「Sympa Ⅲ」→「Prayer X」という流れは絶対に切り離せません。ポップでやさしい世界から深い闇へと突き落とされるような感覚に毎回心がざわつきます。アニメ『BANANA FISH』の記憶も同時に呼び起こされて、不安の波に襲われますが、このざわつきに快感を覚えて、病みつきになってしまうのです。

 

Prayer X

Prayer X

  • provided courtesy of iTunes

 

深い闇に誘われてしまう作品なのでしばらく距離を置いていましたが、久しぶりに再生すると一瞬でクライマックスまで駆け抜けてしまいました。荒ぶる感情も、軽やかな気持ちも、常に持ち合わせた平熱も、深く沈んだこころも、感情の起伏をすべて詰め込んだ一作。今作が2019年という時代を切り取れているのかはわかりませんが、これから先『Sympa』を再生するたびに、この時代にわたしが抱えたあらゆる感情を、一緒に思い出すのかもしれません。

 

 

 

*****

 

やっとわたしの2019年が終わりました。10ヶ月なんて、延滞料が高くつきますね。こんなんだからすぐ破産するんですよ。安定した生活を送れる人間になりた〜い。

 

振り返りシリーズに書いた記録を読み返すと、2020年楽しみ〜!なんて呑気なことを言っております。お前は永久に2019年にいろ。こちら側に来るな。と追い返したい気持ちです。今年もあと3ヶ月を切りましたが、終わる感ないしどう締めくくれば良いんでしょうね。「酷い年だったけど、悪いことばかりでもなかった」とか? でもこの時代をそう振り返るには、まだ時間がかかりそう...。今もなお混沌の真っ只中にいるので。

 

記録を残すという行為は、記憶を振り返るという行為に必ず活きています。少し先の未来に位置するわたしのためにも、今の記録を残しておきたい。そういう意味で、2019年のことを2020年10月に残すのは間違いです。鮮度を保つためにも、その時のことはその時に記録すべし。今回の記事を書いている途中、そう悔やみました。

 

とはいえ、染み付いたサボり癖は抜けないので「まあいっか〜」というダメ人間も同時にいて、耳元でこう囁いてます。「こういうのもいいじゃん」、と。2019年のわたしと、2020年10月のわたしの悪魔合体。時代感の整合性なんて無いですがこれもある種わたしのカラーなのかなと思ったり。

 

ダラダラ喋ってると何が言いたいのかわかりませんね。いやマジで意味わかりませんね。なら消せばいいんだけど、未来の自分に罵倒されるまで残しておきます。2020年10月の夜長にわたしはこんなことを悶々と考えてるよ〜!いぇ〜い!!

 

 

【2019年振り返りシリーズ】

 

exloyks.hatenablog.com

 

 

exloyks.hatenablog.com